『不幸な国の幸福論』(加賀乙彦著、集英社新書)

作家加賀乙彦の幸福論。以下、本の見出しからです。
第一章:幸福を阻む考え方、生き方(考えない習性が生み出す不幸、他者を意識しすぎる不幸)
第二章:不幸増幅装置ニッポンをつくったもの(経済最優先で奪われた安心とつながり、流され続ける日本人)
第三章:幸福はしなやかな生に宿る(不幸を幸福に変える心の技術、幸せを追求する人生から、幸福を生み、担う生き方へ)
第四章:幸せに生きるための老いと死(人生85年時代の豊かな老いの過ごし方、死を思うことはよく生きること)

実は今日からMOSを運営しているアジア各国の代表の集まりがあってマカオに来ています。マカオはアジアのラスベガスとも言える都市で、僕は2度目ですが、あまり好きになれない場所です。仕事の必要性がなければ、絶対にこない場所かと思います。加賀さんの「幸福論」で説かれているような考え方、生き方とは正反対の位置にあるようなところです。そんなところに来る機内、そしてホテルでの自由時間に読み終えました。
この本で書かれていることは、自分の人生を真剣に考えよ、他人の目を気にすることなく自分をしっかりと持て、他人と比べて自分は幸福かなんて比較をする必要はない等々、当たり前のことが書かれているのですが、それら当たり前のことをずっと忘れてきたのが我々日本人のように思います。80歳になられようとする加賀さんのご意見には賛成することばかりです。

さかはらあつしさんの「サリンとおはぎ」アマゾンで予約開始。

「アイデアエクスチェンジ」に出演いただいた、さかはらあつしさんの体験談「サリンとおはぎ」が来月講談社から出版されます。予約がアマゾンで開始されています。僕はもう予約しましたよ。さかはらさんは僕の知り合いの中で、もっともユニークな人生を生きてきた人のひとりで、いつも感心しています。ぜひ「アイデアエクスチェンジ」をお聞きいただいき、本もお読みいただけると、ありがたいです。

アマゾン
アイデアエクスチェンジ「さかはらあつしさんの巻」

イチゴ離れ

 夜、事業仕分けで有名になられた加藤さんが代表をされている構想日本のフォーラムにお伺いし、「ゆずりは」の田中陽子さんの司会で、北東北の職人さんたちのお話をお聞きしました。みなさんの、東北弁を交えながらのお話にたいへん感動しました。「キャリア」なんて横文字はいっさい出てきませんが、生きるということ、働くということについて、地に足の着いた考えを持った人たちのお話でした。東京で毎日気ぜわしく働いているわれわれの仕事が本当に薄っぺらなものに思えてなりませんでした。
 田中陽子さんのお話で、「イチゴ離れ』という言葉を知りました。野イチゴの季節(7月初め)、子グマが夢中で野イチゴを食べているうちに親グマがそっと姿を消す。子グマがふとわれに返って周りを見回しても、そこには親グマの姿はない。いつか必ず来る親離れ、子離れ。そんな熊の親子の別れを東北の人たちは、イチゴ離れと呼ぶそうです。親子の切ない別れを、なんて素敵な言葉で表現しているのかと思いました。(「ゆずりはの詩」田中陽子著)
ゆずりは

『歴史と外交_靖国・アジア・東京裁判』(東郷和彦著、講談社新書)

 駐オランダ大使を最後に2002年外務省を退官した1945年生まれの元外交官によるエッセイ。「どうしてわが国は、一連の歴史問題に、日本人としての答えを出し、みずから納得できるメッセージを世界に発出し、世界との調和をつくりだし、日本人の優れた能力とエネルギーを、さらに、創造的な問題に使っていけないのだろう。」という問題意識を持つ著者の、「体験的思索の書」。

 ビジネスの席で宗教と政治の話はしてはいけないと言われますが、僕はアジアのビジネスマンとも、あるいは欧米のビジネスマンとも、酒の席や食事の席で歴史や政治の話をすることがあります。もちろん、大仰な話になるまでやったことはありませんが、相手の考えや価値観を勉強させてもらう、いいチャンスになります。

