人間安売りの時代

 コールセンターを持っていくのが、地方に仕事を作る常套手段のひとつになっています。コールセンターは、お客さんからの問い合わせやクレームを受けるインバウンドの電話と、営業、販売のためのアウトバウンドの電話に大まかに分けられます。この業界には90万人程度の人が働いていると聞いています。ひとつの立派な業界です。
このごろ、コールセンターに関わっている人たちと話をすることがあるのですが、たいへんな仕事だなという印象を持っています。
 第一に働いている人たちは、客からのクレームなどを真っ正面から受け止めないといけないので、精神的に非常にストレスがたまる仕事であるということ。
 その割には、あまり待遇がよくない。地方にコールセンターを持っていく最大の理由はコストが低いからです。時給700円、800円からスタートなんて話があると聞いています。
 さらに、コールセンター内におけるキャリアパスがはっきりしていない。一番下のランクからスタートして、その後、どのような仕事の展開があるのか明確でなく、一部、「使い捨て」が見られるとも聞きます。特に、販売、営業の電話をしていて、その成果に応じて成功報酬が払われるような仕組みになっている場合は、結果が出ない人に対してその傾向が強い、とか。
 コールセンターを活用する企業側はできるだけ安く「クレーム処理場」を運営しようとしています。その結果として、そこで働く人たちはかなり厳しい環境で働いているのではないかと想像します。
 日本経済がデフレから脱却できないでいるという記事がでています。(今朝の朝日新聞には、「デフレ3年ぶり認定_景気再び悪化懸念」の記事)デフレの定義は、記事によると、「すくなくとも2年、物価下落が続く状況」とあります。物の値段がさがることには文句がないのですが、その物を作っている人間の値段も下がっています。そういう意味では、まさに人間安売りの時代だと思えてしょうがないです。
 人間安売りの時代は、単純に低コストで働いてくれというだけではないです。少々いい加減な食べ物でも値段を安くして平気で食べさせるようになっています。(こんなことを書くボクも、コンビニのおにぎりとカップスープを、会社の机で食べて昼食とすることが多いのですが)食べるもの、見るもの聞くもの(端的に言うと「言葉」ですが)、それらが人間を作っているのに、手抜きしたもの、不純物を多量に含むもの、そんなものを体や心に入れているのに、消費する側は便利さを中心に追求していて、口にいれているもの、頭に入れているものをよく見ていないです。人間安売りの時代は、「不誠実」と「投げやり」の時代でもあるように見えます。
 安売りと便利さを徹底追及しているうちに、いつの間にか「人間」が消えていっているようにも思います。がんを直すことに熱中しているうちに患者が見えなくなった医者みたい。手段と目的がすり替わった時代。
 企業の多くが「人間尊重」、「個性尊重」を口にするけど、それらが現実の場でどのように発揮されているのか。
 ボクも小なりとはいえ、会社をやっている経営者の端くれとして、人ごとではない話です。

アップルがマイクロソフトに追いつく日?

スティーブ・ジョブズがアップルに復帰して以来、アップルの快進撃は続き、株式市場における時価総額は、98年の50億ドルが、現在では約1800億ドル。マイクロソフトの2500億ドルが視野に入ってきたという記事がロイターにあります。
ロイター記事

馬路村のゆずがカントリーマアムに

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高知・馬路村のゆずがカントリーマアムに使われているのを発見。(→以前馬路村のゆずについて書いたバックナンバー

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来年、NHK大河ドラマで龍馬伝が始まると、高知県の話題がもっと出てきそうな予感!

