「若い人に人気のない産業は衰退する」

ミラクルリナックスの役員の方が書かれたブログ「ユメのチカラ」(「若い人に人気のない産業は減衰するを読んでいて、ここに書かれていることはIT業界だけの話ではないなと思います。政治、農業、漁業、役人の世界にしたって、今、その業界で働いている人たち自身が、夢を持って働いているのか、現状を変えていくための努力をしているのか(努力はしているけども、力が足りないケースも多々あると思います)。制度疲労という言い方がしばしばされますが、制度にがんじがらめにされ、創意工夫ができない状況がいたるところで見られます。そんな業界には、若い人たちは入っていかない。だから、新陳代謝も起こらない。

そんな日本の業界に入っていく必要なんてないのでは?IT業界の「重鎮」と言われている人たちの意見(@ITの記事)を読んでいても、この人たちがいる限りは駄目だなと思います。決して、銀行や大企業のシステムを作ることに価値がないと思うのではありません。でも、それら以外にもっと新しいITサービスや価値を作っていくことはこれまでも機会があったし、これからもあると思います。NTTにしろ、日立にしろ、日本の優秀なエンジニアたちの集団であるにも関わらず、シリコンバレーのようなダイナミックな新事業創出が出来てこなかったことが残念です。

僕自身は、ギークでもなく、エンジニアでもなく、野球をやったことがない人間で、球団経営を論じているようなものかもしれませんが、変革が必要なとき、その業界の人間には、必要とされる変化を起こせないということが多々あると思います。日本の課題は、異なる業界の間でのコミュニケーションがないことです。いつまでも同業の村社会の地位から外に出て行こうとしない業界の重鎮たちが、さまざまな業界の沈滞を招いています。その中には、マスコミ(新聞、放送)も含まれます。

そういう意味で、先日参加したグロビス主催のSILC(Service Industry Leaders Conference)のようなイベントには価値があります。

ここで書いたことって、実は会社にも言えます。僕の会社だって、若い人たちに、夢を持ってもらえる会社にならないと、これまで以上の発展はないと思っています。

2008年はもう始まっている

先日、『オデッセイマガジン』最新号を関係各位にお送りしました。一橋大学ビジネススクールの石倉先生から、僕が添付した手紙に書いた、「2008年はもうすでに始まっている」という言葉が心に響いた、というメールをいただきました。

「一年の計は元旦にあり」といいますが、その元旦を迎えるための準備はもうすでに始めないといけません。急に物事が変わるわけではなく、自分自身だって急に変えられるわけではないです。日常の継続的な努力が一番大切かと思います。2007年残りの時間の中、2008年のための助走開始!

5%のカイゼン(あるいはちょっとした「背伸び」)

われわれ庶民には、貯金すると利子が付くということを忘れてしまうほど、この10年以上、超低空飛行の利率しかないという状況が続いています。だから、「複利の力」なんて言われても、「それなんのこと?」という反応が当然かと思います。でも、利子の上にさらに利子が付く、複利計算を続けていると、いつの間にか、ものすごい差が出てきます。

今のような変動期の時代には、われわれ働くものは、これまで以上に、頑張っていかないと、世の中を乗り切っていけないのは確かで、銀行の利率と同じ調子で働いているようでは、サバイブなんてできないです。

貯金では、5%なんて金利は当面、無理ですが、僕らが仕事で、「毎月5%ずつ仕事のカイゼン(改善)を行っていく」としたら、1年後、どれだけ「カイゼン指数」(僕が勝手に使っている言葉です)があがるかというと、複利計算では、約1.8倍になるのです。毎月、仕事において、5%程度の背伸びをしてみる。ちょっとハードルが高いかなと思っても、5%くらいなら、「カイゼン」していく余地は誰にもあるはずです。

5%のカイゼン率を続けていくと、1年後、2年後には、その努力をしていない人の2倍、3倍の仕事力になっています。ちょっとこの差って、すごいと思いませんか?トヨタ自動車のすごいところは、この「カイゼン」を、たゆまず続けてきたことかと思います。僕はトヨタのクルマには乗っていませんが、この姿勢だけは、絶対に「買いだ!」と信じています。

名古屋経済が元気な証し

名古屋経済が元気なことは知れ渡っていることですが、こんなところにもその証しがみられるのではないかと思います。

クレジットカード会社が発行する月刊誌には、必ずレストラン紹介ページがあります。基本的に、これらはレストラン側の広告として、成り立っているはずです。僕のところに送られてくる、ある航空会社系カード会社の雑誌を見ていたら、東京のレストラン紹介が6つ、大阪1、京都2、福岡1、札幌3、横浜1、そして名古屋は東京と同じ6つ。

経済が潤うことで、名古屋にもおいしいレストランが増えていることもあるのでしょうが、広告は元気度のバロメーターでもあります。こんなところにも、名古屋経済圏が元気であることが表れているように思います。

BizInnovation 2007

0058 午前中に、東京ビッグサイトで開催中のイベントに立ち寄りました。「ビジネスのイノベーション」を感じるお話しは、あまり聞けませんでしたが、アスキーと日経BPの本を買ってきました。

