Books I bought in the US

I bought the following books in San Francisco, just before I left the US.
"Why architecture matters" by Paul Goldberger
"TINY Houses" by Mimi Zeiger
"Buddha" by Deepak Chopra
"The Demon-Haunted World_Science As A Candle In The Dark" by Carl Sagan
"Guns, Germs, And Steel_The Fates of Human Societies" by Jared Diamond
"Lapham's Quaterly" (Sports & Games) Summer 2010

『イーグルに訊け―インディアンの人生哲学に学ぶ』(天外伺朗、 衛藤信之著)

上海往復の機内で読み終えた本です。先日ご紹介した『神話の力』と共通するテーマが取り上げられています。この本は2、3年前に買った本で、ベッドの横に積んだ本の中に埋もれていましたが、『神話の力』を読んだこともあってこの本を手に取ってみました。
天外伺朗は、 ソニーの技術者で、ロボット犬「AIBO」の開発責任者として知られる一方、ニュー・エイジ系の著作も多い方です。
 
「お年寄りと子どもを離してはいけない。彼らを引き離すことは、過去と未来を断つことと同じだ」(ラコタ族長老の言葉)
この言葉だけでも、この本を読んでみる価値があるのではないかと思わせてくれるはずです。
僕は飛鳥新社からのハードカバーで読みましたが、ソフトバンクパブリッシングから文庫もでているようです。

iPad on Business 出版記念パーティ

知人の大木さんが今月末、iPad on Business という本を出版します。もちろん僕はアマゾンで予約をいれていますよ。長くソフトバンクに勤務された経験を持つ、ITと人材育成の専門家の方です。8月4日小社の会議室で、出版記念セミナーを開催します。
詳細は大木さんのブログをご覧ください。
「走れ!プロジェクトマネージャー!」

大木さんのお話、僕は楽しみにしています。

『神話の力』(ジョーゼフ・キャンベル、ビル・モイヤーズ著)

 神話学者のジョーゼフ・キャンベルに、ジャーナリストでキャンベルの熱烈な読者でもあるビル・モイヤーズが行ったインタビューを一冊の本にしたもの。現在まだ読書の途中ですが、非常にすばらしい本です。資本主義が大きな曲がり角を迎え、自然・環境との共生、生物多様性を根本から考えないといけない地点に人類がたつなか、考えるヒントが詰まった一冊と思います。

 「科学が信仰を大掃除」(ソール・ベロー)してしまっても、人類は新しい神話を必要としていること、その新しい神話は、地球という惑星とその上のあらゆる人間について語ったものであるだろうこと。しかし、その神話は、これまでのすべての神話とまったく同じように、「個人の成長ー依存から脱して、成人になり、成熟の域を通って出口に達する。そしてこの社会との関わり方、またこの社会の自然界や宇宙との関わり方」を、新しい神話も語らなくてはならないこと。ただ、一つ違いがあるとすると、新しい神話が語る社会は、この惑星全体の社会でなくてはならないこと。

 第一章の終わりに、これまで僕が読んだ中でもっとも美しい手紙のひとつと言える手紙が紹介されています。それは、1852年頃、先住民部族であるインディアン部族の首長であるチーフ・シアトルに、合衆国政府が土地購入の話を持ちかけた時の返答です。

 「ワシントンの大統領は土地を買いたいという言葉を送ってきた。しかし、あなたはどうして空を売ったり買ったりできるだろう。あるいは土地を。その考えはわれわれにとって奇妙なものだ。もしわれわれが大気の新鮮さを持たないからといって、あるいは水のきらめきを持たないからといって、それを金で買えるものだろうか?この大地のどの一部分も私の部族にとっては神聖なものだ。きらきら光る松葉のどの一本も、どの砂浜も、暗い森のどの霧も、どの牧草地も、羽音をうならせているどの虫も。あらゆるものが私の部族の思い出と経験のなかでは尊いものだ。われわれは血管に血が流れているのを知っているように、木々のなかに樹液が流れているのを知っている。われわれは大地の一部であり、大地はわれわれの一部だ。香り高い花々はわれわれの姉妹だ。クマ、シカ、偉大なワシ、彼らはわれわれの兄弟だ。岩山の頂き、草原の露、ポニーの体温、そして人間、みな同じ家族なのだ。」

