Microsoft Press とオライリー出版の提携

マイクロソフトの出版部門であるMS Press が、オライリー出版と提携するようです。
ティム・オライリーのブログ

『小林多喜二_21世紀にどう読むか』(ノーマ・フィールド著)

 その人の作品がでると必ず買って読む著者のひとりが、この本のノーマ・フィールド。『天皇の逝く国で』、『祖母の国』、『へんな子じゃないもん』、すべて素晴らしい翻訳者の手によって日本語で読むことができる、この日米混血の著者による作品です。先週小樽に行ったことを書いたばかりですが、この『小林多喜二_21世紀にどう読むか』は、この本がでた今年の始めにすぐ買っておいたままになっていて、札幌への行き帰りをはさんで読み終えました。ノーマ・フィールドが英語ではなく、日本語で書いた本です。
 小林多喜二に「プロレタリア作家」とレッテルを貼る人たちに、抵抗を感じます。そんなレッテルだけで彼を論じないでくれ、と。青春のうちに死んでしまった、躍動し、正義感にあふれた精神が、「プロレタリア作家」とだけ決めつけられるなんて。昨今の格差問題に関連付けてブームになっていますが、彼を読むきっかけがそうであったとしても、彼の作品はもっと広がりを持っていると思います。
 ノーマ・フィールドの本を読むと、なぜか故・須賀敦子さんを思い出します。須賀さんも、作品がでるたびに必ず読んだ著作者のおひとり。

『脂肪と言う名の服を着て』(安野モヨコ著)

 毎週朝日新聞の日曜版にでている「オチビサン」という漫画を楽しみに見ています。主人公のオチビさんの仲間には「ナゼニ」という黒犬の友人がいます。いつも本を持ち歩いていて、調べるのが好きです。(誰かさんみたい!)
 (世の中の常識なのかもしれませんが)この前、「オチビサン」の作者の安野モヨコさんが、「働きマン」の原作者であることを知りました。そしてオデッセイマガジンの巻頭インタビューに菅野美穂さんが出てくれたとき、「働きマン」のテレビドラマが日本テレビ系列で放送されようとしていたことを思い出しました。
 オチビサンの世界を作り出している安野さんが、いろいろな漫画を書いていることを知り、ブックオフで偶然見つけて買った(100円で買いました!)のが、『脂肪と言う名の服を着て』。オチビサンの世界がユートピアとすると、『脂肪』の世界はストレスといじめのグロテスクな社会でした。
 ボクはオチビサンの世界で生きていきたいです。ちなみに、オチビサンの単行本は2巻まででていて、明日にはアマゾンから届くことになっています。
オチビサン

『たった一人の正論が日本を変える?』(吉永圭著)

 著者は、立教大学法学部法哲学の若き研究者。本の副題(「出でよ!現代の石橋湛山」)とあるように、開戦前、雑誌「東洋経済新報」に、「大日本主義の幻想」、「一切を捨つるの覚悟」の論陣をはった石橋湛山について、ゼミの学生たち、恩師である東大法学部教授・北岡伸一さん、ジャーナリスト・櫻井よしこさんとのインタビューを収録したもの。

 この本の冒頭に、日本人の特徴を表す言葉として、「村八分」、「隣百姓」という二つの言葉が紹介されています。残念ながら、現在もあてはまる言葉でしょうか?

"$20 Per Gallon"_本当に石油危機が来たとき、どうなるの?

