シンガポールの活気

Singapore 昨日からシンガポールに2泊で来ています。初めてここに来たのは25年前、大学4年生のときでした。それ以来、何度か仕事で来ていますが、華僑をはじめとする複数民族が必死に働くビジネスの街として、どんどん発展していくのを感じます。こちらで会う人たちが自信に溢れているのに対して、日本は短い成熟期から衰退期にあるのではないかと怖くなってきます。頑張れ、ニッポン!

台湾での日本語学習熱

今朝の朝日新聞記事(「奔流中国21」台湾いずこへ)によると、日本語科を置く大学は台湾で50を数え、学生獲得を狙った新設が相次ぐとか。日本のアニメやドラマが好きだというのが理由。日本がハリウッド映画に憧れたように、もし日本のポップカルチャーを好きな人が世界各地で増えてくれば、さまざまなビジネスチャンスが広がっていくはず。

中国最大のクレジットカード会社

Union_pay この前、野村総研の方から、中国最大のクレジットカード会社のこと(カードの発行枚数、なんと13億枚)をお聞きしたのですが、有楽町のコメ兵でも、この会社のカード、Union Payが使えることを発見。このあたりにも、中国人観光客が多い証拠か?!

投資効果が見えない広告

大学のある集まりで、日本を代表する広告代理店の社長をされている卒業生のお話を拝聴。広告代理店の方のお話をお聞きしてよく思うこと。

1 カタカナの連発で、新しいコンセプトを打ち出そうとする。でも、どこに本質的な変化があるのか、こちらの理解不足のせいか、不明。

2 大衆、分衆、固衆、あるいは生活者など、消費者にさまざまな名前をつけたりして、個人も賢くなってきたというようなことを強調されるけど、どうやって圧倒的な広告の力でモノを買わせるかという、消費を強制する対象としての「消費者」以上の見方が感じられない。

3 時代の変化で一番分かりやすいことは、インターネットが登場したこと。そして、新聞、テレビ、ラジオ、雑誌の4媒体の中でテレビの力は若干落ちて、他は急激に落ち込んでいるということ。「広告費の使い道としてネットを入れましょう」。

4 そして一番肝心なこととして、広告の効果をはっきりとご説明いただけないこと。

 

教育と広告というのは、投資効果の測定が難しい。どちらも一定の期間、粘り強く行なわないといけないこと、ところがほんのちょっとしたことが大きな結果につながることもあるなど、その不確実性が高い。(「あの一言で、自分はやる気になった」ということもありますから)

 大学の同級生で、某社のO君の話では、「さまざまな求人媒体を使ったあげく、採用した人材は某大学の校門前に張っていたビラを見てきたひとだった。そのほか、採用した人材も、どの求人媒体を見て、面接に来たのか、それさえ、ろくに答えられない面接者ばかり」。求人媒体の商売をしているO君の会社にとっては、実に恐ろしい話だ、とか。

 そのほか、どの会社に面接に来ているのかさえ、はっきり自覚していない面接者の話とか、まあ、おもしろいというか、おかしくなった日本の現状の話をしながら、「こんな状況はおかしい」という彼の意見に頷いていた黒犬でした。

ルーマニアからの来客

2年前、大学時代の友人の紹介で東京に来たルーマニアのIT会社の連中が、今週、再来日しています。彼らは医療分野へのソリューション提供を得意とするのですが、彼らと話をしていて、優秀なだけでなく、我慢強いことに感心します。昨年夏、思ってもみなかったことですが、初めてルーマニアを訪問したときに、この会社の創業者と話をしていて、いろいろと勉強になりました。この方は、南アフリカ生まれのユダヤ人で、イギリス国籍、仕事でチャウチェスク時代のルーマニアを訪問し始め、ルーマニア人と結婚して、ルーマニアで創業。優秀な人材はいたるところにいるものだなと思います。

これまでの経験でいうと、国の経済は必ずしも大国規模でなかったり、何らかの理由で「遅れている」と見られていても、その国のトップクラスの人材は、日本に来ても必ず優秀なグループに入ると思うことがほとんどです。欧米はもちろんですが、いわゆる途上国と言われている国のリーダーたちも非常に優秀です。

 僕は政治を批判したり、マクロ経済を語るほど見識を持っているわけでもなく、自分の会社をしっかりやっていくことが第一。日本国内はもちろんのこと、結果を出している海外の経営者たちからも学ぶことはたくさんあります。

 

丸の内起業塾・須賀さんが起業家支援賞を受賞

Suga_1 Suga_2 丸の内起業塾・塾長の須賀さんが先週、中小企業庁長官から、起業家支援賞を受賞。会場が国際フォーラムだったので、僕も顔を出しました。須賀さん、これからも頑張ってください。(右の写真で前列右から3番目が須賀さん)

重視していないのは株主だけか?

