戻りの遅い日本株

サブプライム・ローンの影響をもっとも受けた市場のひとつが日本の株式市場。そして、欧米諸国でいくつかの対応策がアナウンスされても、戻りの勢いが一番弱いのが日本市場。その根本的な理由は、日本の構造改革が遅々として進まないことへの大きな失望かと思います。日本の新聞で好意的に取り上げられているブルドッグソースに関する裁判所の判決なんて、海外の投資家にとっては大きな失望でしかありません。

できるだけ今のままの企業ガバナンスを維持しようとする動きや、日本のユニークさを強調する動きなどは、日本にとって、プラスではなく、圧倒的にマイナスになっているのではないか?

大学の1年生のとき、同じフランス語クラスだった、そして卒業後、郵政省(現・総務省)に入ったT君という同窓が、最近、携帯電話のビジネスモデルの変革を提言していて、ちょっとした有名人になっています。ケータイは、日本が力を持っているのに、日本だけのビジネスモデルを作ってしまったため、国際市場でまったく競争力を持ちえない、不幸な業界になってしまっています。

小泉・竹中路線に対する批判はいたるところで聞かれます。彼らのとった経済政策が、プラスかどうか、僕は判断できるほど、知っているわけでもないし、考えたことがあるわけでもないのですが、構造改革が遅れていくことは、日本に対する期待を失わせていき、ますます東アジアにおける中国の台頭と日本の没落を進めていくことになるのかと危惧します。

少なくとも、日本の株式市場だけを見ていると、あまり前向きな気分にはなれません。日本人自身も、日本株に投資しないで海外市場の方を見ているようでは、海外の投資家も、いつか日本へは期待しなくなるのではないかと思います。

一ヵ月後に新聞を読む楽しみ

今年は一週間程度の出張(シュッチョウです、デバリではなく)がほぼ毎月のように入って、読めない新聞が山のようになっています。この週末も、7月半ば頃の新聞を読んでいたら、7月17日付けの日経産業新聞の「マーケットウォッチ」のコーナーで、ひよこさん(ペンネーム)という専門家の方が、「先週火曜日、米国のサブプライムローン問題に対する懸念が再燃して主要国の株価が全面安となるなかで、投資家のリスク回避姿勢が強まった」という一文から始まる文章を書かれていました。

で、読み進んでいくと、「実は、サブプライムローンの延滞率は2005年に既に上昇し始めており、それほど目新しい問題ではない」とされ、最後には、「基本的にサブプライムローン問題に関するニュースに対する市場の反応は、今後ますます小さくなっていく可能性が高い」と締めくくっています。

ほんの一ヶ月前に、サブプライム問題に関して、このようなコメントを出していたプロもいたのかと、過去の新聞記事を読むたのしみを見つけた気分になりました。ちなみに、僕の友人で、熱心に株式投資をやっている金融業界の人がいます。この2週間ほどの間で、サブライムローンのせいで、マンション一つ分くらいのお金が飛んでしまったと、電話で自虐的に笑っていました。