 

『貴流・心氣体』(貴乃花光司著)

 次号のオデッセイマガジン巻頭インタビューにご出演いただくために、貴乃花親方と昨日お会いしました。1時間強、率直な意見交換をさせていただきました。平成の大横綱との対談、たいへん刺激になりましたし、光栄でした。次号のオデッセイマガジンは、「今年はやる」というテーマです。
 『心氣体』は、昨年扶桑社から出版された本で、事前に拝読。サブタイトルは、「相撲の心でつくる美しい体」。イラスト入りでストレッチの仕方などが詳しく解説されています。昨日、僕は親方直々に四股の踏み方を教えてもらいました。(ただ、四股はプロのもので、われわれアマチュアは、腰を落とし、ゆっくり、ゆっくりと腰をあげていくストレッチで十分だということです。)実際に横で親方の四股を拝見しましたが、これは迫力がありました。
 来月下旬にできあがります。お楽しみに。

城さん、中央職業能力協会の理事長に応募されてはいかがですか?

先日日経新聞記事で、厚労省がこれまで天下りでトップが決まっていた外郭団体の理事長を公募するという記事を読みました。厚労省がどれだけ本気なのかわかりませんが、「若者はなぜ3年で辞めるのか」、「3年で辞めた若者はどこへ行ったのか」、そして「7割は課長さんになれません」著者の城さんのような方をトップにすえられると面白いと思います。ブラックユーモアではなく、本気です。
城さんには、2年前、「アイデアエクスチェンジ」にご出演いただいきました。城さんの本を読んでいると、共感するところがすごく多いです。
「アイデアエクスチェンジ」城繁幸さんの巻

『「野生」の哲学』(町田宗鳳著、ちくま新書)

 さきほどシアトルに着きました。機内で読み終えた本です。(今日、明日とミーティングがあって水曜日の飛行機ですぐに東京に帰ります)
 著者はユニークな経歴の持ち主。14歳で出家、34歳のとき渡米し、ハーバードの神学部で修士、ペンシルバニア大学東洋学部で博士をとった方。友人がこの方のファンで薦めてくれました。
 この本の副題には、「生きぬく力を取り戻す」とあります。自分の心と体に元々備わっている根源的な生命力を大切にしながら、創造的な生き方を模索しよう、と。織田信長の決断力、坂本龍馬の行動力、円空の造形力、宮澤賢治の想像力、そして松下幸之助の直感力が紹介されています。この本で書かれていることには共感を覚えます。(この本で円空が木地師の血を引いていたこと、木地師は中世からの木工技術者たちで、トチやブナなどを求めて移住生活を続けていて、蔑視や差別の対象とされていたことを知りました。)
 日本の閉塞感を打ち破るひとつの考え方がここには書かれていると思います。

町田宗鳳ホームページ

『若者を喰い物にし続ける社会』(立木信著、洋泉社)