 「われわれが自分の土地を売るとしても、大気はわれわれにとって貴重なものであることを、大気はそれが支えるあらゆる生命とその霊を共有していることを、忘れないでほしい。」

 「あなたがたは、われわれが自分の子供たちに教えたのと同じことを、あなたがたの子供たちに教えるだろうか。大地がわれわれの母だということを?大地に降りかかることは大地の息子たちみんなに降りかかることを。」

 「われわれはこのことを知っている。大地は人間のものではなく、人間が大地のものだということを。あらゆる物事は、われわれすべてを結びつけている血と同じように、つながりあっている。人間は生命を自分で織ったわけではない。人間はそのなかでただ一本のより糸であるにすぎない。」

 「最後のひとりになったレッドマン(インディアンのこと)が未開の原野といっしょにこの世から消え去り、彼の思い出といえば、大平原を渡る雲の影だけになってしまったとき、これらの海岸や森林はまだここにあるだろうか。私の部族の霊が少しでもここに残っているだろうか。」

 「われわれが土地の一部であるように、あなたがたも土地の一部なのだ。大地はわれわれにとって貴重なものだ。それはまたあなたがたのためにも大事なものだ。われわれはひとつのことを知っている。神はひとりしかいない。どんな人間も、レッドマンであろうとホワイトマンであろうと、おたがたいに切り離すことはできない。なんといっても、われわれはみな確かに兄弟なのだ」

 冒頭から最後の一節まで、一部略しながらご紹介してしまいました。この手紙を読んでいて、チーフ・シアトルの偉大な思想に心を揺さぶられました。そして資本主義や物質主義が行き詰まった時、彼の思想が何世紀かのときをへて蘇る日がきっと来るだろうという予感がします。

『落葉隻語_ことばのかたみ』(多田富雄著)

昨日に引き続く多田富雄先生のご著書。あとがきは今年2月、そして4月にお亡くなりになられました。
母校の千葉大学で最後のご講演となった(はずの)「若き研究者へのメッセージ_教えられたこと、伝えたいこと」を読むだけでもこの本の価値があるかと思います。この講演の中で、多田先生は、恩師のひとりである石坂公成教授から教えられたこととして、以下のようなことをあげています。
1競争の激しい一流の主題に取り組みなさい。それは万人にとって大切なことだから人が集まる。それを避けて競争の少ない主題に逃げると、一生、落穂ひろいのような研究しかできない。
2実験をやるときは、必ずうまくいくと思ってやれ。どうなるかわからないと自分があやふやに思っていてはうまくいくはずがない。
3どうしてもだめだと思ったときには、一度実験を止め、撤退する勇気を持つこと。これが一番難しい。
多田先生は、これらを、恩師から教えられた「研究者の三つの勇気」だとされています。
ビジネスにもかなり当てはまる「三つの勇気」ではないかと思います。
能にも造詣が深かった多田先生には、白洲正子さんと共著の『花供養』という本があります。次はこの本を読んでみようと思っています。

『残夢整理_昭和の青春』(多田富雄著)

岐阜県の郡上高校訪問の帰りの新幹線の中で読み終えました。免疫学者、多田先生の最後のご著書。今年4月、ガンのためにお亡くなりましたが、それまでのほぼ10年間、脳梗塞のため声を失い右半身付随のまま、不屈の魂で執筆活動をされていました。一般向けに書かれたエッセイ等を愛読してきました。
最後のご著書となったこの『残夢整理』は、旧制中学の同級生のN君、画家・永井俊作、従兄弟・篠崎裕彦、千葉大学医学部での恩師である岡林先生、能楽師・橋岡久馬たちの思い出を綴った6つのエッセイです。彼らの思い出を語ることで、著者は自身の青春をたどっていきます。「彼らを思い出すことは、彼らを復活させることにもなります。それも限りなくやさしいやり方で」(著者から編集者への手紙)
恩師・岡林先生のお話を特におもしろく読ませていただきました。

吉良俊彦著『1日2400時間発想法』(プレジデント社)

 「アイデアエクスチェンジ」にご登場いただいたこともある、元電通社員でメディアコンサルタント、大学教授の著者の最新著作。僕は吉良さんのお書きになられた『ターゲットメディア主義_雑誌礼賛』のファンです。この本を読んだあと、ぜひ吉良さんにお会いしてみたいと思い、共通の知人経由でお願いして「アイデアエクスチェンジ」にご出演いただきました。(吉良さんとの「アイデアエクスチェンジ」

