「ランス・アームストロング」_ツールドフランス永遠のヒーロー

 
 ちょっと長いタイトルになっていますが、アメリカンブック&シネマの次回作品です。(タイトルが長いのは、担当しているSの趣味か?!)
 この本は、実は日本オリジナルなんです。イギリスのサイクリング雑誌で読んだランスアームストロングの記事を書いたライターに、ボクがお願いして書いてもらったのがこの本なんです。ちょっと贅沢というか、すごいでしょう!(自画自賛です)。
著者のマット・ラミーとは、去年、フランクフルトブックフェアからの帰路、ロンドンに一泊して面談。事前にメールでやり取りはしていましたが、会ったのはもちろん初めて。引退してから復活を宣言するまでの時期を中心としてランスの本を書いてほしいというリクエストをしたのです。ホテルのそばの安カフェでココアをすすりながら話をしました。
 7月4日に始まるツールドフランスにあわせて、翻訳家の井口耕二さんにも頑張っていただきました。また、ツールドフランスのTV中継のナビゲーターでもあるシラトタローさんにも監修いただきました。ツールファン、ランスファンの皆さんには、きっとご満足いただけるはずです。アマゾンではすでに予約注文ができますし、本屋では7月3日前後から店頭にならびます。よろしくお願いします。

 
American Book & Cinema
ランスアームストロング@amazon
井口耕二さんのお仕事

松本健一著『日本の失敗』(岩波現代文庫)

 先月、松岡正剛さんの「連塾」で、著者である松本健一さんの話をお聞きする機会があり、その場で買った本がこの『日本の失敗』。副題は、「第二の開国」と「大東亜戦争」。著者は、第一の開国が明治維新、第二の開国が大東亜戦争戦後、そして第三の開国は90年代以降現在進行中。現在日本で議論になっている、どれだけ外に開かれた国になるべきなのか、海外諸国との関係構築のありかた、政治と自衛隊の関係、政治家の役割、天皇の位置づけなど、さまざまな論点を考えていく上でヒントになる本です。
 大東亜戦争(太平洋戦争)への過程における日本の政治家の情けなさに今の政治を見る思いをすると同時に、石橋湛山、斎藤隆夫というふたりのすごいジャーナリスト、政治家が、正確な状況分析と自分の信じる議論を展開していたことに、われわれが誇りに思える先輩たちがいたことを改めて思いました。また、アメリカのスチムソン国務長官の日本分析(シビリアンコントロールの欠如が日本の内政の問題であり、それがアメリカをはじめとする諸外国との衝突につながる)の正確さにも感心しました。

二つの書籍、二つの裁判

一日中ゴロゴロしながら読書2冊。偶然どちらも裁判に関連する本。
一冊は、山崎豊子著『運命の人』の第三巻。外務省機密漏洩事件に関わる山崎さんの力作。主人公は、一審で無罪、控訴審で有罪、そして最高裁への上告が棄却され、執行猶予つきの有罪が確定します。元外務省職員で、主人公である新聞記者に機密を漏洩する女性に対する山崎さんの視線には厳しいものがあります。(女性のずるさを浮き立たせています)この小説の終わりを飾る第四巻が楽しみです。
もう一冊は、『比島から巣鴨へ』(武藤章著)。副題は、「日本軍部の歩んだ道と一軍人の運命」。著者は東京裁判において、A級戦犯として死刑判決を受け、1948年処刑されます(享年56歳)。処刑された唯一の中将。歴史における評価が難しい人物のひとり。一部からは武闘派と言われるも、合理主義者でもあったのか。
どちらの裁判も勝者あるいは権力者の政治的判断下にあったもの

アメリカン・ブック&シネマのHP

株式会社アメリカン・ブック&シネマのHPを立ち上げました。
URLは、http://kabc.jp。kabcのkは、株式会社のkです。
アメリカン・ブック&シネマ

『負けに不思議の負けなし』(野村克也著)

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 先日ご報告した通り、愛犬も飼い主も体調不良で、だるい週末を過ごしました。カイは夜になると昨年以来完全に占領したソファの上で、写真のような格好で休養をとっています。飼い主は貧乏性でじっとしていることができないのですが、我慢してベッドの上で本を読んでいます。

 応援しているJリーグのチームがさっぱり勝てません。レイソルもアビスパも、よくても引き分けで、負けが続いています。アビスパはユニフォームスポンサーとして応援させていただいておりますので、勝ってほしいです。
 この両チームだけではないのですが、Jリーグは歴史が浅いせいもあるのでしょうか、野球と比べると、指導者層での人材が乏しいのではないかと勝手に想像しています。Jリーグのチームの監督経験者がしばしばテレビの実況解説に出てきますが、その人たちの話を聞いていても、失礼ながら、この程度の精神論しか言わないようじゃ、たいしたことないなと、素人ながら思ってしまうことが多いのです。

 もしかして、きちんと技術的なこともお話されているのかもしれません。ただ全体から受けるお話の印象に深みがないのです。でも、そもそもテレビの解説なんていうものは、そういうものかもしれませんが。
 その点、野球は歴史が長いからか、論客が多いように思います。日経新聞にコラムを持っている元西鉄の豊田泰光さん、そしてこの『負けに不思議の負けなし』の野村克也さんなど、すごいベテランがいるなと感心します。お二人とも勉強家だし、人間観察がすごく、文章を読んでいて勉強になります。(知り合いの方からお聞きしたのですが、ザスパ草津の廣山選手のブログが面白いそうです。今度ゆっくり読んでみようと思っています)
 ボク自身は、もう野球には興味を失っていて、新聞のスポーツ欄でも野球記事にはまったく目がいっていません。もっぱらサッカー、サイクリング、そしてボクシングです。日本のサッカー界にも、野村克也のような指導者がでてきて、試合のレベルを上げてくれないものかと思います。ボクは何度かこのブログで書いたとおり、オシムの大ファンです。彼が日本を去ったことはとても残念に思っています。野村監督の「ぼやき」を聞いていると、オシムを思い出してしまいます。お二人とも苦労人なのが共通点でもあります。
 最後になりますが、この本のタイトルは、
「勝ちに不思議の勝ちあり 負けに不思議の負けなし」からとったものだそうです。スポーツだけでなく、ビジネスにも当てはまる箴言です。

