5%のカイゼン(あるいはちょっとした「背伸び」)

われわれ庶民には、貯金すると利子が付くということを忘れてしまうほど、この10年以上、超低空飛行の利率しかないという状況が続いています。だから、「複利の力」なんて言われても、「それなんのこと?」という反応が当然かと思います。でも、利子の上にさらに利子が付く、複利計算を続けていると、いつの間にか、ものすごい差が出てきます。

今のような変動期の時代には、われわれ働くものは、これまで以上に、頑張っていかないと、世の中を乗り切っていけないのは確かで、銀行の利率と同じ調子で働いているようでは、サバイブなんてできないです。

貯金では、5%なんて金利は当面、無理ですが、僕らが仕事で、「毎月5%ずつ仕事のカイゼン(改善)を行っていく」としたら、1年後、どれだけ「カイゼン指数」(僕が勝手に使っている言葉です)があがるかというと、複利計算では、約1.8倍になるのです。毎月、仕事において、5%程度の背伸びをしてみる。ちょっとハードルが高いかなと思っても、5%くらいなら、「カイゼン」していく余地は誰にもあるはずです。

5%のカイゼン率を続けていくと、1年後、2年後には、その努力をしていない人の2倍、3倍の仕事力になっています。ちょっとこの差って、すごいと思いませんか?トヨタ自動車のすごいところは、この「カイゼン」を、たゆまず続けてきたことかと思います。僕はトヨタのクルマには乗っていませんが、この姿勢だけは、絶対に「買いだ!」と信じています。

名古屋経済が元気な証し

名古屋経済が元気なことは知れ渡っていることですが、こんなところにもその証しがみられるのではないかと思います。

クレジットカード会社が発行する月刊誌には、必ずレストラン紹介ページがあります。基本的に、これらはレストラン側の広告として、成り立っているはずです。僕のところに送られてくる、ある航空会社系カード会社の雑誌を見ていたら、東京のレストラン紹介が6つ、大阪1、京都2、福岡1、札幌3、横浜1、そして名古屋は東京と同じ6つ。

経済が潤うことで、名古屋にもおいしいレストランが増えていることもあるのでしょうが、広告は元気度のバロメーターでもあります。こんなところにも、名古屋経済圏が元気であることが表れているように思います。

BizInnovation 2007

0058 午前中に、東京ビッグサイトで開催中のイベントに立ち寄りました。「ビジネスのイノベーション」を感じるお話しは、あまり聞けませんでしたが、アスキーと日経BPの本を買ってきました。

パソコン「自作派」の広がり

[E:pc]パソコンのハード、ソフトのビジネスは、この10年間ほどで大きく変わってきましたが、こんな記事からも、それを感じました。(9月28日日経産業)

パソコンの自作派(必要な部品を買いそろえて組み立てる自作パソコン市場)が広がっているという記事です。自作パソコン用の部品は今年1月以降、前年期を上回っているそうです(BCN調べ)。パソコン市場全体に占める自作パソコンの比率が、昨年9月の15%から、今年7月には17%にアップ。こんなところにも、パソコン市場の変化を感じます。

仕事、健康、家族のバランス

朝日新聞夕刊の「ニッポン人脈記」で過剰なほど勤務時間の長い職場の話がでています。この10年ほどで急成長した人材派遣会社で、ある社員が、食事も睡眠もとらず、20キロもやせるほど働いたというのは、異常です。(この派遣会社の多くの社員がそのような働き方をしているのかどうか、それは記事からはわかりませんんが)

仕事、健康、家族との時間、それらのバランスが取れないと、長期安定的に仕事を続けていくことは難しいのではないかと思います。もちろん、短期的には、集中してやらないといけない時期もあります。それは当然なのですが、会社しかない人生で、いいのでしょうか?会社の経営者である僕が言うのもおかしな話かもしれませんが、会社のためだけ、言い換えると、会社に利益をあげるためだけの人生なんて、ごめんこうむりたいです。社員のひとたちには、当然、ベストを求めますが、かつてバブルの頃に使われた言葉で言えば、「社畜」なんかに、絶対、なってほしくないです。

われわれには、生きていくためには会社が必要ですし、会社は利益を上げていかないといけません。でも、仕事、健康、家族のバランスが必要だし、仕事の生産性を挙げていくこと、ユニークな商品やサービスを提供することで、価格だけ、労働時間だけの競争に陥らないことが大切です。蛇足ですが、家族をばらばらにするという意味で、日本ではめずらしくない単身赴任は、決して、ほめられた話ではないと思っています。

正解にたどり着くために、まず行動する

今よりも若かった頃、「正解がわかるまで行動に移れない」という時期が、僕にも長くありました。頭だけの勉強だけの弊害かと思います。でも、考えただけで正解が分かるほど、僕は頭がいいわけでもないし、想像力や洞察力があるわけでもありません。それに気づいていなかったわけでもないのですが、ただ、行動に移して失敗することを恐れていたのだと思います。

うちの会社にも、「答えがわかるまで行動できない」という人が結構いて、よく言えば、慎重な性格で、完璧主義なのかと思います。でも、頭で考えただけで、正解が分かる人は、本当に少ないのが、この世の中ではないでしょうか。僕ら凡人は、ある程度、行動してみて初めて、正解にたどり着くきっかけやヒントが見えてきます。

それに考えた末に正解が見つかったときには、すでにビジネスチャンスを逃していることもあります。考え始めたときとは異なる状況が生まれていて、別の正解を新たに求めないといけないなんてことも多々あります。時に、マーケットは瞬時に変わってしまいます。

