「画家」としての黒澤明、写真家William Yang

 今日はお昼から都内のホテルでお取引先の社長のお嬢さんの結婚式。末永くお幸せに!

 そのあと、今日が最終日の黒澤明生誕100年記念画コンテ展「映画に捧ぐ」と、12月5日までやっている「ラブズ・ボディ_生と性を巡る表現」を先週土曜日に次いでまた見に行った。(@東京都写真美術館)

 展示ホールの中央にこのような黒澤の言葉が飾られていた。

 みんな、自分が本当に好きなものを見つけてください
 自分にとって本当に大切なものを見つけるといい
 見つかったら、その大切な物のために、努力しなさい
 君たちは、その時、努力したい何かを持っている筈だから 
 きっとそれは、君達の心のこもった立派な仕事になるでしょう

 
Everyone, please find something that you really like.
Something that is truly important to you.
And when you find it, work hard for it.
At that point, you have something,
for which you wish to give your best.
Then surely, it will become a noble job
filled with your heart and soul.
(by Akira Kurosawa)

 黒澤は映画だけでなく、絵もものすごくいい。

 それからこちらは12月5日までやっているので、ぜひ多くの人が見に行ってくれればいいのになと思うのは、「ラブズ・ボディ」展のなかの、William Yang の Allan という19枚の写真集。中国系オーストラリア人の写真家、ウィリアム・ヤンその人のかつての同性愛の対象であったアランという友人の死に至までの18枚に加えて、死の10年前、まだアランが健康であった頃の写真1枚からなるモノローグ。同性愛者のことは分からないし、分かろうという努力もしたことはないし、正直言うと、分かろうという意思ももってはいないのだけど、この写真19枚には心から感動した。

 きっと12月の最終日までにはあと1、2回は、この19枚の写真をみるためだけに、恵比寿に足を運ぶような気がする。
東京都写真美術館

映画「悪人」

現代日本の「罪と罰」。
吉田修一が朝日新聞に連載していた時のページはすべて保存しています。実は作品はまだ読んでいないのですが、新聞に連載中はアーティストの束芋さんが挿絵を書いていました。束芋さんには僕とカイの絵を描いてもらっているので、ちょっと特別なアーティストなのです。
映画では、深津絵里が良かった。
映画のクライマックスシーンが撮影されたのは、長崎県五島市の大瀬崎灯台。ぜひこの場所に立ってみたいです。まだ行ったことはない、アイルランドの風景を想像しました。




YouTube: 悪人(Akunin)Trailer #2

映画『フェアウェル』_人は、希望で動く。

 今週、久しぶりに映画を見た。『フェアウェル』。副題に「さらば、哀しみのスパイ」とある。ポスターやパンフレットにつかわれているのが、「人は、希望で動く。」というコピー。そして、この後には、「歴史は信念で動く。」とある。「人は希望で動く。歴史は信念で動く。」歴史が信念で動くものなのかどうか、あるいはそういうこともあるのかどうか。それはこの映画を見てください。
 1981年、ソ連崩壊のきっかけをつくった、ひとりの男(父親)の物語。事実に基づいているということです。祖国と家族の未来を思い、金銭的な見返りを求めることもなく、西側にソ連の極秘情報を流した男の物語。パンフレットには、「祖国と息子のために死のリスクを冒した実在の男フェアウェルの孤高の魂に触れたとき、誰もが涙する」とあります。
 重いテーマですが、とてもいい映画です。ハリウッドではなく、フランス映画。監督は「戦場のアリア」のクリスチャン・カリオン。

「フェアウェル」
「戦場のアリア」

サンフランシスコ映画祭、そして禅僧の話

アメリカで仏教がのびているという話をいろいろな方からお聞きしたことがあります。昨年、オデッセイマガジンにでていただくためにお会いした花園大学の佐々木先生もおっしゃっていました。San Francisco Zen Center のメルマガで、今開催されているサンフランシスコ映画祭で、いかのような映画が上映されていることを知りました。
THE PRACTICE OF THE WILD
詩人で禅の修行のため日本にも長く滞在していたGary Snyder を取り上げた映画。
ついでに、こんな映画も上映されているようです。
THE INVENTION OF DR. NAKAMATS
デンマーク人の監督のようですが、なんでまたドクター中松に関心を持ったのか、ちょっと観てみたい映画です。

で、「禅僧の話」です。この前一度ご紹介した河合隼雄先生の「ユング心理学と仏教」のなかにこんな話が紹介されています。

 二人の僧が旅に出て、川に行きあたります。その川は誰も歩いて渡るほかはありません。そこに美しい女性がきて、川の中にはいるのを嫌がっているように見えます。すぐさま、一人の僧は彼女を抱いてその川を渡りました。向こう岸で彼らは別れ、二人の僧は旅を続けました。しばらく黙って歩き続けましたが、一人の僧が口を開きました。「お前は僧としてあの若い女性を抱いてよかったのかと、俺は考え続けてきた。あの女性が助けを必要としていたのは明らかにしてもだ。」もう一人の僧は答えました。「確かに俺はおの女を抱いて川を渡った。しかし川を渡った後で、彼女をそこに置いてきた。しかし、お前はまだあの女を抱いているのか」と。

 含みのある話でおもしろいなと思います。

映画「ゼロの焦点」

昨日の朝日新聞夕刊に、映画「ゼロの焦点」の金沢風景が韓国で撮影されたことに関連して、日韓の映画を通しての交流の話が出ていました。2週間ほど前の週末にこの映画は見たのですが、木村多江さんが助演女優として味のある演技をされていました。

This Is It.

