「田中森一」関連本と年金問題

『反転』がベストセラーになっている田中森一さんの本を続けて2冊ほど読んでみました。『必要悪』はキツネ目男・宮崎学との対談、『バブル』は夏原武(『クロサキ』原作者)との対談。2冊読むと、ほとんど繰り返しになって食傷気味になりましたが、空前絶後の日本経済バブル期に生きた一人の豪胆な男の生き様は、確かにおもしろいものがあります。

 ところで、年金問題はまったく解決のめどが立っていないようで、威勢が良かったマスゾエ先生も言い逃れに終始しているようです。勉強不足なのですが、この年金問題、被害者はわれわれ民間人だけで、公務員にとってはまったくの対岸の火事なのでしょうか?

 田中さんの本を読んだあとに今の年金問題を考えると、年金問題というのは実はバブル期のなんでもありの不動産投資や不動産融資、株式投資などと同じレベルだなという印象を持ちます。バブル崩壊から20年近く経とうとしているいま、国の滅茶苦茶な管理体制があらわになっています。80年代から90年代にかけてのバブル経済が、日本人の金銭感覚を変えてしまったというのが、田中さんの本のテーマのひとつで、この時期、一部の不動産屋たちは借りた金は返す必要もないかのような態度をとっていました。今の政府の有様を見ていると、少なくとも年金に関しては、この頃の不動産屋さんたち以上にひどいかもしれないと思うことがあります。