不況期でも売れているもの1

 この何年か、全国でパンのブームが続いていると聞きます。女性誌などでもパン特集がしばしば組まれています。
首都圏にあるZというパン屋は、テレビで紹介された後、店頭販売のみならず、通販サイトも人気度抜群で、なかなか商品を買うことができない状況になっています(まだまだテレビの力はあるようです)。パンに詳しい知人の話では、このZというお店は、異常な人気のようです。

 
 

『成功は一日で捨て去れ』(柳井正著)

 著者は、ご存知、ユニクロの創業者。ボクが尊敬している起業家、経営者です。このブログでも以前からなんどか書かせていただきました。(→バックナンバー1、→バックナンバー2バックナンバー3
 この本自体は、ユニクロのPRのひとつとも言えるのでしょうが、それを割り引いても、経営者、起業家にとっては参考になる本です。アパレルの小売業は、うちの会社のビジネスとは性格がかなり異なるため、簡単に比較したり、真似たりできるわけではありませんが、柳井さんの姿勢、考え方、またその勉強熱心さは非常に参考になります。
 1「企業の目的は顧客の創造である」(ドラッカー)。企業は自分たちがなにを売りたいかよりも、お客様が何を求めているかを考え、お客様にとって付加価値のある商品を提供すべきである。
 2「企業の目的は、それぞれの企業の外にある。」(同じくドラッカー)。本来、我々がターゲットにすべきなのは、まだお店に足を運んでくれていないお客様、つまり潜在的な需要をつかまえることだ。
 3 顧客を創造するためには、付加価値を持った商品を開発するということ以外に、テレビコマーシャルや雑誌などを使ったイメージ戦略や企業の姿勢を伝えていくPR活動が大切だ。
 もうひとつ響いたこと。ボクらのビジネスは、顧客にある程度努力(それをボクはよく「苦行」と言っているのですが)をしていただかないといけない性格を持っています。そんなビジネスを行っているボクには、次のような柳井さんの言葉がとても響いてきました。
「よく、先行している商売人が流行を作り出すとか、お客様の心理を作り出すといった類の話があるが、そんなことは実際にはあり得ない。こちらから心理状態を変えるなんて滅相もないことだ。重要なのは、お客様の心理状態に合わせて商品を作り出すことなのだ。」
 実は、昨日福岡のセミナーでお話させていただいたとき、ITビジネス、あるいはITのトレーニング、資格ビジネスは、売りたいものを一方的に売ろうという姿勢が強すぎるのではないか、という発言をしました。そういうこともあって、福岡からの帰りの飛行機で読みはじめ、自宅に帰って読み終えたこの本の中の柳井さんのさまざまな言葉に、とても共感したのかもしれません。

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(写真は、昨日、福岡であったセミナー会場のAIビル9階から見た夕方の百道の海の景色。とてもきれいな眺めでした。)

カップリング/デカップリングの議論

 2008年の1月と言えば、もう2年近く前になりますが、アメリカ経済と世界経済の「カップリング」について、駄文を書いたことを思い出します。(→バックナンバー
 ロイターのニュースでおもしろい記事を見ました。それは、日銀の白川総裁が、「先進工業国の超金融緩和政策が、新興国の経済発展を押し上げている」と指摘したことです。この10年、日本はずっと超金融緩和政策でした。その政策が、世界のバブルの原因の一つであった時期がありました(いわゆる、円キャリートレード)。現状は、円にドルが加わり、加えてその他の先進工業国の金融緩和策が、ミニバブルを引き起こしているように思います。
 アメリカ経済とアジアを中心とする新興国経済が、相関関係にあるかどうか、つまり「カップリング」あるいは「デカップリング」の議論がありました。それに対する答えとして、経済がお互いに依存し合っているネットワーク化した世界においては、すべての国の経済が強い相関関係にあることを、いろいろな局面の中で発見しているように思います。
ロイター記事

変わる学校、変わらない企業

 昨日は名古屋でお取引先7社(校)を訪問させていただきました。お時間をいただきました皆様に心より感謝申し上げます。

 学校(特に専門学校)の方とお話ししていて、18歳人口の大幅減少のなか、これまで以上に海外からの学生や社会人向けの教育ビジネスに入っていかざるを得ないというお話をお聞きしました。これは変わっていこうとする学校の例。
 企業の方とお話ししていて、なかなか休みがとれないという状況をお聞きしました。一週間の休みも、なかなか取りづらい、とか。これは変わらない企業の実態?

