歴史を学ぶ、歴史から学ぶ。

 昨日は動物病院に行く以外、どこにもいかず家で本を読んだり、映画を見たり。映画は、ブルーレイで黒澤の「影武者」を観た。
 この前も書いたけど、仲代達矢は好きな俳優のひとりだ。「影武者」は黒澤の絵コンテそのもので、美術・装飾がすばらしい。
本はなんさつか並行して読むのが常で、今朝読み終えたのが、『昭和・戦争・失敗の本質』(半藤一利)。半藤さんの本は読み物として気軽に読めるので忙しい身にはありがたい。
 いつも太平洋戦争前後のことを読むと、当時のリーダーやエリートたちはどうしてこんなにアホで世界のことを知らなかったのかと、哀しくなってくるけども、決して上の連中だけでなく、国民レベルでも勇ましい、感情的なことを言っていたのは確かだろう。
 尖閣列島を巡る中国政府とのやりとりをみていると、日本の対外交渉の基礎知識と方法論の欠如は太平洋戦争のころだけでなく、現在にも続いていることかもしれない。

 太平洋戦争で米軍の捕虜になった人が書いた本でおもしろい本がある。『虜人日記』という本で、小松真一さんという方が著者。1911年東京日本橋生まれ、32年東京農業大学卒。科学者として台湾でブタノール工場創設、1944年にフィリッピンに軍属としてブタノール生産のため派遣され、敗戦とともに46年まで捕虜生活。戦後は会社経営。1973年逝去。死後筑摩書房から出版された本書『虜人日記』によって毎日出版文化賞。

 この方は、ご本の中で「なぜ日本が負けたのか」ということを以下のように書かれている。

1 精兵主義の軍隊に精兵がいなかった事。然るに作戦その他で兵に要求される事は、総て精兵でなければできない仕事ばかりだった。武器も与えられずに。米国は物量に物言わせ、未訓練兵でもできる作戦をやってきた。
2 物量、物資、資源、総て米国に比べ問題にならなかった。
3 日本の不合理性、米国の合理性。
4 将兵の素質低下(精兵は満州、支那事変と緒戦で大部分は死んでしまった)。
5 精神的に弱かった(一枚看板の大和魂も戦い不利となるとさっぱり威力なし)。
6 日本の学問は実用化せず、米国の学問は実用化する。
7 基礎科学の研究をしなかった事。
8 電波兵器の劣悪(物理学貧弱)。
9 克己心の欠如。
10 反省力なき事。
11 個人としての修養をしていない事。
12 陸海軍の不協力。
13 一人よがりで同情心が無い事。
14 兵器の劣悪を自覚し、負け癖がついた事。
15 パアーシー海峡の損害と、戦意喪失。
16 思想的に徹底したものがなかった事。
17 国民が戦いに厭きていた。
18 日本文化の確立なき為。
19 日本は人命を祖末にし、米国は大切にした。
20 日本文化に普遍性なき為。
21 指導者に生物学的常識がなかった事。
順不同で重複している点もあるが、日本人には大東亜を治める力も文化もなかった事に結論する。

 以上、恐ろしいのは、小松さんがあげている21の敗因は、われわれのなかに、ほとんど変わらず見られるということだ。バブル崩壊後のわれわれを見ればいい。政治も、ビジネスも同じ。

外交専門誌『外交』

知人が教えてくれた外務省発行の専門誌です。
アマゾンでも購入できますし、時事通信社出版局でも発売しています。
時事通信社出版局で、創刊号から6号まで注文しました。

外務省

関西日帰り訪問と行き帰りの新幹線での読書。

 試験を採用いただいている京都、大阪の大学、短大、それからお世話になっているお取引先訪問。日頃のご愛顧に心より感謝申し上げます。京都では夕食をお取引先の社長とごいっしょし、東京駅に夜11時前着の新幹線で帰ってきました。自分自身に「お疲れさま」。
 
 行き帰りの新幹線の中で読んだのが、『日本人のための戦略的思考入門_日米同盟を超えて』。著者は『日米同盟の正体』を書かれた元外務省高官の孫崎享氏。驚いたのは、戦略的思考を学ぶために、マイケル・ポーターなどの経営理論も勉強した方がいいと、外交、防衛の専門家が書かれていること。その理由のひとつは、この本の中でも紹介されている、ベトナム戦争の責任者のひとりでもあったロバート・マクナマラ(『ベスト&ブライテスト』の主人公!)が、国防省に移る前、ハーバードビジネススクール卒業生で、フォードの社長として活躍したということもあるかな。
 
