スーパーとメーカーの綱引き

 雑誌「日経ビジネス」(2009年7月13日号)によると、イオンのPB(プライベートブランド)であるトップバリュのビールは、サントリーが製造している「第3のビール」(税金が安い)。ただしその商品には、トップバリュとサントリー、2つのロゴが入っていて、イオンはそれをPBとし、サントリーはPBとは考えていないという、奇妙な状況が発生しているという記事を出しています。

 そして今日の日経朝刊は、「サントリーとキリンが経営統合を検討」という、特ダネが一面を飾っていました。

 この頃クロイヌは、「OK(オーケー)」という、現金払いのみ、買い物袋は持ち込み、でもメーカー品の値段が他よりも安いというスーパーを愛用しています。昨晩、久しぶりに近所のダイエーに行くと、イオンのPB商品が多くなっていることに驚きました。ヨーグルト、牛乳、菓子、ビール、お茶などはほんの一例。こんな調子だと、PBの牛、マグロ、パイナップルなど、あらゆるものがPBになりそうで、そんなスーパーだと買い物に行くのも、楽しくないなと思いました。(きっと、かつての共産主義国での買い物は、そうだったのではないかと想像します)

 国内市場の伸びが期待されない日本で、大きな地殻変動が起きつつあることを感じます。

Fortune 500 企業で初の黒人女性CEO

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 今週は株主総会のラッシュです。僕も2社ほどの株主総会をのぞいてみました。大手総合商社2社の株主総会です。つねに比較されるこの2社ですが、かなりの違いがあることに気付きました。(ただし、その違いに関してはここでは書きません)

 どちらの株主総会も、都内の大きなホテルの、それも一番大きなホールを使った盛大なる催しです。ひな壇には、役員の方たちが2、3列で並びます。司会役の社長をはじめとしてその会社の経営責任者の方たちのお披露目でもあります。

 ホールの真ん中よりかなり後ろの席から、ひな壇を見ていて、日本の大企業、特に総合商社は完全な男社会であることを、改めて実感しました。役員には、誰一人として女性がいません(社外役員を除く)。

 さて、今日のFinancial Timesを読んでいたら、アメリカのゼロックス社では、7月1日付で、黒人で女性のCEO(経営最高責任者)が誕生するという記事がありました。お名前は、Ursula Burnsさん。年齢は1958年9月生まれの50歳だとか。

 黒人初の大統領が誕生したアメリカですが、今度は、黒人で女性でもある方が、ゼロックスというアメリカを代表する大企業のトップに立つという話に、多様性と女性の社会進出における日本とアメリカの差を感じます。

 ビジネスウィークにも記事があります。→ビジネスウィーク記事

Pet Airways

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ペット専用の航空会社がアメリカに誕生だそうです。感心すると同時に呆れもします。
エネルギー危機だの、エコだのと言っているこのご時世に、いつまでこんなビジネスが続くものやら。
Pet Airways

さすがJTの社長

 さすがJTの社長ともなると、記者インタビュー中でもタバコを吸うのでしょうか。
(→
ロイター記事の写真をご覧ください)
ボクはタバコを吸わないのですが、ビールは飲みます。キリンやアサヒの社長が、記者インタビュー中にビールを横において一杯口にしながらインタビュー対応という風景はちょっと想像しがたいのですが、タバコはOKということでしょうか。先進国ではタバコの社会的地位は危うくなっています。タバコメーカーの社長であったとしても、マスコミ向けの写真で、タバコを持っているポーズは想像できないです。

福岡の「スモール・ジャイアンツ」_辛子明太子の「ふくや」

雑誌「日経ビジネス」でも取り上げていただいたおかげで、アメリカン・ブック&シネマの「Small Giants/スモール・ジャイアンツ」を手に取っていただく方が増えています。読者の皆様、ありがとうございます。
来月福岡訪問を予定しています。県内のお取引先訪問、地元のFM局出演、アビスパの試合観戦などがあるのですが、もうひとつ、(アビスパを応援している)地元企業の経営者の方たち何名かと一晩ご一緒させていただくことになっています。
辛子明太子で有名な「ふくや」の川原社長がその中心なのですが、「予習」もかねて「ふくや」のHPの中にある動画を拝見。「この会社は福岡の『スモール・ジャイアンツ』だ!」と思いました。
現社長のお父様が創業者のようですが、戦争直後、朝鮮半島から引き上げてからの創業物語は、とても感動的。
「ふくや」HP (ふくやTV内の川原社長インタビュー)

Too big to fail

アメリカ国債の格付けがAAAから下げられることなど、ほんの数年前には想像もできませんでしたが、今、「ありうる」という人たちが出てきています。シティにしろ、AIGにしろ、大手金融機関に関しては、Too big to fail (潰すには大きすぎる)として、アメリカ政府はこれらの金融機関を支えてきました。(バブル崩壊後の日本政府も同じようなことをしましたが)

で、実はそのアメリカ政府自体が、Too big to fail なのではないかと思います。これまで日本政府は相も変わらずドル国債を買い支えてきました。円建ての債券であれば、為替リスクもないのに、常にドル建ての債券を。ある意味、日本国政府は、アメリカ政府を買い支えてきたとも言えます。もちろん、アメリカが倒産するなんてことを言っているわけではありませんが、まったくあり得ないというように思い込んでいることが健全なのかどうか。一昔前、ブラジルやアルゼンチンなどの中南米国は、対外債務の支払いに困り、事実上の倒産のような状況に陥りました。

