「鉄娘子」の誇り

今朝の読売新聞の「中国細見」というコーナーで、中国の呉儀副首相(69)のさよなら宣言のことが紹介されていました。以下のような発言だそうです。

 「私は完全引退したら、政府関係であろうが、半官組織であろうが、大衆団体であろうが、どんな役職にも就きません。みなさん、私のことは、きれいさっぱり忘れてください。」

 女性副首相として日本でも有名な方ですが、こういう胆力をお持ちの方がトップ層にいらっしゃる中国のことに、この頃関心を持つようになっています。この記事によると、前首相の朱要鎔基は、「辞めたら国民にどんな首相だったと思われたいか」と問われ、「清官(清廉な官吏)だった。そう一言いってもらえれば満足」と答えたそうです。

 このふたつの話、それほど中国での政治家、官僚による腐敗が激しいということの裏返しなのかもしれません。そんな中国の現状でも、強烈な誇りをもって自分の理想を生き抜こうとする真のエリートたちの話にとても関心があります。

 日本の首相にも、お聞きしたいです。「辞めた後、あなたはどんな首相だったと思われたいですか?」と。

 そして、この質問は、僕ら一人ひとりにも返ってきます。会社を辞めた後、あるいはこの世からオサラバした後、なにを残すのか(カネ、家族、それともまったく形のないもの?)、どのように思われたいのか。

 

「田中森一」関連本と年金問題

『反転』がベストセラーになっている田中森一さんの本を続けて2冊ほど読んでみました。『必要悪』はキツネ目男・宮崎学との対談、『バブル』は夏原武(『クロサキ』原作者)との対談。2冊読むと、ほとんど繰り返しになって食傷気味になりましたが、空前絶後の日本経済バブル期に生きた一人の豪胆な男の生き様は、確かにおもしろいものがあります。

 ところで、年金問題はまったく解決のめどが立っていないようで、威勢が良かったマスゾエ先生も言い逃れに終始しているようです。勉強不足なのですが、この年金問題、被害者はわれわれ民間人だけで、公務員にとってはまったくの対岸の火事なのでしょうか?

 田中さんの本を読んだあとに今の年金問題を考えると、年金問題というのは実はバブル期のなんでもありの不動産投資や不動産融資、株式投資などと同じレベルだなという印象を持ちます。バブル崩壊から20年近く経とうとしているいま、国の滅茶苦茶な管理体制があらわになっています。80年代から90年代にかけてのバブル経済が、日本人の金銭感覚を変えてしまったというのが、田中さんの本のテーマのひとつで、この時期、一部の不動産屋たちは借りた金は返す必要もないかのような態度をとっていました。今の政府の有様を見ていると、少なくとも年金に関しては、この頃の不動産屋さんたち以上にひどいかもしれないと思うことがあります。

中国で感じる世界

20年ほど前時々会っていた勉強会仲間数名で忘年会。中の一人は、仕事の関係で北京や長春によく出かけているので、中国、北朝鮮事情を聞かせてくれました。北京にいると、アメリカの存在だけでなく、ロシア、ヨーロッパ、中東、アフリカ諸国、さらにはイスラエルからの人間たちをよく見かけるとか。圧倒的にアメリカ(人)の存在が大きい東京と比べて、北京はアメリカ人以外の存在を感じるということでした。また、北朝鮮にも、日本人以外のビジネスマンたちは、大きな音を立てることなく、関係確立のために進出しているというのが、彼の意見。中国で感じる世界は、東京にだけいてはわからないものがあるに違いない。

情報収集に始まって、対立する関係の中に入っていくことが不得意な日本人。世界は複雑で一筋縄では割り切れない中、日本はどうやって自分のアイデンティティと利害を守っていくのか。

僕も来年は中国語(マンダリン=北京語)を勉強してみようかなと思っています。昨年、オデッセイにアイセックの研修生として来ていた中国人学生のチェンチェンは、今、名古屋大学に聴講生として来ています。来年もアイセックの紹介で中国人学生を受入れる可能性があります。アメリカとだけでなく、中国にもたくさんの友人を作りたいと思います。

