「日経ビジネス、お前もか?!」

オリンパスが過去におこなったM&Aに関する疑惑の報道について、フィナンシャルタイムスと比較し、日本の新聞、特に日経新聞および日経ビジネスが及び腰だという意見があります。『「日経ビジネス」を発行する日経BP社の辣腕副社長として現在の日経ビジネスの局長以上の人事に深く関われた方が、今年の6月からオリンパスの社外取締役になっている。』という情報もあります。(→JB Press

日頃、日本の新聞数紙に加えてフィナンシャルタイムス(FT)も読んでいますが、FTは1ページ全面でオリンパス疑惑を報道したり、社説で論ずるなど、日本の新聞よりもずっと大きな取り上げ方をしています。日本の新聞は一見中立なポーズをとりながら、まったく真実に迫ろうという意欲がない記事が多いなと思います。もしそのような意図ではないのだとすれば、コーポレートガバナンス、M&Aについての専門知識や見識がなさすぎです。

まさか、日経ビジネスあるいは日経新聞が、日経グループOBがオリンパスの社外取締役に就任しているということで、お茶を濁すような報道で済ましているとは考えたくない話です。ボクも日経ビジネスの購読者のひとりですし、途中、読まなかった時期もあるとは言え、20年以上にわたって日経ビジネスを読んできました。

日経ビジネスには、OBがオリンパスに関連しているから、手ぬるい報道でお茶を濁しているなんて批判には、しっかりした報道で反論していただきたいです。

今年、日経ビジネスには、こんな「汚点」があります。

3月14日号(「中高年は席を譲れ」特集)には、2ページにわたる「プルサーマル」プロパガンダの東電の広告、1ページの東芝の原子力事業広告がでています。日経ビジネスにとって皮肉なことに、この3月14日号は、3月11日の東日本大震災直後に発売されています。あまりにもタイミングがよすぎる広告でした。

繰り返しますが、日経ビジネスの長年の読者のひとりとして、今回のオリンパス事件に関して、背景の闇に切り込む勇気ある報道が行われることを期待しています。

「新聞なんかいらない。肝心なことが載ってない。」(宇多田ヒカル『Beautiful World』)なんてことだと、若い人たちだけでなく、われわれ中高年からだって、新聞・雑誌は捨てられていきますよ。

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「日経ビジネス」2011年3月14日号

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東京電力の「プルサーマル」プロパガンダ広告

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東芝の原発事業広告

「日本語で読む中東メディア」

東京外大による非常におもしろいプロジェクト。中近東メディアの記事を日本語に翻訳してくれている。
僕も英語でしか外国の情報を得ることができないので、きっといつの間にか、英米メディアのものの考え方に大きく影響されていることだろうと思います。
北アフリカや中近東の情勢、イスラエルと周辺国の対立、アフガニスタンやパキスタンで起こっていること、それらについて、アラビア語、ペルシア語、トルコ語のメディアがどのように伝えているのか、彼らはどのように考えているのか。たとえ日本語翻訳を通してであったとしても、直接に読むことができるのはすばらしい。(今さらアラビア語やペルシア語を習得するなんて、ゲーテじゃあるまいし!)

東京外大関係者の努力に敬意を表したい。
→「日本語で読む中東メディア」

各紙でご紹介いただき、本当にありがとうございます。

秋田魁新報、河北新報の書評コーナーで、アメリカン・ブック&シネマの新刊『ドッグマン』が紹介されたことをご報告したばかりですが、この2紙以外の多数の新聞でもご紹介いただいたことがわかったので、あらためてご報告いたします。以下の地元有力紙でこれまでご紹介いただいています。各紙のご担当者には心より感謝申し上げます。

岩手日報 5月15日、下野新聞 5月15日、山梨日日新聞 5月15日、新潟日報 5月22日、北日本新聞5月15日、北國新聞5月15日
神戸新聞 5月22日、山陰中央新報 5月22日、徳島新聞 5月15日、大分合同新聞 5月22日、熊本日日新聞 5月22日
宮崎日日新聞 5月22日

アメリカン・ブック&シネマ

哲学者_五月蝿いけど必要な存在

 5月17日付けの東京新聞夕刊に、哲学者・中島義道のインタビュー記事が出ていた。彼の問題提起は、震災直後、被災者たちの忍耐力が世界から称賛され、それは素晴らしいのだが、震災に対して、「なぜ?」という問いや絶望の言葉がもっとあっていいのではないかということ。

 美談が覆う真実がたくさんあるのではないか?たとえば、学校が大嫌いな子、いじめにあっていた子もいただろうに、マスメディアではすべての子が学校や勉強や友だちが大好きだという「神話」ばかり。家族に関しても、「心温まる家族間の話」ばかりで、「健全な」家族の美談以外は取り上げられることはない。「日本は言論が自由な国とされていますが、この点ではまったく違う」としている。

 また「震災後、さまざまなイベントや行事が自粛され、それは他人にも同様の自粛を求める『他粛』の風潮になっていて、互いに自粛し合い『いい人』しか出てこない今のような言論状況は、不気味な感じさえします。」

