戻りの遅い日本株

サブプライム・ローンの影響をもっとも受けた市場のひとつが日本の株式市場。そして、欧米諸国でいくつかの対応策がアナウンスされても、戻りの勢いが一番弱いのが日本市場。その根本的な理由は、日本の構造改革が遅々として進まないことへの大きな失望かと思います。日本の新聞で好意的に取り上げられているブルドッグソースに関する裁判所の判決なんて、海外の投資家にとっては大きな失望でしかありません。

できるだけ今のままの企業ガバナンスを維持しようとする動きや、日本のユニークさを強調する動きなどは、日本にとって、プラスではなく、圧倒的にマイナスになっているのではないか?

大学の1年生のとき、同じフランス語クラスだった、そして卒業後、郵政省(現・総務省)に入ったT君という同窓が、最近、携帯電話のビジネスモデルの変革を提言していて、ちょっとした有名人になっています。ケータイは、日本が力を持っているのに、日本だけのビジネスモデルを作ってしまったため、国際市場でまったく競争力を持ちえない、不幸な業界になってしまっています。

小泉・竹中路線に対する批判はいたるところで聞かれます。彼らのとった経済政策が、プラスかどうか、僕は判断できるほど、知っているわけでもないし、考えたことがあるわけでもないのですが、構造改革が遅れていくことは、日本に対する期待を失わせていき、ますます東アジアにおける中国の台頭と日本の没落を進めていくことになるのかと危惧します。

少なくとも、日本の株式市場だけを見ていると、あまり前向きな気分にはなれません。日本人自身も、日本株に投資しないで海外市場の方を見ているようでは、海外の投資家も、いつか日本へは期待しなくなるのではないかと思います。