不思議なワンダーランド・マカオ

今週末はマカオに来ています。香港からジェットボートに乗って1時間ほどの距離にあるもうひとつの中国です(ポルトガルから返還されて7年でしょうか)。

勉強会仲間たちと来ているのですが、彼らに「強制」されないと、マカオなんて来なかっただろうと思っています。経営者仲間たちとのちょっとした「修学旅行」です。マカオは世界最大のカジノ市場になっているということですが、われわれが泊まっているホテル・ベネチアンは3000室あり、ロビーフロアーには巨大なカジノが広がっています。西洋人は非常に少なく、主な顧客は中国人(本土、香港)のようです。

僕はまったくギャンブルをしないので、このマカオの発展振りを不思議にみているだけです。ホテルベネチアンをはじめとして、米国ラスベガスにある巨大なホテルが同じようにマカオに作られ、そこにどうやって儲けたのかはっきりしない性格のお金(賄賂やピンはね!)も含めたさまざまなお金を持つ中国人たちが、夜、昼、カジノで遊び、いわゆる、「飲む・打つ・買う」を行なっているのが、この町だということのようです。

ここに20年間住んでいるという日本人ガイドさんがマカオの歴史から経済の話まで聞かせてくれましたが、とてもダイナミックな変化を遂げつつある、まさに中国バブルの「あだ花」のような町だと思います。ずっとスタンリー・ホーが経営するリスボアというカジノ付きホテルしかなかったところに、4年前、サンズというアメリカ資本のカジノ・ホテルが進出。数百億円の投資を、1年で回収するという大成功を収めたことがきっかけになって、ラスベガスのほかのホテルがマカオに進出してきたそうですから、そのきっかけを作ったサンズの経営者はたいしたものだと思います。

今日一日いて、明日日本に帰ります。

減っていく国際会議

11月22日付け日経新聞夕刊の「政界なんでもランキング」コーナーで、日本で実施開催される国際会議の数が減っているという記事がありました。2006年の国際会議の開催件数で一番多いのがアメリカで894件。以下、フランス(634件)、ドイツ(434件)、オランダ(391件)、オーストラリア(382件)がトップ5。アジア勢では、シンガポールが298件で10位。日本は、中国(204件)、韓国(185件)を下回る166件で18位。

ジャパンバッシング(bashing) ならぬ、ジャパンパッシング(passing) の一例。

今朝の朝日新聞から。

今朝の朝日新聞朝刊から。記事を読んだ後、「知らされていない」と感じたこと。

その1.日本が、ザトウクジラも「調査」対象とすることに関して、オーストラリアで日本の捕鯨反対の動きがでているそうです。日本ではほとんど報道されていない捕鯨船の出航。日本は「調査」目的の捕鯨といっているようですが、今年も1000頭を捕獲し、クジラの肉を「調査費にあてるために販売」するそうです。記事だけを読んでいると、なんの「調査」なのか、納得できなかったです。水産庁はなにかを隠しているのか?記者も知っていてはっきり書かないのか?

その2.「あしたを考える」シリーズ。南京事件から70年で、日中両国の研究者らが24日から事件に関する国際シンポジュウムを開くとか。シンポジュウムの結果は別途報道があるのだと思いますが、大会への参加者が誰なのか、主催者が誰なのかに興味があります。南京事件は、政治的な立場の違いによって、主張が大幅に異なり、議論が交わることさえも困難ですから。

頼むから税金の無駄使いはやめてくれ!

こんな記事を見ると、時々、叫びたくなります。(日経ネットから)

小沢一郎、あるいはビジネスモデルの模索

ティムオライリーが、コンテンツビジネスは、有料(購読収入モデル)か、無料(広告収入モデル)か、これからも最適なビジネスモデルを模索する時期が続くだろうという趣旨のことを書いています。("Free is more complicated than you think"。「無料は、あなたが考えるよりも複雑な話だ」)

これを読みながら、先週末、代表辞任を表明して大きな反響を呼んでいる民主党代表の小沢一郎という政治家のことを思いました。僕はノンポリで、特定の政党や政治家に肩入れしてるわけではありません。(どちらかというと、保守的な考えを持っているかもしれません。) ただ、小沢さんというのは、自民党から飛び出して以来、自分なりの理想を求めて、日本政治における「ビジネスモデル」を模索してきた人なのではないかと思います。いろいろと欠点や問題点はあるのかもしれませんが。

