戦争よりかずっとまし

 ずっと晴れない気分にさせてくれる経済状況が続いています。きっとこの状況は今年一杯続くと考えておいた方がいいようにも思います。もしかして来年夏くらいまでこんな感じかも知れません。どのくらいこれが続くのか、FTなどを読んでいても誰も答えを持っていないように思います。Wall Street でも占いに頼る人が出ているという記事を読みました。
 ボクがこのごろよく思うのは、1920年代、30年代の世界不況のとき、時代の雰囲気、人々の生活はどうだったのかということ。そして、第2次大戦の間、負け戦を必死に闘っていたボクらの祖父母たちの世代はどんな気持ちで生きていたのかということ。あの頃は、いまほどマスコミが発達しておらず、ラジオや新聞でニュースを知るしかなかったのでしょうが、いまのように連日皮肉屋さんたちのコメントを聞かされていると、素直に希望を持つことさえも難しく感じられることがあります。だからかもしれませんが、ここ数年、ボクはあまりテレビを見なくなりました。
 どんなに経済の状況がひどくなっても、戦争になるよりかはましだと思っています。ずっとましだ、と。この混沌と混乱の解決策として、世界規模の戦争だけは起こしてほしくないです。それさえも避けることができなければ、人類には地球上でリーダーとして生きていく資格がないだけでなく、存在していく資格さえもないのかもしれません。
 ボク自身としては、こんな時代こそ、自分が今働いている現場で、知恵と勇気をしぼりだして問題解決にあたっていかなくてはと、思っています。そんな気持ちさえもなくなってしまったら、オ・ワ・リ。

体温と不況の話

 この前読んでいた本に、健康法のひとつとして体を温めることがあげられていました。その本によると、体温が一度下がると免疫力が30%下がるそうです。体温一度程度でもそれだけの影響があることに驚きました。

 話は飛んで経済のことなのですが、週末の銀座を歩いていて、本当に日本は「百年に一度の不況」なのかどうか、わかりませんでした。話題のH&Mをみて、そのあと、zara、ユニクロとのぞいてみました。普段、定点観測しているわけではないので、今日の銀座が普段からすると人通りが少ないのかどうか、モノが売れていないのかどうかよくわかりません。
もしかして、体温が1度下がると、免疫力が30%も低下するのと同様、現在の「不況」レベルは1度程度の低下の結果、30%ダウンなのかもしれません。ただ、これをもって「百年に一度の不況」というのでしょうか?少なくとも東京に関しては、まだまだ「百年に一度の不況」とは言えないのではないかと感じています。
 銀座と言えば、ブランド品ですが、シャネル始め、高級ブランド品の売上げは、「3割、4割ダウンは当たり前」となっていると聞きます。(黒犬はそんなブランド品にはもともと縁がないので、売れようと売れまいとどうでもいいのですが)
 百年に一度の不況は、こんなレベルではないと想像しています。これからさらに体温が2度、3度下がることだって、あるのではないかと危惧しています。言葉に酔っている暇があれば、ビジネスを伸ばすため、もっと知恵を出し、もっと体を動かすべきだと思っています。われわれはわたりのお役人さまたちと違いますから。

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不便さがあるからモノが生まれるのかもしれない

 いつか、「地方」でもっと時間を過ごしたいと思っています。東京にはなんでもあるようで、実は「本当のこと」や「本当のモノ」はすくないのではないかと、しばしば、強く感じます。なんというのか、東京では、いろいろなことがバーチャルに思えるのです。
 この前、日経新聞では、経済記事よりも文化やスポーツのページをよく読むと書いたのですが、1月14日の夕刊の文化欄に、愛媛の宇和島市在住の画家・大竹伸朗さんのインタビュー記事が出ていました。宇和島はボクが小中高までいた南予(愛媛県の南西部の呼び名)の町で、子供の頃、映画を見たり病院に通ったりするために、バスに1時間ほど乗ってこの町に行ったことをよく覚えています。
 日経の記事では、東京出身の大竹さんがどうして宇和島に移住したのか書かれていませんが、ボクの記憶が正しければ、大竹さんの奥さんが宇和島出身だったからだったはずです。このインタビューの中で、大竹さんの次のような言葉が印象的です。
 
「東京だと一日がすぐに過ぎる。夕日に浮かぶ東京タワーを眺めていれば時間がたつ。思い出は自動的に生まれる。」
「何もない場所で何もしないでいると、自分が消えてしまう。それを食い止めるために何かする。昨日はなかったものを自分で創るしかない。芸術家は理不尽な状況に身を置く方がいいこともある。」
 まあ、ボクは芸術家でもなんでもないのですが、東京はあまりにも娯楽が多すぎるかなと思っています。地方に行くと、なにもやることがなんくて、パチンコにのめり込んでいる人が多いようですが、地方のよさを一番大切にしていないのは地方の人のような気がして、それが残念です。ボク自身、地方から都会に憧れて出てきた人間の一人なので、どちらかがいいと、決めつけているわけではありませんが、東京の生活では大切なものが抜け落ちていることは強く実感しています。