『日清戦争_「国民」の誕生』(佐谷眞木人著)

 講談社現代新書なので、手軽に読めます。内容も、それほど重くありません。先週、海外の勉強会の連中に聞いてみても、100年ほど前、日本が中国、ロシアと戦争をして勝ったなんてことは、ほとんど知りませんでした。我々日本人でも、きちんと歴史教育を受けていない人が増えているようなので、日清戦争、日露戦争を知らないという人が、もしかしているのかもしれません。

 おもしろかったのは、日清戦争を経て、初めて「日本国民」の意識が広まったという指摘。また、当時、東京の銀座は、新聞街で、「大通りだけでも読売、新朝野、自由、東京日日、中央、毎日の諸新聞社がある。(中略)都と二六を除くの外は、あらゆる新聞社が銀座界隈に集まっていた」とか。また、作者によると、「日清戦争という強烈なコンテンツは読者を熱狂させ、新聞や雑誌によって世界を認識する習慣を社会に定着させた。こうして、メディアが社会の風潮を増幅し、人びとを単一の価値観に染め上げていく危険性をもつ、大衆社会が成立した」。CNNをはじめとする映像メディアが、湾岸戦争を世界にライブで中継し、お茶の間に戦争が入ってきたことを思い出します。

 今、崩壊過程にある新聞事業ですが、このころは、成長産業だったのかと思います。新聞に代わって、世界を認識する手段となり、人々を同じ価値観に染めていったのは、戦後はテレビでした。そしていまその役割は、インターネットが担いつつあるのでしょうか?

『Small Giants』が日経ビジネス5月18日号で紹介されました

 「日経ビジネス」最新号の書評コーナー(「仕事に生かすならこの一冊」)で、アメリカン・ブック&シネマの『Small Giants』が紹介されています。評者の岡部弘さま(デンソー相談役)、および日経ビジネスには、心より感謝申し上げます。

 金融界の強欲がひとつのきっかけとなったこの世界不況の中、評者の方が書かれているように、「企業は誰のためにあるのか」という問いから、もっと根源的な、「企業はそもそも何のためにあるのか」という問いに、議論は深まっていくべきなのかもしれません。

 マレーシアからの帰りの機内で、『代表的日本人』(内村鑑三著)を再度読んだのですが、二宮尊徳、中江藤樹、あるいは上杉鷹山といった先人たちの考えのなかに、僕らが求めている答えのヒントがあるのではないかと思います。

『運命の人1、2』(山崎豊子著)

 外務省機密漏洩事件を小説にした山崎豊子の最新作。沖縄返還をめぐって、今に至っても日本の外務省が否定し続け、アメリカ側では公的文書が公表され、その存在が広く知られている密約。それをスクープした毎日新聞の西山記者を巡るフィクション。政治家たちも含めて、登場人物たちの名前は変えられていますが、誰のことか簡単に分かります。
 日本政府はアメリカとの対等の関係を口にしますが、残念ながら、現在にいたるまでアメリカの僕(しもべ)としての関係はずっと続いています。戦後60年以上もたつというのに、実質的な
アメリカの日本占領政策はまだまだ続き、われわれ日本人も防衛をアメリカに任せきって金儲けに集中することで、自立した国家としてのとても大切なものを失ったままになっています。ボクら国民も、無意識のうちにアメリカの指示を求め、その枠内で行動することで安心してしまっています。
 この事件が起こった1972年前後、ボクは中学生だったように思いますが、この事件はその後の展開も含めて、ボクにはとても大きな戦後の出来事のひとつです。毎日新聞の西山記者は、社会的な地位も家族もすべて失い、福岡の実家にお帰りになったまま、ずっと自分の名誉回復のための裁判闘争を続けてきたようにお聞きしています。取材方法に問題があったとはいえ、彼が行った問題提起は、今も日本の存在のありかたへの問いかけをボクらに突きつけているのに、この事件を覚えている人、関心を持っている人は少なくなっているのではないかと思います。
 『運命の人』3、4巻目の発売を楽しみに待っています。
 →ウィキ
西山事件
 

新潮社からのプレゼント

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 さっき、サン・ジョルディの日のことを書いたのですが、ボクには、新潮社からこんな素敵なプレゼントがありました。Yonda Pandaのキャンペーンで、30冊の新潮文庫のシールを送るともらえる、Yonda Panda君。これ、大好きです。以前のキャンペーンパンダの人形もオフィスの部屋に飾ってあります。今日届いたのですが、そう言えば、サン・ジョルディの日である今日届くように、新潮社も準備していたのでしょうか?だとしたら、粋な計らいが素敵です。ますます新潮文庫のファンになってしまいます。

サン・ジョルディの日

 今日4月23日は、大切な人に本や花を贈る、スペイン・カタリューニャ地方の伝説に由来する日。日本でも広がってきたのかなと思っていたのですが、今日の新聞記事によると、スポンサーが撤退して、実行委員会が解散になったとか。バレンタインのチョコレートもいいけど、本のプレゼントは、それ以上に素敵だと思うのは、少数派かな?