 お年寄りを大切にしないといけないのは言わずもがななんだけど、あまりにも世代間の不公平感が強くなりすぎていて、年金問題に現れている世代間格差はもう限界だとずっと思っています。そんななか、昨年買っていた本ですがようやく今日手に取って読んでみました。大きなテーマを新書で取り上げているので展開のしかたは荒っぽいところがありますが、僕より4歳下の著者の議論には同感です。
 日本が滅びていくとしたら、第三国からの攻撃だとか、資源の高騰とか、自然災害からよりも、内部矛盾から崩壊していくのではないかと思います。現在ある最大の内部矛盾が世代間格差。若者が夢を持っていない国がどうして栄えようか!
 いまの日本の状況は、JALの倒産に至るまでのプロセスがいい例なのですが、これまで恵まれていた時代に経営していた人たちが残していった負の遺産を、われわれ現役世代および若者世代が背負わされながら、国際的な競争も非常に激しくなったこの厳しい時代をサバイブしないといけないことかと思っています。戦後、焼け野原から立ち上がってきた過去の世代の方達の努力には感謝をしつつも、彼らの老後を支えていく負担があまりにも大きすぎる現状をどうにかしないと。
 現在、有権者の平均年齢が44歳、実際に投票する人間の平均年齢は50歳を過ぎているというような話がこの本の中に出てきます。政治家の方達も、老人ホームをまめにまわって票をかせごうとします。日本が活力をなくしている大きな原因のひとつは若者の声が十分政治に反映されていないことだとしたら、若者は絶対に投票すべきだし、20歳からではなく18歳から投票できるようにすることもひとつの方法かもしれません。
 以前このブログにも書いたことがあるのですが、若いうちに必要なのは苦労だと言われてきましたが、それは時代が右上がりの時の話です。それは終身雇用、年功序列でもそれなりに社会が続いていたときのこと。若いうちにへたに苦労すると折れたり、へこんだり、すねたりすることの方が多いし、マイナスの効果の方が多いのではないかと思います。それよりも、若いうちに必要なのは、いわゆるロールモデルではないかと思います。成功している人、活躍している人、いい仕事をしている人たちのそばで、彼らがどのように仕事をし、人と付き合い、どんな本を読み、どんな食事をしているのか。そんなことをすこしでも知ることができる機会を与えてあげること。ただ、ロールモデルを身近に探すことも非常に難しい時代になっていることも確かかもしれません。少しでも、後輩たちのロールモデルになれるように努力はしていきたいです。

『女装する女』(湯山玲子著、新潮新書)

 京都からの帰りの新幹線の中で読み終えた本。
 なんどか本屋では目にしていたけど、まったく食指をそそられなかった本でしたが、この前読んだ、『無頼化する女たち』(水無田気流著、洋泉新書)で知った著者がこの湯川玲子ならぬ、湯山玲子さん。読んでみると、とてもおもしろかった。林真理子の小説を別のかたちで楽しんだような読後感。
 このひと、クロイヌとほぼ同年代なこともあって、懐かしい名前や話しがでてきました。帯には、「10のキーワードで現代女性を読み解く。」とあります。女性たちがこの本を読んで、共感を覚えるのか、これは違うよと感じるのか、聞いてみたいです。
 あとがきにこんな文章があります。「高度消費情報社会の状況下では、女性を女性たらしめていたいろいろな幻想の鎧がひとつひとつ外されていくわけで、外された後にむき出しになった本体そのものは実は思ったよりもたくましく、自由で、どんでもない個性と欲望が普通に存在したというだけだ。しかし、そこのところが肥大しすぎると今度は社会の方がおじ気づいてしまう。そうなると、コミュニケーションであるとか、生きていくこと自体に問題が生じてしまうので、女性たちは”意思”として、あらためて、鎧を付け直す、というような面倒くさい行為にも手を染めている。」
 われわれ男は、母親から始まって、一生をかけて女性たちを理解しようとしているのかと思うことがあります。でも、女性たちはわれわれよりも一枚も二枚も上手のような存在かなと思わせる著者の語り口です。

湯山玲子ブログ

『太らない病気にならない体のつくり方』(川嶋朗著、実業之日本社)

 見出しをたどっていけばだいたい内容は理解できる本です。たぶん、医師である著者の先生がお話になったことを、ゴーストライターがまとめた本でしょう。この本の中で、温泉療法が紹介されていて、秋田の玉川温泉、鳥取の三朝温泉があげられています。一昨年でしょうか、田沢湖に行ったとき、玉川温泉の近くまで行きましたが、残念ながら時間がなく、行けませんでした。また、昨年初めて鳥取を訪問したとき、鳥取市から米子市までの電車が、倉吉に停車したことを覚えています。この倉吉からちょっと行ったところにあるのが、三朝温泉のようです。
 最高の贅沢って、こんな温泉町に、安い旅館でいいので、本を持っていって、1、2週間湯治にでかけることのように思います。