 「日米同盟」とは、「従属関係における虚構の同盟」がその本質であるとされていて、これまで、日本がノー天気に戦略もなく金儲けに集中する事ができたのは歴史的な幸運にすぎないこと、中国が台頭し、アメリカにとってのアジアの最重要パートナーが中国にとって代わっていくなか、日本は「誰が」「なぜ、いかなる方法で日本を脅かすのか」「どう対処するのか」を考えつづける必要があるとされています。
 
 本書の中で紹介されていることで驚いたのは、1960年代、外務省の主流派と思われるような方々の間で、対米従属路線を良しとしない考えの方たちがまだ健在だったこと。もうそのような考え方をする人は、外務省にはいなくなっていて、対米従属を続けていくことしか考えていないのではないかと、少々悲観的なコメントも。

 孫崎さんは最近ネットメディアでの発言回数を増やしているようで、この前は、Uストリームで1時間ほどのインタビューを拝見しました。尖閣諸島問題でもツイッターでかなり発言されています。

 京都でお取引先の社長さんからは、大学関係者も現状認識があまい方が多く、これから倒産する大学がでてくるのではないかという話がありました。さらには、日本全体がゆでカエル状況にあって、目にはっきりとは見えなくても、すこしずつ落ちている、その様子は5年、10年単位で見た時によりはっきりとしてくる。一気に落っこちるのであれば、人は対応するけども、そうでないとただ現状の中で漫然と時間を使っていく。日本の将来に非常に不安を持つ、さらには「孫の世代はだいじょうぶだろうか?」とさえおっしゃっていました。
 孫崎さんの本の中で繰り返し出てくる、日本人は長期的戦略思考をいっさいしてこなかったという話に通じるものを感じます。日本全体で、戦略もふくめた経営力がますます必須になっています。

海老坂武の「私の収穫」(朝日新聞夕刊)

 朝日新聞夕刊文化ページの「私の収穫」というコラムに、大学1年生のときのフランス語の先生だった海老坂先生の連載が始まった。(海老坂先生に関しては、なんどかこのブログで書いた)
 
 一回目の今日は、ピカソが晩年を過ごした南仏のシャトー訪問時に感じた事を書かれている。このシャトーは、セザンヌがなんども描いたサント・ヴィクトワール山の真ん前に位置し、テラスからはその山と対峙することができるそうだ。「そうか、生活のあらゆる虚飾を捨ててこうやってセザンヌと向かい合っていたのか…ピカソの精神の姿勢に触れる思いがした。どうやって裸になるか。捨てられるか。裸になったとてピカソに近づけるわけではないのだが。」
 去年、今年と、海老坂ゼミだった同級生と会い、食事をすることができたのはうれしかった(その一人は、卒業以来の出会い)。
 
 今週は、新訳がでたサルトルの「嘔吐」(人文書院)を注文した。海老坂先生はサルトルの研究者の一人で、「自由への道」の新訳を岩波文庫で出されたけど、この「嘔吐」は鈴木道彦先生の訳。鈴木先生も僕が大学在学中にはフランス語の授業を担当されていたお一人。

華人のことわざと『孤独のチカラ』(斎藤孝著)

 この前上海を訪問した際に朝食をご一緒したコンサルタントの方が、「日台合併の真価」というニュースレターを書かれていました。その中で紹介されていた華人のことわざが、「寒さが骨身にしみる時期を経ずに、梅の花がどうして濃厚な香りを発するというのか」。味わいのある、いい言葉だと思いました。何度も読み返してみたいことわざです。(ちなみに、このニュースレターの中では、中国市場で一番成功しているかに見える台湾企業たちも、骨身にしみる失敗を乗り越えて来たところが多いという話が紹介されています。)
 言葉と言えば、「声に出して読みたい日本語」の斎藤孝さんの『孤独のチカラ』という本が、新潮文庫の最新刊としてでています。この本は、若い人たちにおススメしたいです。生きていく過程では、必ず一度や二度は孤独の時期があります。そんな時期を持ったことがないなんて人は、よっぽどオメデタイ、薄っぺらな人です。また事をなすには、ただ一人で、水底に向かって深く、深く沈んでいき、そしてもう一度、水上に跳ね上がっていくようなプロセスを、どうしても経ないといけないのではないかとも思います。その孤独と恐怖を克服していくことが、必要になってきます。
 「和して同ぜず」という言葉も好きです。表面だけでも同じことを言っていないと仲間はずれにされるような社会からは、飛び抜けて優れた人材は育ってこないです。これからの世界で、日本がこれまで同様に豊かで平和な国であるためには、もっともっと優秀な人材が必要になるはずです。たとえ「同ぜず」とも、きっと友人は見つかると思います。その友人がたった一人であったとしても、それだけでもきっと生きていく勇気になるような気がします。
 最初の華人の言葉に返りますが、「寒さが骨身にしみる時期を経ずに、梅の花がどうして濃厚な香りを発するというのか」。とてもいい言葉です。