 そして最後にこのように言っている。「今回の大震災で日本人の良い面、悪い面がすべて出たのではないか。被災者たちの品格ある穏やかな態度、全国からの励ましの声などにあらためて日本の良さを確認する一方で、日本人の『哲学的にものを見る目』はまったく育っていないように思われる」、と。

 哲学者というのは、面倒なこと、五月蝿いことを、自分にも、そして他人にも問い続けるという存在で、毎日いっしょにいるとこちらも気が滅入ってきそうだけども、社会の中でとても必要な存在だ。特に日本のように、画一的な思考、感情的な思考に社会全体が陥りがちな国においては。

『ドッグマン』、河北新報でも取り上げられました。

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アメリカン・ブック&シネマの新刊『ドッグマン』。先日ご報告した秋田魁新報に続いて、宮城県エリアの主要紙、河北新報(2011年5月16日付け)の書評コーナーでも取り上げていただきました。ありがとうございます。

『ドッグマン』が秋田魁新報で紹介されました。

秋田県を代表する新聞・秋田魁新報で、アメリカン・ブック&シネマの新刊『ドッグマン』が紹介されました。5月15日(日曜日)付けの書評欄(8ページ)にでています。ご紹介ありがとうございました。

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「ドッグマン」@アマゾン

アメリカン・ブック&シネマ

FT記事へのコメントにお返事をいただく。

最近読んだFinancial Times の日本関連記事を書いたライターにメールを出したところ2回とも返事をいただき、驚きました。
一度は、週末版の"Slow Lane" というコーナーで読んだ、日本の知る人ぞ知る偉人・福岡正信を紹介する記事、もう一度は日本の国債市場の将来見通しに関しての記事。それぞれ、Harry Eyres、Henny Senderというライターから、短いですがお返事をいただきました。
FTのほとんどの記事には、ライターのメールアドレスがついています。会社の方針なのかどうか存じ上げませんが、たとえ簡略なものとは言え、きちんと返事をされる姿勢に驚きます。日本の新聞では考えられないです。

→"We reap what we have sown" (by Harry Eyres、福岡正信紹介記事)
福岡正信とは
"Worse still to come after Japan’s lost decades" (by Henny Sender)

"Kan" must learn to love business.

 フィナンシャルタイムズに、"Obama must learn to love business" という論評がでていた(John Gapper 記者)。10月28日付け(アジア版)のFTにでていた記事で、中間選挙での民主党の敗北予想を前提に書かれたものだった。僕はまったく同じ内容のことを管政権および日本の民主党の方たちに贈りたい。
 アンチ・ビジネスからはなにも生まれてこない。これは僕が「経営者側」の人間だから言うのではなく、社会の問題の多くが経済問題であり、問題解決のために「経営力」「マネジメント力」が必要だからだ。民主党政権の中枢にいる方たちは学生運動と労働運動の出身者たちが多いようだけども、ビジネスのことを愛するところまでいかなかったとしても、理解してもらいたい。ビジネススクール出身者なんていないのかもしれないけども、前にも書いたけど、ドラッカーくらいきちんと読んでもらいたい。
 富の分配についてと同じ程度に富の創造に熱心であって欲しい。もっと富の創造のことを勉強してほしい。
 
There was a good article by John Gapper in the Financial Times. I would like to replace Obama with Kan (our current prime minister. who knows how long he will be so!) and present the article to our ruling party. Kan must learn to love business. It is unfortunate that many of our ruling party members are controlled by the labor unions.

Obama must learn to love business
(ネットでは記事は登録しないと読めなくなっています)

FT紙の秀逸な見出し

日頃日本の新聞と並んで、Financial Times を読んでいますが、記事の見出しに感心することが多いです。限られた言葉で、ある出来事の本質をずばり指摘するような見出しです。最近感心したものにいかのようなものがあります。(2010年10月20日付け。Global Insight というコーナーにあったGeoff DyerというFTの北京支局長による記事)
 
  "Mindset of Beijing's next leader remains a closed book"

次の国家主席として「内定」したと言われている習近平について、彼が外交、内政に関してどのような考えを持っているのか、ベールに包まれたままだという記事の見出しです。この記事はまとめてして次のような文章で終わっています。

 "The name of China's next president might already be pencilled in. But the political character of the new generation of Chinese leaders remains something of a closed book."

こんな文章が英語で書けるようになるといいなと思いますが、日本語でももっといい文章が書けるようになることはもっと大きな課題です。

ウェークアップぷらす

 今月から小社では、読売テレビ制作の「ウェークアップぷらす」でCMを流しています。先週の番組は見損ねましたが今週は見ていますよ。(テレビをみながら、このブログを書いている)

 で、この番組のHPをチェックしてみると、なんと知り合いのアレクサンドラ・ハーニーがコメンテーターのひとりにはいっている!彼女は以前、フィナンシャルタイムス東京支局のライターのひとりで、最後に会ったのは彼女がロンドンに転勤になった後、ロンドンでのような記憶。現在は香港ベースで中国関連の本を書いているはず。(ウィキにも彼女の紹介ページあり。→こちら
 
 それにTBSのサンデーモーニングで張本に追い出された江川紹子さんが、ウェークアップぷらすのコメンテーターに加わっていますね。TBSのサンデーモーニングも、大沢親分が亡くなられたので張本との人気コーナーはどうなるのか。

ウェークアップぷらす