「超人高山宏のつくりかた」(NTT出版)

先週あった松岡正剛の「連塾」で話を聞いた博覧強記・高山宏のユニークな自叙伝。耳に残る力強い声、リズム感あふれる饒舌を思い起こしながら読みました。80年代大学生だった頃、彼が翻訳した本になんども遭遇していたことに気づきました。それから、お父さんが高知大学で哲学を教えていたようで、何人かの従兄弟たちも通った土佐高校の話もでてきて、わけもなく親しみを感じたりも。
この本で紹介されている高山宏の仕事(彼自身の著作と翻訳書籍)を読んでみようと思います。

British Library Business & IP Centre

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British Museum から独立したBritish Libraryの中に、Business & IP Centreという部門があり、起業家向けの情報を提供しています。HPのコーナーをチェックしてみました。どのくらい成功しているのかはわかりませんが、日本の国会図書館が起業家支援のコーナーを持つようなものでしょうか?(国会図書館がそんな活動をしているかどうか、知りません。)
 昨日から実質2日間の滞在スケジュールでロンドンに来ています。こちらで会うビジネスマンが予約を取ってくれたホテルが偶然、British Library の横にあります。マグナカルタ(大憲章)、サミュエル・ジョンソン博士、シェイクスピアはもちろん、ビートルズの手書きの歌詞なども展示されている立派な博物館でもあるようです。
BL Business & IP Centre

久しぶりの六本木・青山ブックセンター

 六本木にある一番好きなレストラン(と言っても、食堂みたいなところです)が、エリアの再開発の可能性があるため、今月末で閉店になると聞き、久しぶりに行ってみました。うわさでは、第二六本木ヒルズの話があるとか。だとすると森ビルの積極的なビジネス展開には感心します。
 そのあと、大好きな本屋のひとつ、青山ブックセンターに立ち寄ってみると、新潮社のyonda!panda君を発見。ケータイのカメラなので、この程度の画質です。
 この前亡くなったレヴィ=ストロースの作品を集めたコーナーがあったので、「悲しき南回帰線」の文庫本上下(講談社学術文庫)、「レヴィ=ストロース講義」(平凡社ライブラリー)を買ってきました。レヴィ=ストロースの言葉にこんなものがあります。「地球は人類なくして始まり、人類なくして終わるだろう。」大学の時から好きな言葉に、「自然の中には、喜びも悲しみもない。」というものがあります。表現は異なりますが、本質的には同じことを言っていると思います。

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起業家教育ひろば

大学・大学院起業家教育推進ネットワーク」のウェブサイト。経産省の委託事業のひとつ。須賀さんが推薦図書として、ABC(American Book & Cinema)の『経営の才覚』を挙げてくれました。須賀さん、ありがとうございます。

起業家教育ひろば

「経営の才覚」推薦ページ

ABC

『予習という病』(高木幹夫+日能研)

 著者は日本を滅ぼそうとしている病いとして、「予習病」をあげています。それは、「すでに定められたカリキュラム、学んできたことに固執し、未知の事柄を『まだやったことがない』ゆえに無視、否定する精神の傾向」としています。
 本文中に次のような記述があります。
 「なぜ大学が学生の学力低下に悲鳴を上げているかといえば、それは分数もできないからではなくて、予習というやりかたでしか学びと出会ったことがなく、しかも、向かい合った量が極端に少ないこと、質に出会えていないことによります。大学に進学したら、当然ながら制限も予定もない量にぶつかるわけです。本来の大学での学びに、これだけやっておけばいいよというような制限はありません。ある決められた範囲内での予定できる一定量にたいする予習、という構えしかもたない子たちが、量も範囲も時間も無制限の状況にぶつかったらどうなるか。」
 この大学を会社とし、学生を社員と置き換えてみてください。日本の大学が抱えている課題とまったく同じ構造の問題を、多くの日本企業は抱えているように思います。なぜなら、大学は、著者が言う「予習病」を治療することなく、学生を社会に送り出しているからです。日本の会社の多くは、言われたことしかやろうとしない、教えてもらわないとやろうとしない社員を多数抱えてしまっているように見えます。もしかして、予習病から卒業することなく、一生を終えようとしている日本人が多数になっているのでしょうか?

