視覚言語から音声言語へ

今日の日経新聞朝刊(日曜日だから朝刊しかないのだけど)文化ページに、東京芸大の布施英利(ふせひでと)さんが「キーボードが消える日」というエッセイを書いていた。30年ほど前に『電脳版 文章読本』という本のなかで、これからは文章は書くのではなくキーボードを打つことで文章を作っていくようになり、それに伴って思考方法も変わっていくだろうという予測をだしたということだった。
そして今度は、Apple Watchに話しかけるとそれを文章にしてくれるアプリが登場したこと、日経新聞に出した当のエッセイもキーボードを打ったのもではなくAIボイスレコーダー(Plaud Notepin)に原稿の内容を読み上げ、そのあと文字になった文章に手を入れたものだということだった。

僕自身のことでは、目で本を読むのがだんだんしんどくなってきて、ここ数年オーディオブックをたいへん重宝している。『戦争と平和』はなんどか挫折したのだけど、オーディオブックのおかげで最後までたどり着くことができた(どのくらいの理解度だったかは別にして)。
書かれた文字を追いながらの読書体験からオーディオブックで文字(文章)を聴きながらの読書体験が、自分の中では主流になりつつある。

ホメロスの『Odyssey』は、もともとは口承の物語だったし、日本の古典にもそういうものがたくさんある。作品の制作の過程でも変化が起きてくるかもしれない。

6月にはいって

今月に入って初めての「投稿」。自分自身のための備忘録として。

いつの放送だったか、調べればわかることなんだけど、NHKのEテレ「こころの時代」で拝見した訪問診療医の尾崎容子さんが書かれた『それでも病院で死にますか』(副題は、「人生の最期、住み慣れた場所で旅立つ幸せ」)という本がいい。病院は病気を治すところで、もう治すことができない状況になったら自宅に帰って弱った身体をたいせつにしながら、「死を前にした濃密な時間を大事にすべき」というメッセージ。

6月4日に、東京會舘で年に一度の「オデッセイ・デー」。MOSとAdobeの世界学生大会に派遣する日本代表の発表会のあとには、この1年お世話になったお取引先をお招きしての食事会。それぞれのセッションの冒頭あいさつをするのに、今回は時間をかけてあいさつの原稿を用意した。

その一週間後の6月11日。SATOインターナショナルグループが定期的に行っているオンライン講演会で1時間ほどお話をさせてもらった。「いまさらワード、エクセルですか?!」というちょっとユーモラスなタイトルで。こちらもしっかり原稿とスライドを用意、2名の社員にサポートしてもらいながら当社の会議室に備えたPC数台を使って実施。
8月には、オデッセイとコン検の共催という形式で、今回用意した原稿をすこし手直ししてオンラインで講演をすることにした。

気晴らしには日ハムの試合をテレビで観戦。新庄監督4年目。今年はパリーグ優勝を期待している。

「人生で大切にしたい愛の言葉」

2025年2月8日づけの日経新聞(日経プラス1)の『何でランキング』で、「人生で大切にしたい愛の言葉」として有名人たちが残した10の言葉が紹介されていた。
一位は、サンテグジュペリの「愛することは互いに見つめあうことではない。一緒に同じ方向を見つめることだ」。二位は「人生最大の幸福は、愛せられているという確信にある」(ヴィクトル・ユゴー)
このあたりの言葉にはまったく異論なし!
でも、一番共感するのは、ボーヴォワールの以下のような言葉。さすが「アンガージュマン」の哲学者だ。
「恋愛は自分を相手に与えることによる自己の発見であり、世界を豊かにすることであるだろう」。『第二の生』にあるそうだけど、今度どのあたりにあるのか探してみる。

「昨日に学び、今日を生き、明日に希望を持つ」

「統計分布を知れば世界が分かる_身長・体重から格差問題まで」(中公新書)がおもしろかった。著者の松下貢さんのほかの本も読んでみたい。
著者がこの本についてのインタビューの中で、アインシュタインのコトバとして、「昨日に学び、今日を生き、明日に希望を持つ」を紹介していた。いいコトバだ。今日を生き、というコトバは、今日の挑戦と置き換えたい。「学習」「挑戦」「希望」。この2年間ほど言ってきた「学習の連鎖」「挑戦の連鎖」「希望の連鎖」ということにつながる。

