安田隆夫著『運』

今日から9月。今年も残り4か月。ここ数週間の日本の天候はいったいどうしたのだろうか。日本列島は台風銀座になってしまっている。

ドンキ・ホーテには数えるほどしか足を踏み入れたことがないけども企業としてはたいへん成功していることは知っていたし、創業者の本を読んであらためて認識した。タイトルは誤解を生みやすい。中身はある意味オーソドックスな経営指南書と読んだ。

丸善丸の内本店訪問

週末は丸善丸の内本店で本を買って3階にあるラウンジで東京駅南口前の風景をながめながら買った本に目を通すのが楽しみだ。
だいたい事前に何冊かネットで注文をしている。それに加えて平積みや棚にある本から1,2冊買うことが多い。土曜日は朝日新聞、毎日新聞、日経新聞が書評ページがあるので、それらを参考にして買うこともある。
今日はネットで注文していた「わが投資術」(清原達郎著)、「独裁体制から民主主義へ」(ジーン・シャープ著)、それから「土佐くろしお鉄道殺人事件」(西村京太郎著)、「人類の会話のための哲学: ローティと21世紀のプラグマティズム」(朱 喜哲著)の4冊を買った。清原達郎は伝説の投資家。予約の段階で8万部「売れていた」ようだからこの本への関心の高さが読める。ジーン・シャープ、朱 喜哲の本は、NHKの「100分de名著」で知った本。この番組は司会役の伊集院光のコメントもおもしろくお気に入りの番組なっている。
西村京太郎の本を買うのは初めて。読むのも初めて。ぼくが生まれた高知県宿毛市が舞台の一つになっている。

The Great Courses

Audible にあるThe Great Coursesのシリーズ。毎月定額の支払いコースの範囲内で無料で聴ける作品がたくさんあって、それらはとてもおもしろい講演が多い。
これまで『Churchill』、『Life Lessons from the Great Books』を聴いた。このふたつの講義は、Rufus Fears というオクラホマ大学の教授。Audibleは日本語の作品にも力をいれているけど、これだけ無料で英語の作品が聴けるだけでも毎月の定額コースに入っている価値がある。
https://www.thegreatcourses.com/

Chip War: The Fight for the World's Most Critical Technology

オーディオブックで耳から読書。翻訳読むよりも値段も安かったし、翻訳版のオーディオブックよりも英語版の方が安い!
半導体が重要なことはわかっているけども、ちょっとフィーバーしすぎ。経産省もなかなか産業政策がうまくいかないから半導体では頑張ろうということなんだろうけど、ラピダスは大丈夫かな?
コロナ騒ぎの渦中では半導体不足で自動車の製造がストップしたし、いまでも手元に届くまで時間がかなりかかっていると理解している。戦争においても勝敗の行方を左右するほどの影響力があるのだろう。
お話の半分は台湾のTSMCのことで、残念ながら日本の企業については過去の栄光を語ることに重きが置かれている。ソニーの盛田さんがなんども出てくるのは、海外の読者を意識してかな。

すごい天気の夜に丸谷才一を読む

大雪警報どおり、久しぶりの大雪。それに加えてゴロゴロと音を立てて雷がなっているのだからこんやはすごい夜だ。あすの朝、どのくらい雪が残っているか?雪かきは腰痛によくないなあ。
週末から、久しぶりに丸谷才一の小説を読んでいる。20年前に買った(はず)、積読になっていた『輝く日の宮』。これが予想外におもしろい。(きっと20年前に買ったのは雑誌か新聞の書評につられて買ったにちがいない)

『訂正する力』(東浩紀著)

今週、日帰りで岡山に出張。行きかえりの新幹線、腰痛持ちにはあまりよろしくない往復7時間。窓側席でお隣の隣人が不機嫌になるのが気になり座ったまま。
ずっと読書とメールのチェックに集中。
往復の新幹線で読んだのが、東浩紀著の『訂正する力』。ひとは誤りをおかさずには生きてはいけないわkで、誤ったことを訂正しながら生きていくしかない。無誤謬である人生も、意思決定も、戦略の実行も、ありえないわけで、結果や現実を謙虚に正面から見、考え、小まめに訂正を加えていくことだと、あらためて思った。
東さんの著作物はおもしろい。

「読むのが先か、聴くのが先か」

かつて角川映画が元気だったころ、「読むのが先か、観るのが先か」というようなCMコピーがあったように記憶しています。角川書店から出版される小説が映画化され、本と映画の両面でビジネスにしようとする、とてもおいしいやり方でした。

先日聴いた「ノルウェイの森」に次いで、同じ村上春樹の「職業としての小説家」を聴きました。「聴くのが先」!