日本に関する英文図書100冊

日本財団が日本紹介のためにリストアップした100冊の英文図書。

海外の知人たちに、こんな本があるよと薦めるのに便利。

日本財団

『成功は一日で捨て去れ』(柳井正著)

 著者は、ご存知、ユニクロの創業者。ボクが尊敬している起業家、経営者です。このブログでも以前からなんどか書かせていただきました。(→バックナンバー1、→バックナンバー2バックナンバー3
 この本自体は、ユニクロのPRのひとつとも言えるのでしょうが、それを割り引いても、経営者、起業家にとっては参考になる本です。アパレルの小売業は、うちの会社のビジネスとは性格がかなり異なるため、簡単に比較したり、真似たりできるわけではありませんが、柳井さんの姿勢、考え方、またその勉強熱心さは非常に参考になります。
 1「企業の目的は顧客の創造である」(ドラッカー)。企業は自分たちがなにを売りたいかよりも、お客様が何を求めているかを考え、お客様にとって付加価値のある商品を提供すべきである。
 2「企業の目的は、それぞれの企業の外にある。」(同じくドラッカー)。本来、我々がターゲットにすべきなのは、まだお店に足を運んでくれていないお客様、つまり潜在的な需要をつかまえることだ。
 3 顧客を創造するためには、付加価値を持った商品を開発するということ以外に、テレビコマーシャルや雑誌などを使ったイメージ戦略や企業の姿勢を伝えていくPR活動が大切だ。
 もうひとつ響いたこと。ボクらのビジネスは、顧客にある程度努力(それをボクはよく「苦行」と言っているのですが)をしていただかないといけない性格を持っています。そんなビジネスを行っているボクには、次のような柳井さんの言葉がとても響いてきました。
「よく、先行している商売人が流行を作り出すとか、お客様の心理を作り出すといった類の話があるが、そんなことは実際にはあり得ない。こちらから心理状態を変えるなんて滅相もないことだ。重要なのは、お客様の心理状態に合わせて商品を作り出すことなのだ。」
 実は、昨日福岡のセミナーでお話させていただいたとき、ITビジネス、あるいはITのトレーニング、資格ビジネスは、売りたいものを一方的に売ろうという姿勢が強すぎるのではないか、という発言をしました。そういうこともあって、福岡からの帰りの飛行機で読みはじめ、自宅に帰って読み終えたこの本の中の柳井さんのさまざまな言葉に、とても共感したのかもしれません。

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(写真は、昨日、福岡であったセミナー会場のAIビル9階から見た夕方の百道の海の景色。とてもきれいな眺めでした。)

"The First Billion Is The Hardest" (T. Boone Pickens 著)

 アメリカからの帰りの飛行機の中で読みはじめた本です。『どん底から億万長者』というタイトルの本は、この本の翻訳本かもしれませんが、表紙のデザインはちょっと安っぽくなっている印象を受けました。
 日本では、80年代、ピケンズが小糸製作所の株を買ったことでマイナスの記憶を持っている人も多いかもしれませんが、日米問わず、大企業のサラリーマンとはまったく違う価値観と生き方をしてきた人です。まだ読み終えていませんが、印象は決して悪くないです。自分でリスクをとり、体を張って生きてきた人かと思います。
 ピケンズは、アメリカが海外(中東)の石油に依存することが、外交、防衛において危機的な状況を作り出していることを、身銭を切ってキャンペーンしています。石油マンのキャリアを持ちながら、代替エネルギー(風力、ソーラー)の開発に投資をしています。現在すでに80歳をこえていますが、そのバイタリティには敬意を表します。
 YouTubeにも彼の動画がかなりアップされています。


『正座と日本人』(丁宗鐵著)

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 今回アメリカに来る飛行機の中で読んだ本。「正座」の歴史を、医師である著者がたどったエッセイ。この本によると、正座が日本に広まったのは明治維新の時、国民意識を広めるためのようです。正座の歴史は案外短かったのだ!
 さらに、著者によると、正座は適度に時間を区切って行った場合、肉体および精神にとって効用があります。(例えば、集中力を高める、眠気が覚める、内蔵の負担が軽くなる、消化力が高まる、肥満を防ぐなどなど。)正座を「エクササイズ」として考えるべきだという提案です。
 腰痛のために始めたストレッチですが、出張先のホテルでも毎朝行っています。せいぜい10分程度ですが、いつも終わりは正座で締めくくります。
 この本を読むまで、ボクの短足、胴長は子供の頃の正座が原因かと思っていましたが、必ずしもそうでもないようです。

アメリカでの桐野夏生

 もうひとつ書籍の話題を書いておきます。日本の作家では、村上春樹に次いで、桐野夏生さんが知名度を上げていると思います。彼女の作品のファンとしては、うれしい展開です。

サンフランシスコ空港の書店で見た店員によるコメントです。
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読みづらいと思うので、書き出しておきます。

"After reading this book, Kirino has become my favorite author of modern-day Japanese thrillers. An absolutely awesome read! Highly recommended to read this and her others. "OUT" and "GROTESQUE".

かなり目立つところに置いてありました。

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