リーマンブラザーズの破産法申請に思う(その2)
posted at 2008.09.16
今日は大阪に日帰り出張で、途中、まったくネットにアクセスすることもなかったので、昨日書いた「リーマンブラザーズの破産法申請に思う」に普段の3倍くらいのアクセスがあったことを自宅でみて、ちょっと驚きました。おかしかったのは、「リーマンブラザーズX年収」とか、「リーマンブラザーズX給料」というキーワードで検索された方がたくさんいること。人気商売の外資系金融の給与水準に関心がある人が、多いのでしょうか。
日本ではそれほど目立ちませんが、証券会社同様、あるいはそれ以上に、給料がいいのが、KKRとかBlackstone に代表される、プライベートエクイティという投資ファンドです。日本はそれほど、売り案件が多くないので、新生銀行(元長銀)とか、東京スター銀行(元東京相互銀行でしたっけ?)など、数えるほどしか大きな案件はありませんが、アメリカでは、バンバン、会社の売り買い、上場企業の非上場化と新たな上場などが行われています。(いや、行われてきました、と過去形にすべきでしょう)
僕は決して、プライベートエクイティの存在を、「ハゲタカファンド」などと言って、すべて、悪者だとは思っていません。逆に、今の日本の上場企業の動き(例えば、株の持ち合いの復活)を見ていると、もっともっと、アメリカ的な資本主義の実践が必要なのではないかと思っています。
でも、リーマンは破産、メリルはバンカメに身売りなんてなると、「だからアメリカの金融なんて、マネーゲームばかりでダメだ」という議論が、日本では強くなり、結局、これまでのなれ合いや隠蔽体質を変えようとしない結果につながっていくのではないかと、ちょっと心配しています。
(法律違反さえしなければ)へまをしてもクビになる程度で、個人責任を問われることなんてないのに、成功したときに得られる、べらぼうなボーナスを別にすれば(この一方的なリスク・リターンの関係から、いわゆる「モラルハザード」というような態度が出てくるわけですが)、リーマンをはじめとする証券会社が、実物経済をダイナミックに再構築していくために果たして来た役割には、たいへん大きなものがあります(もちろん、失敗もたくさんあるでしょう)。でも、日本では、日本がもっとも必要としているリストラやM&Aにしても、さまざまな理由でまだまだ活発には行われていないのが、残念です。
大阪から羽田空港に着いたとき、バンカーズトラストで同じグループにいた、リーマンの日本代表の桂木さんがテレビ画面にでていたので、ちょっと足を止めて見ました。声は聞こえませんでしたが、これからしばらくは、関係者の方々も、たいへんな日々が続くのではないかと思います。
次は、日本でも大きな存在を持っているAIG(保険グループ)が、市場の関心になっています。どこの段階で、アメリカ政府が踏み込んだ救済に入るのか、あるいは入らざるをえないのか。フィナンシャルタイムでも読みながら、社会勉強させてもらいます。