マイケルジャクソンのロンドンコンサートのリハーサル風景から作られた映画。MJのファンにとってはありがたい映画でした。終わった後、拍手が起こった珍しい映画。"Heal The World"と"Man In The Mirror"が「とり」をかざりました。"Man In The Mirror"がマイケルジャクソンの最高の歌のひとつだとずっと思っています。(→バックナンバー


絶対に見に行くよ!

昨晩から福岡に来ています。こちらの財界の方とお食事。今日はお取引先の皆さんとお会いして、東京に帰ります。
今朝の読売新聞で、作家の塩野米松さんが紹介されていた、映画「里山」。絶対に見に行きます!ちょっとHP、見てください。すごいきれいな映像集です。
映画「里山」HP

文盲は哀しい〜映画『愛を読むひと』

 日曜日の夜に久しぶりに観た、主演のケイト・ウィンスレットがアカデミー賞最優秀主演女優賞をとった映画。文盲だったことを隠し通し過大な罪を受け入れた女。文字が読めない、書けないことは哀しい。この哀しい存在の女に、年下の男の主人公は、ホメロスの『オデッセウス』を朗読してあげます。この『オデッセウス』の英語読みは、「オディシー」、日本語発音ではうちの会社の「オデッセイ」になります。会社名の由来の詳細は人には話したことはないけど、この『オデッセウス』から来ています。
 この映画の隠されたテーマのひとつって、「人は自分の経験を他人に伝えることができるのか」ということかと思いました。収容所でのユダヤ人の経験を、文盲であることを隠さないではいられなかった気持ちを、愛した女の悲劇的な存在を。そしてこのテーマは、「他人の経験から人は学ぶことができるのか」と、置き換えることもできます。
 「賢者は歴史から学び、愚者は経験から学ぶ」と言います。大きな政治や外交だけでなく、ボクら一人ひとりの日常のことでも言えることかと思いますが、愚者であるボクなんかは、自分で経験しないとなかなかわからないことが多いです。
 ハーバードビジネススクールの教授法である「ケーススタディ」も、「他人の経験から学ぶことができるか」ということです。こちらもなかなか難しい話だと思います。

映画「愛を読むひと」

「ノルウェーの森」の映画化、建築家ヴォリーズ

 今日の朝日新聞夕刊によると、村上春樹の「ノルウェーの森」が映画化されるとか。この小説を読んだのは、もう20年以上前のような気もします。中身はほとんど覚えていません。村上春樹が、雑誌のインタビュー記事で、ウォークマンでビートルズの「ノルウェーの森」を聞きながらこの小説を書いたというようなことを話していたことを覚えています。おかしなもので、小説の大まかな筋さえもほとんど覚えていないのに、こんな些細なことは記憶に残っています。
 主人公を取り巻く女性の一人に、菊地凛子が抜擢されるということが記事に出ています。ボクは、映画「バベル」で菊地さんの大ファンになりました。来年公開予定ということですが、「ノルウェーの森」の映画化を楽しみにしています。
 話は変わりますが、昨日、NHKの「日曜美術館」でメンソレータムで有名な近江兄弟社を始めたことでも知られるアメリカ人建築家ヴォリーズの作品が紹介されていました。神戸女学院を始め、ミッション系の学校建築を広く手がけた人で、戦前、戦後の日本の建築界に大きな影響を与えた人です。とてもいい紹介番組でした。その建築物が「作品」となり、住む人の利便性を必ずしも優先していないと言われることもある、また、政治力もある某有名建築家が、ヴォリーズの設計した洋館を、「住む人のことを考えた家である」と言って褒めていたことが、ちょっと滑稽ではありました。
 

日本でも公開してほしい台湾映画

以前もご紹介しましたが(→黒犬通信バックナンバー)、2年ほど前、弊社のプロモーションビデオにご出演いただいた田中千絵さんが、台湾映画界で大活躍されています。出演された映画「海角七号」が、台湾国内で大好評、アジア海洋映画祭でグランプリを受賞ということです。今月は日本に帰国されているようですが、あらためて、おめでとうございます。いよいよ道が開けてきましたね。
「田中千絵_台湾・一人修行」ブログ
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「台湾映画初主演の田中千絵が凱旋会見」