村上春樹は自分自身を長編小説を「主戦場」とする小説家と言っていて、エッセイや短編小説は主戦場ではないという位置づけのようですから、ぼくはかれの忠実なファンではないように思いますが、村上春樹のエッセイはとても好きです。
かれの考え方や意見にはとても共感をもっています。本物の村上春樹はどのような人なのかわかりませんが、とても高い職業意識を持つ、職人のような方だという印象です。

この次のオーディオブックも、村上作品。こんどは小説に挑戦します。

村上春樹を「聴く」

久しぶりに、20年あるいは30年ぶりに「ノルウェーの森」に挑戦。ただし今回は本を前にして読むのではなく、オーディオブックで作品を聴きました。映画が出来上がったときも見た作品。その頃大好きだった菊池凛子が主演女優の一人だったから。
小説はできるだけオーディオブックで「聴く」ようにしたい。できるだけ目を酷使するのはやめたいから。スマホを使いすぎてお目目も疲れ気味。
いまは、村上春樹の「職業としての小説家」を聴いている。村上春樹の身心ともにストイックな考え方には共感するところが大だ。ただしぼくは彼ほどストイックな生き方、仕事の仕方はできていないのが課題だが。

『資本主義の次に来る世界』(ジェイソン・ヒッケル著)

原題はLESS IS MORE.
企業経営や企業の評価において、あるいは個人のキャリアにおいても「成長」は強く求められるものになっている。成長はMUSTであり、成長に異議を申し立てることは許されないような雰囲気さえある。
上場している会社の経営者は、株主たちからは常に成長を求められていて、ご苦労さまなことだと同情も申し上げる。
個人の転職を進める会社などは、成長できる職場、会社に転職すべきだ、この会社だとおあたは成長できる、なんてことも言ったりしている。

自分が年をとったからだろうか、あなたたちのいう「成長」なんて、しなくていいのじゃないの、と思うことがある。あなたたちのいう成長って、おカネをもっと稼ぐということ以外になにが含まれているのか?なんて皮肉を言いたくなることもある。

日本は人口減少が制約になって、これから経済は縮小していくだろうけど、それはそれでいいのではないかと思っている。これまでよりも少ない労働人口で、どうやって経済を維持していくのか。労働人口は減る(less)けども、創意や工夫はもっと生まれてくる(more)だろうし、これまでよりも高い賃金(more)を企業は払わないといけなくなるだろう。それは働く人たちにとってはいいことだと思う。

この本の中で著者はこんなことを訴えている。

「結局のところ、わたしたちが、「経済」と呼ぶものは、人間どうしの、そして他の生物界との、物質的な関係である。その関係をどのようなものにしたいか、と自問しなければならない。支配と搾取の関係にしたいだろうか、それとも、互恵と思いやりに満ちたものにしたいだろうか?」

政治家も、経営者も、われわれ庶民も、みんなこの問いを考えてみた方がいい。

映画『ある男』

平野啓一郎原作の小説の映画化。いまちょうどオーディオブックでこの小説を聴いていてちょうど半分くらいのところ。日本アカデミー賞の主要部門を総なめしたことで「凱旋上映」の最中ということだったので(いつまで上映が続くのかわからないということもあり)この時点で映画を観ることにした。

安藤サクラの演技が良かった。力が入ってなくて、リアル感があった。主演の妻夫木聡の弁護士役はどうかな?(あんな美男子の弁護士は珍しいだろうな!)真木よう子、清野菜名がきれい!

平野作品を読むのは初めて。ミステリーあるストーリー展開でエンターテインメント性も高い。Twitterで政治的な発言が多い平野さん。死刑制度や在日へのヘイトスピーチなどにもしばしば言及されているように思うが、この小説の中でも現代日本社会の課題を取り上げている。
人は過去の桎梏から解放されて新しい人生を生きられるのか?家族とは?親子や夫婦のつながりは?
文庫本とオーディオブックの両方をそろえてこの小説にとりかかっている。原作の最後まで行くのも楽しみ。