 名古屋からは夜9時10分の新幹線に乗ったのですが、荷物を動かして、席を空けてもらいました。隣には、フリーランスのキャリアウーマンらしき女性が座っていたのですが、窓わくには、缶チューハイが置かれていて、なんとなく複雑な気持ちになりました。女性が新幹線の中でアルコールを飲み、ぐったり疲れて眠っている。働く女性たちも、たいへんな状況にあるのかと思います。なかなか休みも取れないようですし。

 ストレス社会日本、でしょうか?

 

"The First Billion Is The Hardest" (T. Boone Pickens 著)

 アメリカからの帰りの飛行機の中で読みはじめた本です。『どん底から億万長者』というタイトルの本は、この本の翻訳本かもしれませんが、表紙のデザインはちょっと安っぽくなっている印象を受けました。
 日本では、80年代、ピケンズが小糸製作所の株を買ったことでマイナスの記憶を持っている人も多いかもしれませんが、日米問わず、大企業のサラリーマンとはまったく違う価値観と生き方をしてきた人です。まだ読み終えていませんが、印象は決して悪くないです。自分でリスクをとり、体を張って生きてきた人かと思います。
 ピケンズは、アメリカが海外(中東)の石油に依存することが、外交、防衛において危機的な状況を作り出していることを、身銭を切ってキャンペーンしています。石油マンのキャリアを持ちながら、代替エネルギー(風力、ソーラー)の開発に投資をしています。現在すでに80歳をこえていますが、そのバイタリティには敬意を表します。
 YouTubeにも彼の動画がかなりアップされています。


台風の日に遅刻しないで出勤する

 昨日、台風が関東地方を襲った朝、交通機関の多くが麻痺し、定時に出勤できなかった人たちが多かったことだと思います。朝早い電車であれば、遅れることもすくなかったようですが、ちょうど通常の出勤時に家を出た人たちは、たいへんな目にあったように聞いています。
 派遣社員と正社員は、こんな時に扱いに差がでてくるのでしょうか?つまり、正社員は、たとえ遅刻したとしても給料が特に減らされるわけではないでしょう。でも、派遣社員は会社について仕事を始めた時間から、勤務したと見なされるのでは?そんなところにもある意味正社員の甘えがあるのかもしれないし、ちょっと派遣社員の人たちはかわいそうだなと思います。
 うちの会社で言うと、普段から早く出勤している人たちの多くは、昨日も早くから会社に出て仕事をしていたようです。
 台風が出勤時刻前後に関東地方を襲うことが事前にわかっていて、普段よりも早く家をでて頑張って会社に遅刻しないようにした人たちは立派。(一部路線では、その意志はあっても、電車がまったく動いていなかったでしょうが)
 こんな話が、今夜いっしょに食事をした、かつては超体育会系だったという広告代理店の方たちとの話題にでました。(かつてこの会社の雰囲気としては、前夜、会社のそばのビジネスホテルに泊まってでも、翌朝遅刻するなというものだったとか。モーレツな時代だったと言えば、それまでですが)

カンファランスもウェブ2.0っぽく

招待状をいただいて、ニュースコーポレーションのルパートマードック氏のお話をお聞きする機会がありました。ニュース社傘下のダウジョーンズ社が、読売新聞と提携したことを記念してのイベントです。
遅くついたこともあり、一番前の席しか空いてなかったので、講演者からすぐのところに座りました。なるほど、この老人が「世界のメディア王」なんだと、ちょっと感心も。

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ボクがおもしろかったのは、ウェブ2.0の「ツール」。会議の参加者へのアンケートが途中、途中にあって、回答がすぐに表示されました。一番最初の質問は、2010年末の日経平均は、1 1万円円以下、 2 1万円から1万1千円の間、 3 1万1千円以上。写真のようなハンディ端末で回答し、結果はすぐに表示されます。

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