本づくりの大変さ。

今月の「私の履歴書」(日経新聞)は哲学者の木田元さん。あと数日で終わってしまうけど、今朝の回ではこれまでお世話になった編集者の方たちへのお礼の気持ちを表されている。僕の好きなみすず書房(小尾俊人さん!)、そのほか青土社、平凡社などの担当編集者のお名前がでてくる。

木田先生の「ひどく汚い原稿」を、徹夜で清書しなおして印刷に回す編集者の心配り。表にでてくるのは、スターの名前だけど、実は裏方さんたちの支えがあって作家(それは音楽家だって、スポーツ選手だってそうだろうし、会社経営における社長の立場もそうです)は仕事を進めていくことができる。

僕らの会社も、文字通り細々とですが、翻訳出版事業を行っていて、年に2冊程度、自転車や経営に関する書籍を出しています。本の選定の一番楽しい部分は僕がやらせてもらっていますが、そのあとの販売に至るまでの仕事は、一人の専任社員が汗をかいています。翻訳者の仕事もそうですが、本づくりと本の販売ほど、単純にカネのことを考えると、割に合わない仕事もないかもしれないです。

それでもやっていきたいと思うのは、魅力もあるから。

ネットと本は違う。Digital Native (生まれた時からのネット世代)もいいけど、本を買う、本を読む、本を持ち歩く、そんな楽しさを知らないなんて、ものすごい損をしていると思うけどな。

アメリカン・ブック&シネマ

『遺し書き_仲代達矢自伝』(仲代達矢著)

 今年7月にでた中公文庫からの一冊です。
2年ほど前にも黒犬通信で書いたことがある仲代達矢の自伝です。(→バックナンバー

 日本を代表する俳優の一人。彼が奥さん(元女優の宮崎恭子)といっしょに作った無名塾もすばらしいと思います。この本を読んで演技とは別のところでも彼のファンになりました。先に逝ってしまった奥さんの存在の大きかったこと!

『奇縁まんだら』(瀬戸内寂聴著、横尾忠則画)

 日経新聞日曜日版に連載されいている傑作エッセイ集、第一弾。今日はどこにもでないで、犬たちと遊びながらこの本を読んで過ごした。(夜は、レイソル対ジェフの千葉ダービーをテレビで観戦)
 
 作家たちの付き合いの内幕、作家たちの個性の一部を伺うことができる。この巻で取り上げられている作家たちは、島崎藤村、間正宗白鳥、川端康成、三島由紀夫、谷崎潤一郎、佐藤春夫、舟橋聖一、丹羽文雄、稲垣足穂、宇野千代、今東光、松本清張、河盛好蔵、里見弴、荒畑寒村、岡本太郎、檀一雄、平林たい子、平野謙、遠藤周作、そして水上勉。豪華絢爛!
 このエッセイだけとりあげると、瀬戸内寂聴は文壇レポーターかと、思えてくる。内容は滅茶苦茶おもしろい。そして横尾忠則の絵がいいのだ!
 続編を読むのも楽しみ。

『経営の才覚』(原著名:Knack)著者の紹介

株式会社アメリカン・ブック&シネマの出版作品のひとつ、『経営の才覚』。著者のひとりであるノーム・ブロドスキーは、起業家向け雑誌として有名なInc. 誌でコーナーを持っています。アメリカでももっとも有名な起業家アドバイザーです。ご参考までに。
株式会社アメリカン・ブック&シネマ「経営の才覚」
Inc. 誌上のノーム・ブロドスキーのコーナー

『問題は、ビジネスセンスを磨くことだ!』(吉越浩一郎著)

 副題に「資格とスキルに頼るな!」とあって、ちっと気になって読んでみましたが、合理主義者(であると、著者のことを想像しています。お会いしたことがありませんが)らしい、またいい意味での常識人である、結果を残された経営者のお話です。(著者はトリンプインターナショナルの、それこそ、「伝説的な」経営者。2006年に退任)

 資格に関しては以下のようなことを述べられています。

・日本のビジネス社会で案外役に立つのが「資格」です。

・「資格」は、転職先に自分を売り込むときにも、有利に働きます。

・社内においても、資格を持っていることが昇進の際に有利に働くことはありうることです。

・世の中には疑問符の付く資格もありますが、TOEICなど、自分の知識レベルの証明になるようなものは活用してみてはどうでしょうか。

・職務経歴書に書ける専門性を身につけにくい日本のビジネス社会では、資格は自分のチャンスを広げていく上でかなり有効です。

・ないよりはあったほうが得をすることが多いですから、知識のベンチマークのつもりで、資格取得を目指してみるのも一つの方法だと思います。

 お会いする機会があれば、小社で行っている資格についてもご紹介させていただきたく存じます。