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山形の黒犬友達

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 山形の柳沼さんから、ブルーノ君の写真が送られてきました。柳沼さん、ありがとうございます。

 ちょうど昨日山形県知事選があって、県の財政再建を進めてきた現職知事が落選しました。落選した現職知事は、自民党。当選した野党の新人候補は、財源のことはほどほどに、積極的なバラマキ政治をにおわせて選挙民の心をつかんだ、とか。

 この前ご紹介した木下さんもそうですが、破綻した自治体の首長が、財政再建のため公共事業費を削り、公務員のサラリーをカットしようとすると、みんな、大反対になります。確かに、今の生活を維持したい気持はわかりますし、自分たちは苦労したくないという気持ちもわかるのですが、結局、「みんなで浪費すれば、怖くない」という状況に日本がなってしまっています。

 素朴な日本犬たち同様、我が家も簡素な生活を心がけています。ボクがモットーとしているのは、simple living, high thinking. 借金しない、身の程の生活。金を使うよりも、知恵を使う!

就活、がんばれ!

 オデッセイコミュニケーションズでも会社説明会を行っています。今日は、福岡出張から帰えり、羽田からすぐに会社にでて、大学3年生の皆さんにお話をさせていただきました。ボク自身は、20数年前、大学4年生の時、まったくと言っていいほど就職活動をやらなかった人間です。そのころの学生としては、それだけでもユニークだったかもしれないです。

 不況のせいで、きっと多くの大学生が大きな不安を持っているのだろうと想像しています。でも、こんな厳しい時期だからこそ、頑張ってほしいです。実は「会社なんかに入らないで、自分で起業しろ!」っというのがボクの理想なのですが、大学から起業することはそう簡単なことではありません。そんな威勢のいいことばかり言ってはいられないでしょう。

 すでに会社説明会に15も20も参加している学生もいるようですが、いろいろな会社を訪問して、社会や企業のこと、大人たちの「ホンネ」をつかむ訓練をしてほしいです。

 ボクはうちの会社の説明会に来てくれる皆さんには、「ホンネ」でお話をするようにしています。(それが学生のみなさんたちに対する僕なりの敬意の表し方です。)たとえば、公務員志望の学生はうちの会社には合っていないと思っていますから、はっきりとそう申し上げています。

 どちらにしろ、学生の皆さん、Good luck!

オバマに期待する前に、まず自らの行動!

 今日は久しぶりにすごい方にお会いしました。西浦周一郎さん。「大正14年生まれ、慶大入学、陸軍予備士官学校、慶大卒後 昭和24年日本オーチス入社、昭和28年スタンフォード大留学、その後、ソニー入社、英国ソニー社長」などをお勤めになられ、主にアメリカを中心として40年間海外で活躍された方。
 この7、8年、お付き合いさせていただいている新将命さんの出版記念パーティでお会いしました。皆さんの前で簡単にご挨拶されたあと、数分だけ個別にお話させていただきましたが、80歳を越える年齢とは信じられない身の軽さ、しっかりしたお話。ビジネスの世界の侍に出会ったと思いました。
 で、昨日、今日と、会う人たちの多くは、オバマの話です。NHKラジオでもオバマ。でも、オバマもいいけど、われわれの身の回り、われわれの会社、そしてわれわれの国の話をしようよ!オバマから、アメリカから、確かにインスピレーションは与えてもらったとしても、ボクらのことを考えなくちゃ。アメリカの変化でなくって、日本の変化、ボクら自身の変化こそが、大切だもの。
 オバマ政権が日本にどのような姿勢で向かってくるのかなんてことばかり気にしていても、意味ないよ。オバマは自国民に対してさえ、「犠牲」だ、「奉仕」だ、と求めているのに、どうして日本のことを考えてくれるなんて、あまい期待をするのかな。日米関係は世界でもっとも大切な二国関係だなんて、日本側の幻想。
 西浦さんが強く言われていたのは、自分の国を自分たちで守る気力を持て、ってこと。そのあたりは、さすが陸軍予備士官学校ですが、でもその気概がなくって、どうしてこの不況だって乗り越えられるというのか。

奉仕を呼びかけることができる政治家

 オバマが日本時間の明日早朝、大統領に就任します。多くのアメリカ国民が彼に過大なほどの期待をしていることを知っています。また、世界各国でも、オバマに対する期待はものすごく高いと思います。
ラジオでニュースを聞いていると、オバマは彼のHPで、アメリカ国民に、それぞれのコミュニティに奉仕を行うことを求めているとありました。(→
この動画だと思います