パソコン「自作派」の広がり

[E:pc]パソコンのハード、ソフトのビジネスは、この10年間ほどで大きく変わってきましたが、こんな記事からも、それを感じました。(9月28日日経産業)

パソコンの自作派(必要な部品を買いそろえて組み立てる自作パソコン市場)が広がっているという記事です。自作パソコン用の部品は今年1月以降、前年期を上回っているそうです(BCN調べ)。パソコン市場全体に占める自作パソコンの比率が、昨年9月の15%から、今年7月には17%にアップ。こんなところにも、パソコン市場の変化を感じます。

仕事、健康、家族のバランス

朝日新聞夕刊の「ニッポン人脈記」で過剰なほど勤務時間の長い職場の話がでています。この10年ほどで急成長した人材派遣会社で、ある社員が、食事も睡眠もとらず、20キロもやせるほど働いたというのは、異常です。(この派遣会社の多くの社員がそのような働き方をしているのかどうか、それは記事からはわかりませんんが)

仕事、健康、家族との時間、それらのバランスが取れないと、長期安定的に仕事を続けていくことは難しいのではないかと思います。もちろん、短期的には、集中してやらないといけない時期もあります。それは当然なのですが、会社しかない人生で、いいのでしょうか?会社の経営者である僕が言うのもおかしな話かもしれませんが、会社のためだけ、言い換えると、会社に利益をあげるためだけの人生なんて、ごめんこうむりたいです。社員のひとたちには、当然、ベストを求めますが、かつてバブルの頃に使われた言葉で言えば、「社畜」なんかに、絶対、なってほしくないです。

われわれには、生きていくためには会社が必要ですし、会社は利益を上げていかないといけません。でも、仕事、健康、家族のバランスが必要だし、仕事の生産性を挙げていくこと、ユニークな商品やサービスを提供することで、価格だけ、労働時間だけの競争に陥らないことが大切です。蛇足ですが、家族をばらばらにするという意味で、日本ではめずらしくない単身赴任は、決して、ほめられた話ではないと思っています。

正解にたどり着くために、まず行動する

今よりも若かった頃、「正解がわかるまで行動に移れない」という時期が、僕にも長くありました。頭だけの勉強だけの弊害かと思います。でも、考えただけで正解が分かるほど、僕は頭がいいわけでもないし、想像力や洞察力があるわけでもありません。それに気づいていなかったわけでもないのですが、ただ、行動に移して失敗することを恐れていたのだと思います。

うちの会社にも、「答えがわかるまで行動できない」という人が結構いて、よく言えば、慎重な性格で、完璧主義なのかと思います。でも、頭で考えただけで、正解が分かる人は、本当に少ないのが、この世の中ではないでしょうか。僕ら凡人は、ある程度、行動してみて初めて、正解にたどり着くきっかけやヒントが見えてきます。

それに考えた末に正解が見つかったときには、すでにビジネスチャンスを逃していることもあります。考え始めたときとは異なる状況が生まれていて、別の正解を新たに求めないといけないなんてことも多々あります。時に、マーケットは瞬時に変わってしまいます。

ビジネス(つまり、現実の社会)においては、行動なくして正解がわかるほど、僕らは賢くはない。正解にたどり着くためには、まず行動。

「携帯・ネットなし」

雑誌「日経ビジネス」の新人記者が、「携帯・ネットなし」の仕事生活に数日間挑戦した記事が、9月24日号にでています。取材には、ネットやケータイがなくても大丈夫だったけども、困ったのは、使っていない本人よりも、その人の周りで仕事をする人たちだったかもしれない、とありました。また、取材先のグーグルのある社員が、「携帯なし、ネットなしデーを社内で設けたら面白そうね。うちもやってみようかしら。」

国際的に見たら日本は安くなっている

30年ほど前まで、アイルランドはヨーロッパでももっとも失業率が高く、これといった産業のない国だったと記憶しています。ビジネススクールの同級生で、アイルランドからアメリカに渡って来た友人がいるのですが、彼の兄弟姉妹も、イギリスに出稼ぎに行ったりしていました。

ところが、この20数年間で、アイルランドは大手アメリカ企業などの誘致をどんどん進め、非常に活気のある国に変身しています。信じられないことに、今では、一人あたりGDPにおいては、日本よりもずっと上になってしまっています。

で、先日ご紹介した、Mad or fit? (10月3日の黒犬通信)のイギリス人と朝食をしながら話していたら、イギリス人の彼から見ても、経済の成功によって、アイルランドの首都ダブリンはとても物価の高い都市になってしまっているということでした。

ロンドンも、この数年間で、不動産価格が高騰していて、場所によっては2倍になっているようです。知人のイギリス人は、対円でポンドが強くなっていることとあわせて、東京の物価が非常に低くなっているという印象を持ったそうです。東京の知人で、あるアパレルブランドメーカーの社長がいるのですが、その方の直営のお店にも海外の顧客が一度に何十万円という買い物をしていく人たちが、たくさんいるそうで、円での買い物が安くなっている、ということでした。

バブル崩壊後、少なくとも、経済的な意味では、日本の地位は完全にひっくり返っています。