 アメリカで評判になっている本、"$20 Per Gallon"に目を通してみました(丁寧には読んでません)。福岡往復の飛行機の中で読んだくらいなので、読み易い本です。
 いま、一ギャロンあたり石油って、3ドルとか、4ドルくらいなんでしょうか、それが5倍くらいの値段になったら、世の中はこんな風に変化するのではないかという予測の本です。ボクらの生活って、完全に石油漬けで、自動車のガソリンだけでなく、石油化学のおかげで物質生活はなりたっているし、農業や漁業にしたって石油に支えられていることは、昨年石油価格が高騰したときに、漁業関係者が大騒ぎをしていたことを思い出せば、明白。
 この本によると、日本人の好物というか、文化そのものみたいな「すし」にしたって、安定した燃料価格が続いたおかげで、海外からのマグロをいち早く空輸することができたから成り立っているということです。もちろん、自動車産業は大打撃を受け、航空産業なども壊滅的状況になります。その結果、人間の生活や生き方は大きな変化を余儀なくされるし、変化に対応した新しい産業や企業が勃興すると同時に、恐竜のごとく死滅していく企業がでてくるということです。(今話題になっている、イスラエルのベンチャー企業、Better Place の紹介もあります)
 日本でもきっと霞が関あたりの官僚は、石油の値段が10倍になったらどうなるのかなんてシナリオはすでに想定していることでしょうが、われわれ庶民にもわかりやすいこの手の本は考えるヒントになってくれます。
 グローバリゼーションの進展はそろそろピークをうち、いましばらくこのような状況が続いたあと、人類の動きはすこしずつ反対方向に巻き返していくのかもしれません。作家の五木寛之なんかは、日本人は「躁の時代」から「鬱の時代」に入ったというような表現をしていますが、日本人だけでないかもしれません。この本によると、
転換点になるのは、われわれの生き方をささえてくれている石油の値段が、いつ高騰するのかだということになります。世界は石油の上で成り立っていると言っても過言ではないですから。
インターネット通販にしたって、宅配が安価に行われるようになっているから成り立っています。アマゾンで気軽に本を即日配送なんてしてくれていますが、そんなサービスだって安定した石油価格のおかげだと思います。
 最後になりますが、ハーバードビジネススクールの授業のひとつで、オランダのシェル石油のシナリオプランニングに関するケーススタディがあったことを思い出します。


 

『人生、意気に感ず』(藤沢秀行著)

 クロイヌは小さいころ、将棋をちょっとやったことがあるだけで、囲碁には挑戦したことはありません。碁は海外でも打つ人がいることは知っています。白と黒の石によるシンプルなルールのゲームであると同時に非常に奥が深く、知的な活動だということから、関心を持つ人が多いのかと思います。

 藤沢秀行は、今年5月に83歳で永眠された囲碁の世界の巨人。こんな破天荒な生き方をした人がいるのかと驚くと同時に、我々ビジネスマンに響く言葉をたくさん残されていたと、感心しながら読みました。(「ものごとをむずかしく考えるから、むずかしくなるのだ。何も知らないと思って学べば、人間はどんどん強くなる。」、「人間を高めなければ、生きた能力は身につかない。人間形成こそ、ほんとうの勉強である。」なんて、この人が口にするから、生きてくるのかと思いました。)

『「課題先進国」日本』(小宮山宏著)

 東大の前総長が在職中の2007年に出された本。副題には「キャッチアップからフロントランナーへ」とあります。人類に共通する課題を抱える日本は、欧米に解答を求める段階から、自らの課題を定め解決していくことで、世界に多大なる貢献をすることができるというメッセージ。「出羽の守」(欧米「では」こうだといって、外国を紹介するだけの論文=紙を書く人たち)、「誤用学者」(理論やモデルを誤用する知識人)はもう終わっているというご意見には100%同意。
 数ヶ月前だったと記憶しますが、雑誌「日経ビジネス」の巻頭インタビューで、日本人が言うと信じないのに、同じことを外国人(特に欧米人?)が言うと日本人はありがたがって聞く、というような発言をされていました。それを読んだとき、きっと何度も悔しい思いをされたのだろうなと直感的に思いました。この本では、先生の熱い気持ちのこもった「日本人に対する応援歌」を聞いた気になりました。
 あとがきに、「本質を捉える知」、「他者を感じる力」、「先頭に立つ勇気」を学生生活で獲得すべき目標にせよと、総長に就任して初めての入学式で話したとあります。この三つは、会社を経営しているすべての経営者にとっても、常に意識していないといけない必要条件でもあるかと思います。

 

『大麻ヒステリー_思考停止になる日本人』(武田邦彦著)

 新聞やラジオなどで、芸能人だけでなく、最近は大学生などにも「大麻汚染」が広がっていると読みききします。 

 クロイヌはたばこは吸いません。酒ですが、最近はビールひと缶でさえも、アップアップ状態で、時々、ワインをたしなむ程度。(ビールは減量の敵!)パチンコなどのギャンブルも興味なし。われわれ犬族は、愛犬たちと時間を過ごすだけでハッピーになれる、安上がりな人たちです。