安田隆夫著『運』

今日から9月。今年も残り4か月。ここ数週間の日本の天候はいったいどうしたのだろうか。日本列島は台風銀座になってしまっている。

ドンキ・ホーテには数えるほどしか足を踏み入れたことがないけども企業としてはたいへん成功していることは知っていたし、創業者の本を読んであらためて認識した。タイトルは誤解を生みやすい。中身はある意味オーソドックスな経営指南書と読んだ。

丸善丸の内本店訪問

週末は丸善丸の内本店で本を買って3階にあるラウンジで東京駅南口前の風景をながめながら買った本に目を通すのが楽しみだ。
だいたい事前に何冊かネットで注文をしている。それに加えて平積みや棚にある本から1,2冊買うことが多い。土曜日は朝日新聞、毎日新聞、日経新聞が書評ページがあるので、それらを参考にして買うこともある。
今日はネットで注文していた「わが投資術」(清原達郎著)、「独裁体制から民主主義へ」(ジーン・シャープ著)、それから「土佐くろしお鉄道殺人事件」(西村京太郎著)、「人類の会話のための哲学: ローティと21世紀のプラグマティズム」(朱 喜哲著)の4冊を買った。清原達郎は伝説の投資家。予約の段階で8万部「売れていた」ようだからこの本への関心の高さが読める。ジーン・シャープ、朱 喜哲の本は、NHKの「100分de名著」で知った本。この番組は司会役の伊集院光のコメントもおもしろくお気に入りの番組なっている。
西村京太郎の本を買うのは初めて。読むのも初めて。ぼくが生まれた高知県宿毛市が舞台の一つになっている。

The Great Courses

Audible にあるThe Great Coursesのシリーズ。毎月定額の支払いコースの範囲内で無料で聴ける作品がたくさんあって、それらはとてもおもしろい講演が多い。
これまで『Churchill』、『Life Lessons from the Great Books』を聴いた。このふたつの講義は、Rufus Fears というオクラホマ大学の教授。Audibleは日本語の作品にも力をいれているけど、これだけ無料で英語の作品が聴けるだけでも毎月の定額コースに入っている価値がある。
https://www.thegreatcourses.com/

Chip War: The Fight for the World's Most Critical Technology

オーディオブックで耳から読書。翻訳読むよりも値段も安かったし、翻訳版のオーディオブックよりも英語版の方が安い!
半導体が重要なことはわかっているけども、ちょっとフィーバーしすぎ。経産省もなかなか産業政策がうまくいかないから半導体では頑張ろうということなんだろうけど、ラピダスは大丈夫かな?
コロナ騒ぎの渦中では半導体不足で自動車の製造がストップしたし、いまでも手元に届くまで時間がかなりかかっていると理解している。戦争においても勝敗の行方を左右するほどの影響力があるのだろう。
お話の半分は台湾のTSMCのことで、残念ながら日本の企業については過去の栄光を語ることに重きが置かれている。ソニーの盛田さんがなんども出てくるのは、海外の読者を意識してかな。

すごい天気の夜に丸谷才一を読む

大雪警報どおり、久しぶりの大雪。それに加えてゴロゴロと音を立てて雷がなっているのだからこんやはすごい夜だ。あすの朝、どのくらい雪が残っているか?雪かきは腰痛によくないなあ。
週末から、久しぶりに丸谷才一の小説を読んでいる。20年前に買った(はず)、積読になっていた『輝く日の宮』。これが予想外におもしろい。(きっと20年前に買ったのは雑誌か新聞の書評につられて買ったにちがいない)

『訂正する力』(東浩紀著)

今週、日帰りで岡山に出張。行きかえりの新幹線、腰痛持ちにはあまりよろしくない往復7時間。窓側席でお隣の隣人が不機嫌になるのが気になり座ったまま。
ずっと読書とメールのチェックに集中。
往復の新幹線で読んだのが、東浩紀著の『訂正する力』。ひとは誤りをおかさずには生きてはいけないわkで、誤ったことを訂正しながら生きていくしかない。無誤謬である人生も、意思決定も、戦略の実行も、ありえないわけで、結果や現実を謙虚に正面から見、考え、小まめに訂正を加えていくことだと、あらためて思った。
東さんの著作物はおもしろい。