会社をやり始めて変わったことのひとつは、政治家に対して、好意的な考えを持つようになったことです。(その反面、役人に対しては、シビアな見方をするようになりました)日本の政治のことを糞みそに言う人たちは、自分に唾しているようなもの。自分たちのレベル以上の政治を求めても、そんなものは手に入らないよ。(投票にさえ行かない連中は、僕らが与えられている、ただ一つと言っていいほどの「平等」を捨てているとしか思えないです。)

小沢さんに関して言うと、この前の参議院選挙で、僕が小、中高通った、愛媛県の南宇和郡(現在、町村統合の結果、愛南町という名前に変っています)にまで足を運んでいたことを知り、驚きました。パーフォーマンスかもしれないけど、よくあそこまでいかれたなと思います。(それほど、僻地です!)

日本の食は危ない?!

このブログ(黒犬通信)のテーマなんて、特にこれといったものはなく、実は、誰に読んでもらうということも意識して書いていません。(しいて言えば、会社のひとたちのことは意識しているでしょうか?)その日、その日、感じたことを、自分のためにメモしているというありさまなのですが、あえて一つテーマをあげるとすれば、「日本はヤバイ!われわれ一人ひとりがなにかやらなくては。」ということかなと思います。80年代、アメリカの学校に行っていた頃、「アメリカはヤバイ。このままでは、日本にしてやられる!」という声が、アメリカ国内に多くありました。そのときには、他人事でしたが、20年経って、立場は逆転しています。

10月1日付けの日経新聞を読んでいたら、日本の食品安全基準は、まったく当てにならない、という記事がありました。(「経営の視点」編集委員・太田泰彦) この記事によると、アセアン(東南アジア)の食品加工会社の経営者の発言として、「日本は残り物の市場。食のゴミ箱と呼ぶ人もいる」とか。日本人は、国内の安全基準が、国際的にみて極めて甘いことを知らない、ということのようです。たとえば、醤油(しょうゆ)に含まれる「3-MCPD」という化学物質は、発がん性の疑いを受けて、EUが真っ先に含有量の規制策を打ち出したそうです。この基準は、0.02ppmなのに対して、日本の業界自主規制では、1ppmとなっているそうです。

全国的にビジネスを行なっている、ある製パン会社の菓子パンは、一週間経ってもカビがはえてきません。僕が時々買う、ある小さなパン屋さんのパンは、翌日にはもう硬くなります。夏場などは油断していると、2日目にはもうカビがはえています。それに対して、一週間経ってもカビがはえてこない某大手製パンメーカーの菓子パンには、一体、どれだけの防腐剤が加えられているのでしょうか?国の基準、あるいは業界の自主規制はクリアしているのかもしれませんが、そのような基準は、上記の醤油の例同様、他の国では許されているレベルなのでしょうか?(冗談半分に、この全国展開している会社の経営者は絶対にこのパンなんて食べないだろうなと、社員のひとたちと話したことがあります。)

日本は80年代のアメリカになってしまったのでしょうか?その後、アメリカは再生を繰り返し、特に、金融とIT分野においては、圧倒的な強さを誇っています。日本の再生は?昨日、ビジョンのことを書きましたが、根本的なことから考え直す時期に日本はあるのだと思います。

yaginuma.comの写真

元・マイクロソフトで、山形県在住の柳沼さんのブログからアクセスが増えているので、どうしたのかと思って久しぶりにチェックすると、黒犬通信にリンクを貼っていただいていました。(→-1℃は寒い) 柳沼さん、ありがとうございます。

柳沼さんのお撮りになられた写真を拝見していると、丸の内界隈から、つかの間でいいので、山形の大井沢町にワープしたくなります。

yaginuma.com

追記

マイクロソフトのある南新宿についで、有楽町の丸井の地下にも、話題のドーナッツ屋ができています。1時間も、2時間も待っても食べたくなるほど、ここのドーナッツはおいしいのでしょうか?柳沼さんではありませんが、1時間も、2時間も待って買うので、おいしくなるのでしょうか?そんな時間の余裕がない大人になってしまった黒犬には、1、2時間も待つ人たちは、理解できなくなりました。