ハーバードビジネススクールでは僕のひとつ上の学年で、現在はHBSリサーチセンター所属の江川雅子さんが、「株主を重視しない経営―株式市場の歪みが生み出した日本型ガバナンス (日本経済新聞社刊)を先日出されました。近いうちに拝読しようと思っています。

 海外の投資家からの圧力に対して、日本の経営者の多くが強い反発や抵抗をしめしています。僕が思うのは、それではこれら日本の経営者たちは、株主を重視しなかったとして、社員や取引先、あるいは環境問題や社会的な企業責任を本当に重視しているのだろうか?ということです。

 バブル崩壊後の多くの日本企業は、それまでのように社員(特に社員教育)を大切にしていないのではないか?取引先、特に下請け企業に対する姿勢は公正なのか?環境問題は本気になって対応しているのか?(いたるところにある偽装!)

 依然として、多くの上場企業においては、株主を重視していないだけでなく、社員をはじめとする他の関係者も重視していない企業が多いのではないだろうか、という疑問があります。80年代のアメリカでは上場企業の敵対的M&Aが増えました。敵対的M&Aにはさまざまな見方がありますが、M&Aそのものには、経営に創造的な刺激をもたらし、新しい変化を生み出すプラスの面が大きいのではないかと思っています。アメリカにおけるM&Aが生み出した価値(市場価値の増大)は、それまで企業内に隠されていた非効率を大きく上回るものである、という学術的な研究結果も発表されています。日本でもそのような調査結果が、もっと知られ、積極的な議論がされてもいいのではないかと思います。

 

地方分権の難しさ

ある中央官庁の方とITを含めた経済、経営のことをお話していてでてきた話題。それは地方における経営を担える人材枯渇の問題。地方分権や地方への権限委譲をするにも、その受け皿になる人材が地方にいないということ。そして現在、地方において政治や行政を行なっている人たちに任せてしまうと、これまで以上に利権化と腐敗がひどくなるのではないかという畏れ。

 このテーマは正面から切り出せない、ある意味タブーになってしまっているテーマかもしれません。いつの時代も、どこの組織でも、つまるところ問題になるのは、人材のこと。

アメリカ経済との「カップリング」

株式市場が世界的に大きく揺れ動いています。日経平均も昨日は1万3千円を割り込み、2年3ヶ月前の水準まで落ちています。結局、小泉さんの構造改革への期待からあがった日本株も、安倍さん、福田さんによって、すべて帳消しとなってしまいました。 

 ある証券会社のレポートを読んでいたら、2007年の為替市場を一言で表現すると、「歴史的な米ドル相場の底割れ、暴落が相次いだ年」であったとしています。さらに、2007年の米ドルは、欧州通貨や資源国通貨に対して、「現役で活躍している為替ディーラーが、ほとんど誰も経験したことのないような水準までドル安が進行した」とあります。

 日本国内だけを見ていると、歴史的な経済変動を直接感じることは難しいように思います。ポイントは、アメリカ経済と、ヨーロッパ、アジア、その他新興国の経済が、どれだけ相関関係があるのか(アメリカが不況になると、その影響で世界経済も不況になるのかどうか)、昨今はやりの言葉でいうと、アメリカ経済と世界経済全般が、カプリングされているのか、それともデカプリングされているのか。

 先週会ったシンガポール在住の日本人ファンドマネージャーは、シンガポールは絶好調で、サブプライムの影響などまったく感じないということでした。でも、僕はアメリカ不況の影響は、これからアジアにも波及するのではないか、まだまだ世界経済は、アメリカとカプリングの状況にあるのではないかと思っています。

 

 

韓国では大学生の半分が職にあぶれる

モノの値上げが続いています。昨年来の傾向ですが、昨日は、時々買う弁当の値段が10円上がっていることに気づきました。今朝の朝日新聞朝刊一面には、日清製粉グループが、業務用のパスタを40%値上げするという記事がでています。マックやスタバは昨年からすでに値上げデフレはもう過去のもの。不況下のインフレ(=スタグフレーション)の時代が近づきつつあるのかなという気もします。高価な商品の売れ行きは下がったとしてもどうでもいいのですが、生活に必要な基礎的な商品は、あまり値上げして欲しくないです。

 今年もまだ就職市場の活況は続くように見えます。新卒を採らない弊害を企業は理解したことと、団塊世代の穴埋めのために新卒採用は続くでしょうが、大学生諸君は、あまり油断しないほうがいいと思いますよ。

 隣の韓国は大学生の半分が職にありつけないそうです。英語とITの資格は必須で、すこしでも差別化できるように励んでいるそうです。日本の大学はこれから急速に変っていくでしょうが、学生たちを「お客さん扱い」するだけでなく、社会で将来活躍できるような人材としての心構え、スタミナ(精神的なものも含めて)、そして学力をしっかり学生に身に付けさせるようにしていただきたいです。