 日本の総理がこんなことを言ったとしても、きっと、ほとんどの国民はしらけてしまうか、反発をするか、あるいはまったく理解できないふりをするか。アメリカは、「理念の共和国」(本間長世)で、常に自分たちの建国の理念を反芻している国だなと思います。例えて言えば、まだまだ創業時の記憶が新しく、創業者が健在な企業(アメリカ)と、創業からかなりの時間がたって、安定しているから入社したという社員ばかりの企業(日本)との違いかもしれません。もしかしたら、安定したから入社したというよりも、その会社にしか入れなかったという社員ばかりの会社かも。

 ボクの知人でも、伝統的な会社(と言えばよく聞こえますが、端的に言って、「古い会社」)の社内を活性化させることを仕事としている人がいます。日本は、そんなコンサルタントが必要な企業(国)なのかなと思ってしまいます。
 日本の歴史上、トップリーダーが国民に奉仕を呼びかけたケースとしては、敗戦につながった戦争の記憶があまりにも強すぎて、どうしても反発の方が強くなってしまうのかもしれません。
 村上龍でしたでしょうか、「日本にはすべてのモノがある。でも、希望だけがない。」と言ったとか。希望がない国だから、奉仕がないと言えるのかもしれないです。
オバマがこれから直面する4年間を考えると、アメリカの大統領とはなんとつらい仕事かと思います。きっと4年の間に、彼はボロボロになるのではないかと、ちょっと心配です。でも、日本と違って、彼には希望はあるような気がします。

道徳と経済

 「日経ビジネス」新年特大号で二宮尊徳が取り上げられています。その特集の中で、二宮尊徳が、「道徳なき経済は犯罪であり、経済なき道徳は寝言である」という言葉を残していたと紹介されています。

 非営利法人、NPOやNGOと言われている組織には、「経済なき道徳は寝言である」という言葉を、目先のカネ儲けに走りがちな株式会社には、「道徳なき経済は犯罪である」という言葉を!

長部日出雄さんの『「定額給付金」辞退の弁』

 去年、日経新聞夕刊「あすへの話題」のコーナーに連載されていた、長部日出雄さんの文章をとても楽しみに読みました。11月12日(水曜日)の紙面に、『「定額給付金」辞退の弁』という文章を発表されていて、とてもいい文章だったので、大切に保存しています。
 長部さんは、マックスウェーバーに関して、何冊か本を出されていて、ウェーバーが資本主義発展の最終段階に登場する人物を「精神のない専門人、心情のない享楽人」であろうと予言したこと、経済の核心には「倫理的気風」がないといけないと考えていたことを、この連載で何度か強調されています。
 ご自身の2007年度の年収も発表された上で、「定額給付金」は固くご辞退すると書かれています。ご自分の価値観を大切にしたい、「精神のない専門人、心情のない享楽人」の仲間入りはしたくない、ということでした。
 なんでこのことを書いているかというと、今日の朝、オデッセイコミュニケーションズでもスポンサーになっているフジテレビの「新報道2001」を見ていたら、政治家の皆さんが、定額給付金を巡る議論をされているのですが、その議論は、結局「精神のない専門人、心情のない享楽人」たちの議論にすぎないなと思ったからです。
 バブルの時、全国の市町村に一億円を配って、好きに使ってくれという、あれは竹下登さんが総理だった時のように記憶しているのですが、日本にお金があまっていた20年ほど前、そんな「享楽人」的な政治が行われました。今からは、まったく信じられない話ですが。
 定額給付金について、ボク個人の態度ですが、まだ決めていないのですが、くれるというのなら、一旦いただこうかと思っています。でも、個人的には使わないつもりです。寄付しようと考えている先も、ひとつ、ふたつあります。ひとりあたり一万円前後と薄く広くばらまくよりも、失業者救済のために、重点的な使い方をしてもらいたいです。

ESTA

ESTA=Electronic System for Travel Authorization
今月12日から、アメリカに入国するために、事前の渡航認証が必要になります。今日、その手続きをしました。
もう数年前から、アメリカに入国することは、楽しい体験ではなくなっています。指紋チェック、瞳孔チェック、そしてなんのためにアメリカに来るのだと、あたかも犯罪者を扱うかのような質問姿勢。フレンドリーな態度は、すっかり失われています。ボクのようなアメリカのファンに対しても。
 アメリカの、楽観的な世界平和意識が崩れ去った9.11。世界が主権国家の集まりである限り、すべての国家が自分を守るために、ESTAのような手続きは当然のことなのでしょうか?
ESTAの手続きは、簡単でした。
https://esta.cbp.dhs.gov/