 最新のご本の副題は、「他人の時間を盗めばアイデアは生まれる!」と軽いノリなのですが、中身はいたってマジな本です。ただし、読みやすさは抜群です。僕自身、共感することがたくさんありました。また、吉良さんが提案されている「1日を2400時間にする13箇条」の一番にあげられている「画一的な生活からの脱却」は、ここ数年僕も意識して心がけていることです。たとえば、自分で勝手に「新日本紀行」と銘打っている全国各地のお取引先訪問。3年ほど前から、各地でお世話になっている学校、企業の方々を訪問していますが、自分の脳の中を活性化するのに役立っていると、自分では感じています(大した脳ではないので、効用は限られているかもしれませんが)。13箇条には以下のようなことが続きます。

2 自分の常識が人の常識ではない。

3 学ぶことの蓄積がないとアイデアは生まれない。

4 同一視点発想からチャンネル変換型発想へ。

5 5W1Hで考えよう。5W1Hは万国共通の状況設定語。

6 自己評価をするな。他人からの評価を素直に受け止める。

7 「難しい言葉」は自尊心の表れ。だから「簡単な言葉」で話す。

8 ポジティブシンキング。

9 自分自身は何割バッター?(目標達成率の認識)。

10働かなければ失敗しない。

11自分の会社、学校、家族の悪口を言うな。それは自分に対しての悪口。

12上流に戻れ。

13仕事や学業のレベルは必ず上がっていく。だから難しいことにチャレンジ。

このなかのいくつかは読めばわかりますが、他のものは本を読んでいただかないとわからないでしょう。だからぜひお読みいただきたい。

 各章にはさまざまな本や人物の発言からの引用があります。僕の心にずっと残っているのは、清原和博の2000本安打達成を祝す、イチローの以下のような言葉。

「2000本という表に出ている結果よりも、4000とか5000とか、数字は分からないですけど、多くの失敗を繰り返してきたと思います。その数だけ悔しさがあったと思いますし、それに対して共感します。」

 努力した者だけ、チャレンジした者だけが、同じように努力し、チャレンジした人間のことを理解しうるのではないかと思います。

『考えよ!_なぜ日本人はリスクを冒さないのか?』(イビチャ・オシム著)

 ワールドカップ開催中の今こそ、読んで損はない本。日本の試合を楽しむためにも。それに各紙が競ってオシムのコメントを掲載していることもあるので、オシムが日本代表に関してどのように考えて来たのかを背景として知っておくこともプラス。
 副題にもなっている「なぜ日本人はリスクを冒さないのか?」という問いに対して、オシムはこのような答えを自答しています。
「かつて東洋の小国だった日本は、太平洋戦争においてハワイを先制攻撃するというリスクを負った。そして何者でもなかった者が、何かになりたいことを望む経験をした。だが、その太平洋戦争において日本は敗戦を味わう。おそらく想像するに、そこが歴史的に日本人のメンタリティの転換期になっているのだろう。リスクを負うということが、日本人にとっては深層的なトラウマになっているのではないか。」これはボクが日本の歴史に関して、特に太平洋戦争に負けたことに関心を持っているからもあってここに引用します。
 他にも、この本の中で、赤線を引いた文章や言葉はたくさん。オシムがなぜ日本人(ボクも含めた)に人気があるかというと、彼の言葉選び、表現方法が僕らが求めているもの、受け入れやすいものだからか。それとボクは、オシムがカネの魔力を自覚している、大金が人間(もちろん、サッカー選手を含む)を簡単にダメにしてしまいがちだということをわかっていることも、オシムのファンである理由のひとつかな。
 「おわりに」にオシムがこんなことを言っています。
「人生で起こりうることすべてがサッカーに集約されていて、サッカーで起こりうるすべてのことが私の人生にも起こってきた。」僕ら日本人の人生においては、まだサッカーはそれだけの位置を占めていないかな