アメリカの場合、ドルを印刷すれば、支払いには問題ないわけで、かつて1970年代、ニクソン政権のある高官は、The dollar is our currency, but the problem is yours. 「ドルはわれわれのものだけど、通貨問題はお前たちのものだ」と、海外に向かってのたまわったという逸話が残っています。その前提は、海外の投資家たちが、ドルを信頼して投資続けてくれるということですが。

この頃、「ドルはあなたの通貨、そしてそれはあなたの問題でもある。」と言いだしているのは、中国です。アメリカはもう際限なく、おカネを印刷しつづけています。これからドルへの信頼がどうなるのか、ある意味、楽しみにしながら、その展開を見ていきたいです。 さっき、ロイターを見ていると、ムーディーズがアメリカの格付けAAAを確認したという記事がでていました。アメリカの会社であるムーディーズやS&Pが格付けをやっている限り、よっぽどのことがない限り、自国政府の格付けを下げるようなことはないのでは?彼らが自国政府の格付けを下げるような事態になるということは、よっぽどのことでしょう。

金融プロフェッショナルに対する不信感

 海外の知人、友人たちと話をしていて、各国の一般ビジネスマンの間、あるいはわれわれ庶民レベルで、金融プロフェッショナルに対する非常に強い不信感が固まってしまったなと思います。あいつらは自分たちのカネのためになら、平気でうそをつく連中だ、というような。

 ここ数日、金融機関、特にアメリカの金融機関ですが、お互いの株価見通しを上げていくケースが出ています。たとえば、ゴールドマンサックスがバンカメの株価見通しを上げ(→ロイター記事)、シティがゴールドマンとモルガンスタンレーの株価見通しを上げる(→ロイター記事)というふうに。

 金融不安は一応落ち着いてきたのだと思いますが、それでも個人破産などは高水準でとどまっています。皮肉な見方かもしれませんが、なんとなく、お互いをかばいあい、お互いの間で値段を釣り上げているようにも見えるのですが、お門違いでしょうか?

 今回の世界不況で徹底的に改革が進めばいいと思っているセクターがあります。それはまさにアメリカの金融業界です。実体経済をこえて、あまりにも過大な報酬を取ってきた状況に対して、なんらかの規制が入らざるをえないのではないか?そうでないと、アメリカ社会内における治安が非常に悪化し続けるのではないかと思っています。

 

益多

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クアラルンプールのホテルの朝食ビュッフェに、ヤクルトがありました。写真をクリックしていただければ、読めると思います。「益(いいこと?)が多い」ヤクルト。ヤクルトの海外売上げ比率は知りませんが、以前、日経ビジネスで、ブラジルにおいても、「ヤクルトおばさん」がヤクルトを売り歩いて成功しているという記事を読んだ記憶があります。

クルマよりパソコン?

 社団法人日本自動車工業会が、「乗用車市場動向調査_クルマ市場におけるエントリー世代のクルマ意識」を発表しています。最近の若い人たちは、かつての若者ほどクルマに強い関心を持っていないと聞きます。この調査では、対象となった大学生たちは、クルマよりもパソコンに関心を持っているという結果が出ています。(パソコンは1位、クルマは17位) 

 「幼い頃から多くのモノに囲まれ、興味関心のある財の幅が広がり、情報通信機器やコンテンツなど、クルマ以外にベネフィットを感じる財がでてきた結果、エントリー世代において、クルマへの関心が相対的に低下している」とされています。

 この調査結果を読んでいると、若者は、あまり家から出ないで、一人パソコンやゲームをやって過ごす時間が増えているような感じです。「書を捨てて、街に出よう」と言った作家がいましたが、今は「ネットを閉じて、クルマを走らせよう」でしょうか。

 この調査結果が正しいとすると、確かに自動車産業は国内市場に対して、危機感を強くせざるをえないかと思います。

日本自動車工業会

アメリカ自動車メーカーの存在意義

 フィアットがクライスラーの救済に乗り出すというような話があります。偏見かもしれませんが、かつて潰れそうだったフィアットにクライスラーの救済ができるなんて思えません。クライスラーとイタリアの組み合わせは、かつてクライスラーを救済したリー・アイアコッカがイタリア系だったということくらいで充分なんじゃないでしょうか。
 ボクも自動車には関心がない方ではないと思いますが、これまで関心を持ったアメリカ車を思い浮かべることができません。関心を引いてきた車は、ドイツ車であり、イタリア車であり、そして日本車でした。
 この30年、40年間、いったいアメリカの自動車産業って、一度たりと、まともな車を作ったことがあるのでしょうか?財テク主導の経営、カネを貸して買いやすくした車。クライスラーにしろ、GMにしろ、一度として買って乗ってみたいと思ったことはありません。(社員の方達には申し訳ありませんが。)
 マスキー法ができ、燃費のいい車が必要とされはじめたのは、1970年代の始めのように記憶しています。マスキー法をチャンスとして果敢に挑戦したのは、ホンダでした。それに対して、アメリカのメーカーは、これまでも散々チャンスがあったのに、まったくやる気がなかったわけで、潰れるべくして潰れつつあるという印象です。まさに敗戦直前の日本における戦艦大和のように。
 ビッグスリーにはもう存在意義ってないのではないでしょうか?新しい存在意義を持った自動車企業がアメリカで誕生するとしたら、デトロイトからではなく、シリコンバレーから生まれてくるのではないかと思います。