ビジネス(つまり、現実の社会)においては、行動なくして正解がわかるほど、僕らは賢くはない。正解にたどり着くためには、まず行動。

「携帯・ネットなし」

雑誌「日経ビジネス」の新人記者が、「携帯・ネットなし」の仕事生活に数日間挑戦した記事が、9月24日号にでています。取材には、ネットやケータイがなくても大丈夫だったけども、困ったのは、使っていない本人よりも、その人の周りで仕事をする人たちだったかもしれない、とありました。また、取材先のグーグルのある社員が、「携帯なし、ネットなしデーを社内で設けたら面白そうね。うちもやってみようかしら。」

国際的に見たら日本は安くなっている

30年ほど前まで、アイルランドはヨーロッパでももっとも失業率が高く、これといった産業のない国だったと記憶しています。ビジネススクールの同級生で、アイルランドからアメリカに渡って来た友人がいるのですが、彼の兄弟姉妹も、イギリスに出稼ぎに行ったりしていました。

ところが、この20数年間で、アイルランドは大手アメリカ企業などの誘致をどんどん進め、非常に活気のある国に変身しています。信じられないことに、今では、一人あたりGDPにおいては、日本よりもずっと上になってしまっています。

で、先日ご紹介した、Mad or fit? (10月3日の黒犬通信)のイギリス人と朝食をしながら話していたら、イギリス人の彼から見ても、経済の成功によって、アイルランドの首都ダブリンはとても物価の高い都市になってしまっているということでした。

ロンドンも、この数年間で、不動産価格が高騰していて、場所によっては2倍になっているようです。知人のイギリス人は、対円でポンドが強くなっていることとあわせて、東京の物価が非常に低くなっているという印象を持ったそうです。東京の知人で、あるアパレルブランドメーカーの社長がいるのですが、その方の直営のお店にも海外の顧客が一度に何十万円という買い物をしていく人たちが、たくさんいるそうで、円での買い物が安くなっている、ということでした。

バブル崩壊後、少なくとも、経済的な意味では、日本の地位は完全にひっくり返っています。

ダイエットの方法論とビジネス

『いつまでもデブと思うなよ』がきっかけで、社内の何人かと、レコーディング・ダイエットを始めています。つまりその日食べた食事を簡単にメモしていくことから始めるダイエット方法です。僕は一週間になろうとしていますが、今のところ、一キロ強の減量効果がでています。(分母からすると、ほとんど意味をなさない減量です)

このレコーディング・ダイエットのポイントは、自分が口に入れているものが何なのか、その事実関係を忘れないようにしましょう、きちんと把握しておきましょう、ということです。それをメモに書いて、時々見るようにします。

この方法論、ビジネスにも大いに役立つ話で、なにをやっているのか、さっぱりわからなくなったときには、まず事実関係を冷静に把握すること、自分がやっていることを客観的に視るクセをつけることかと思います。鍵となるいくつかの数字を記録してき、一定の間隔で振り返ってみると、たいした努力をしていないな、と気づくことがしばしばあります。一方、食事のほうは、毎日こまごまと、カロリーの高いものを口にしていることに気づきます。

ダイエットもビジネスも、物事を複雑にしないで、事実から本質を取り出して、行動に移していくことが大切なだなと感じています。社内では、Make it simple (物事をシンプルにする)ということを掲げています。

競争が自分を育ててくれる

ニートやフリーターに関するある本の中で、「犠牲者のでない競争はないんでしょうか?」という発言を読んで、複雑な気持ちになりました。それは僕自身が、これまで恵まれた、ラッキーな人生を送ってきている、どちらかと言えば、「強者」の立場の人間に属すること。この発言者の気持ちが十二分に汲み取ってあげられないだろう人間が、このような意見に対する、批判的なコメントは控えるべきかとも思うから。

でも、残念ながら、この世の中で、「敗者」のない競争はない。100メートル走をみんなで同時にテープをきりましょうなんて話は、子供に悪平等を教えること。世の中で生きていくことを学ばないといけない子供たち、学生たちに、そんなことを教えていても、プラスになることなんて、何一つない。古今東西、人類は、「適者生存」で生き抜いてきたのだから。

ただ問題は、「敗者」にも存在していくための最低限の水準の生活は必要だということ。その最低限の水準がどのあたりなのか、これも定義が難しい。

これまでも人類は競争を経て成長してきたし、これからもそうでしょう。日本の産業も国際的に競争しているところだけが生き残るでしょう。保護された業界や会社の正社員に、これまで同様の終身雇用なんて、ありえないです。ニートやフリーターの方たちの中には、「正社員になるのが夢だ」という人たちがいるようですが、政府や業界内の自主規制で自分たちを守っている業界は、これから先、終身雇用を維持できることはないですよ。そんな会社の正社員になっても意味はないことが、これからますますはっきりしてくるのではないかと思います。

グローバル化を直視しないで、規制や保護を強めたとしても、競争力のない産業、会社は守りきれないです。これから地方自治体を始めとして、守られてきた組織の倒産や破産がでてくるでしょう。そんな中で、どうやって自分の力をつけていくのか。政府なんて、一番頼れないと僕は思っています。

(お金儲けが得意でなくても、社会に貢献すること、自分の個性を生かせる方法は、他にもあることは覚えておいたほうがいい。それが多様性ということだから。競争の種類は、お金儲けだけじゃないから。もちろん、自分が生活していくお金を稼ぐ力は、言うまでもなく、身につけないといけないけど。会社の中も、営業の得意なひとも必要だし、人付き合いはヘタだけど、商品開発が得意な人、我慢強く事務作業をやっていく人も必要。多様性は組織の存続のために大切なことだと、10年間会社をやっていて実感します。)