岡山訪問、それから塩野七生著『日本人へ_リーダー編』

 今日は岡山に日帰り出張。午後お取り引き先の方々との会合のため。高松や鳥取からもお越しいただいた皆さん、ありがとうございました。率直なご意見等、感謝いたします。羽田から飛行機に乗り岡山空港を初めて利用しました。山の上を切り開いて作ったようなところで、広島空港を思い出しました。広島空港よりか市内に近いでしょうか。
 行き帰りの飛行機で、塩野七生さんがずっと雑誌「文藝春秋」に連載されているエッセイをまとめた本を読みました。このごろはもう文藝春秋の読者ではなくなっているので、40のエッセイのうち読んだことがあるのはほんの2、3でした。
 この中で、僕がとても感心したのは、「拝啓 小泉純一郎様」という一文。この中で、塩野さんは、郵政選挙で大勝した小泉さんにこんなことを書かれているのです。
 「しかし、盛者は必衰であり、諸行は無常です。今回の大勝が、政治家としてのあなたの「終わりの始まり」にならないとは、誰一人断言できないでしょう。」さらに、「私があなたに求めることはただ一つ、刀折れ矢尽き、満身創痍になるまで責務を果たしつづけ、その後で初めて、今はまだ若僧でしかない次の次の世代にバトンタッチして、政治家としての命を終えて下さることなのです。」
 なんてすごい予言なんだ!と思ってしまいました。まさにこの通りに小泉政治は終わり、郵政改革は中途半端なまま、いままた過去の状況に引き返されようとしているかに見えます。
 塩野さんのエッセイは読んでいておもしろいです。どうしてこのくらいの、まっとうなことを考え、そして正々堂々とお書きになられる評論家やエッセイスト、文筆家が多くいないのか。
 もうひとつこの本の中でうれしかったことがあります。それは最近僕もその存在を知り、半自伝も読ませていただいた、石井米雄先生のことが紹介されていたから。(→
「道は、ひらける」石井米雄著)塩野さんの石井先生評がまたいい。
 「この人のインタビューを読んで感心した。まず、ユーモアがある。ユーモアのセンスは臨機応変のセンスとイコールな関係にあるから、政党や省庁の抵抗をかわしながら目標に到達せざるをえない組織の長としては最適な資質である。」
 「第二に、歴史という怪物を、この方はよく後存知。」そして石井先生がインタビューの中で言われた以下のような発言に特に注目されています。「最近、歴史認識という言葉が跋扈していますが、これは要注意です。たとえば、韓国人と日本人が同じ歴史認識を共有できるわけがありません。しかし、歴史事実は共有できる。アーカイブの意味と価値は、まさにそこにあるのです。」
 引用していると、止めどがなくなるのであとひとつでやめておきます。「自己反省は、絶対に一人で成さねばならない。決断を下すのも孤独だが、反省もまた孤独な行為なのである。」これはリーダーの条件としてあげられているのですが、組織のリーダーでなかったとしても、一人ひとりがこのような孤独な作業を重ねていかないといけないのではないかと思います。
 

「ドル終焉」(浜矩子著)

浜先生、最近よくマスコミに登場されます。朝のNHKラジオ等でもしばしばお声を拝聴。

この本の帯には、「二番底どころの話ではない。暴走と転落を繰り返す恐ろしい世界へ!」なんて、それこそ映画エクソシストか、ヘルハウスかというようなコピーがあります。内容は、かいつまんで戦後の国際金融のたどった道を案内してくれています。

「グローバル恐慌は、ドルの最後の舞台となる!」と本の表紙にあります。浜先生はドル弱気派なのかもしれません。確かにアメリカ経済もめちゃくちゃかもしれませんが、贅肉と成人病、生活習慣病の経済運営は、ヨーロッパも日本もかなりのものなので、これから一体全体、どうなっていくのか、誰にも予想がつかないのではないかと思います。中国を筆頭とする新興国経済はどのくらい強いものなのか。中国の不動産マーケットのバブルはどうなるのか?

それから、ヘッジファンドが悪者だという誤解をしている人が多いというご指摘は正しいと思います。

僕はそう簡単にはアメリカ帝国、「IT+金融帝国」は崩壊しないのではないかと思っています。アメリカの金融ビジネスの規模は大幅に縮小するかもしれません。でも、ドル終焉と言っても、ドルに代わってリーダーシップをとる通貨、そして国家経済はどこなのか?実はアメリカに人口が流入し、国内でも人口が増え続ける限り、アメリカはある意味、「永遠の新興国」なのではないかと思います。

最後に、「ザ・シティ 金融大冒険物語」よりかは、こちらのご著書の方がいいかなと思いました。