 大麻なんて、はっきり言って興味もなし。幻覚症状も求めていないし、そんなことでいいビジネスアイディアが浮かんでくるとも思えないし、クリエイティブな人間になれるかどうかも、あまり期待できない。現実から逃避する必要もそれほどない。

 で、なんでこんなタイトルの本を読んだかというと、「大麻がどういうものか、大麻取締法がどういう経緯で成立したか」、また「そもそも痲薬とは何か」という知識が決定的にないにもかかわらず、「大麻というだけで思考停止に陥り、批判の大合唱になる」というわれわれ日本人に関心があるから。

 この先生、リサイクルやエコに関しても物議をかもしているようですが、主張になられている「自らの頭で、科学的に考える習慣をつけよ」というご意見には、大賛成です。

 選挙戦が始まりましたが、街宣車で名前の連呼と意味もないスローガンを叫ぶのは、迷惑千万。それよりも、きっちりとHPなどでご自分の主張とお約束を示していただき、それを1年後、2年後も消すことなく、いったいどれだけ実現できたのか、記録として残すことを義務づけたい。政治家の先生方にも、ぜひ「科学的に考える習慣」をつけていただきたいです。

 

 

昨年秋以来の「荒川サイクリング」と、『「大日本帝国」崩壊』(加藤聖文著)

 早朝、荒川沿いを2時間ほどサイクリングしました。風はなんとなく秋を予感させてくれるような、乾燥してちょうど心地よいもの。昨年の秋いらいの荒川サイクリングを楽しみました。おかげで、体重もちょっぴり下がりぎみ。誕生日の12月11日までに、あと6キロほど減らすことができたら、今年一年で12キロくらい減ることになります。日経平均が2万円の大台を回復することに匹敵するほど、ボクにとっては奇跡的なことです。それほどの奇跡をもとめているわけではありませんが、これまでの調子ですこしずつ脂肪を燃やしていきたいです。
 64年前の今日、1945年ですが、大日本帝国が崩壊した日です。実際の崩壊は、もっと早くから起こっていたとも言えますが、せきをきったように瓦解しはじめた日が64年前の今日。『「大日本帝国」崩壊』は、1966年生まれの学者によるユニークな視点から書かれた本です。日本、朝鮮、台湾、満州、樺太、南洋群島といった「大日本帝国」の最前線が、1945年8月15日の敗戦をどのように迎えたのを記述することによって、この帝国の本質を探ったものです。「帝国崩壊を決定づけた1945年8月15日の前後におきた歴史が、現在もなお影響を与え続けているといえ」る(231ページ)からこそ、この本の存在理由があるのかと思いました。

桃太郎の国訪問

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 昨日は午後から岡山訪問。早朝の地震の影響で新幹線ダイヤはボロボロになっていて、午後3時過ぎ、とにかく乗ることができる「のぞみ」で一番早いものに乗りました。ところが岡山到着は大幅に遅れ、着いたのは午後8時前。試験会場の皆さんとの懇親会には1時間遅れで参加。松山経由で参加した社員のHさんは影響も受けず時間通り参加できてよかった。
今日は、午前、午後と5つほどのお取引先を訪問。そのうちのひとつは初めて訪問した倉敷。残念ながら、大原美術館は前を通っただけ。またいつか来ます。
 昨晩の懇親会にご参加いただいた皆さん、本日快くお迎えいただきました会場の皆さん、ありがとうございました。

 午後6時3分岡山発の「のぞみ」は、東京駅に9時半に到着。昨日は4時間半以上かかりましたが、スケジュール通りだと3時間半で東京、岡山は結ばれているということですね。
 行きの新幹線では、
『会社は毎日つぶれている』(西村英俊著、日経新聞社刊)、帰りの新幹線では、『ヨガから始まる_心と体をひとつにする方法』(ケン・ハラクマ著)を読む。西村さんは、日商岩井とニチメンが合併してできた双日の初代社長。大企業の社長へのメッセージが多いかもしれませんが、われわれ中小企業の経営者にも参考になるメッセージ、心がまえが含まれています。ヨガの本の著者は、日本のヨガのリーダーのお一人だそうです。この方が、食事や睡眠に関して実践されていることは、ボクも、その方向に向かっています。早寝早起き、フルーツと野菜を中心とした食事。ただし、この方のレベルには、まだまだ遠いですが。