スポーツ面がおもしろい日経新聞

 こんなことを書くと、日経新聞の皆さんに失礼かもしれませんが、日経新聞で一番目をひく文章が多いのは、スポーツと文芸、それと研究者たちによる経済教室のページ。

 今週26日から3日間続いた夕刊スポーツ面の「駆ける魂」。プロボクサー・嶋田雄大(しまだひろたけ)のコラム記事はおもしろかったです。この頃、ボクシングをテレビで見たりしませんが、40歳までに世界チャンピョンを目指しているというこの選手にちょっと関心を持ちました。

嶋田雄大ブログ

追記

日本経済新聞も広告収入がガタ落ちになり、他の新聞同様、たいへんそうです。朝刊、夕刊とも、連日のように自社の広告、たとえば日経テストの広告が多いことに驚きます。

Yonda?Doll

新潮文庫のYonda? Club。大好きです!新しいYonda?Dollをゲットしますよ!

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秋田とのおつきあいが深まります

 秋田県で活躍している「若手経済人」のSさん(大学で一年後輩)のご紹介で、秋田市が2年に一度行っている、秋田市と付き合いがある東京在住経済人の集まり(「秋田市在京経済人懇談会」)にご招待いただきました。

 秋田市長はじめ、秋田で行った丸の内起業塾でたいへんお世話になった秋田財界の代表のお一人である三浦社長、さらには秋田大学の学長ほか、秋田関係者数百名が出席。秋田大学の学長のお話によると、秋田大学で2000名ほどの従業員を抱えているそうで、地方都市における大学を企業としてみると、非常に大きな存在です。問題は、その組織が税金で支えられている一方、社会の富を創造することにどれだけ貢献しているのか、そのことを、もっとわれわれは真剣に考えるべきでは?

 あと、テーブルでは、弊社の試験をご採用いただいている某大手商社の方々ともごいっしょになり、日本の商事会社の役割をめぐって楽しい議論。
 それから、秋田の国際教養大学の卒業生で、秋田にプロのバスケットボールチームを作ろうと孤軍奮闘している水野勇気君(「秋田プロバスケットボールチームをつくる会」)とも、初めてお会いしました。頑張ってください。
 写真は、3月に公開される映画「釣りキチ三平」のポスター。撮影は秋田で行われ、秋田紹介の最高の映像になっているとか。「おくりびと」と同じ映画監督だということですから、封切りが楽しみです。

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『日本の優秀企業研究_企業経営の原点6つの条件』(新原浩朗著)

 優秀企業とそうでない企業を分ける一般法則は、所属する業界の差に関わりなく見られ、以下のような6つの共通点が見られる、とする研究結果を書籍にしたもの。
1 分からないことは分けること
2 自分の頭で考えて考えて考え抜くこと
3 客観的に眺め不合理な点を見つけられること
4 危機をもって企業のチャンスに転化すること
5 身の丈に合った成長をはかり、事業リスクを直視すること
6 世のため、人のためという自発性の企業文化を埋め込んでいること

 まとめて言えば、「自分たちが分かる事業を、愚直に、まじめに自分たちの頭で考え抜き、情熱をもって取り組む」こと。

 この本の中には、ボクが尊敬している企業、企業家が紹介されています。任天堂(山内前社長)、信越化学(金川千尋現社長)、ヤマト運輸(故小倉社長)、マブチモーター、ホンダ、トヨタ、シマノなどなど。任天堂の山内さんにとっても、最初の30年は苦労の連続だったこと(トランプや花札事業にかわる新規事業として、タクシー事業、インスタントライスの製造にトライした)が紹介されています。また、マブチモーターの製品標準化の話も、おもしろかったです。
 任天堂やマブチモーターは、Big Giants になっていますが、"Small Giants"たちと同じなにかを、共有していると思います。

伊那食品工業_日本のSmall Giants(スモールジャイアンツ)

 アメリカン・ブック&シネマの新刊本「Small Giants」。おかげさまで、日本経済新聞の書評欄でも取り上げていただきました(1月18日付)。この本の中で紹介されているのは、アメリカの企業ばかりですが、日本に、Small Giantsがないわけではありません。それどころか、たくさんあるはずです。

 で、そのような日本のSmall Giantsのひとつが、この伊那食品工業なのではないかと、ロイターのHPに掲載されていた、雑誌「プレジデント」の記事から思った次第です。しっかりした哲学をお持ちの社長に感心しました。事業の深堀、地元に根付いた経営などが印象的です。

(→伊那食品工業記事

山形の黒犬友達

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 山形の柳沼さんから、ブルーノ君の写真が送られてきました。柳沼さん、ありがとうございます。

 ちょうど昨日山形県知事選があって、県の財政再建を進めてきた現職知事が落選しました。落選した現職知事は、自民党。当選した野党の新人候補は、財源のことはほどほどに、積極的なバラマキ政治をにおわせて選挙民の心をつかんだ、とか。

 この前ご紹介した木下さんもそうですが、破綻した自治体の首長が、財政再建のため公共事業費を削り、公務員のサラリーをカットしようとすると、みんな、大反対になります。確かに、今の生活を維持したい気持はわかりますし、自分たちは苦労したくないという気持ちもわかるのですが、結局、「みんなで浪費すれば、怖くない」という状況に日本がなってしまっています。

 素朴な日本犬たち同様、我が家も簡素な生活を心がけています。ボクがモットーとしているのは、simple living, high thinking. 借金しない、身の程の生活。金を使うよりも、知恵を使う!

黒犬ファンのSおばさんへ

あまり小難しいことを書くと、読んでくださらないようなので、「いやし系」の黒犬の写真を載せます。

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木下敏之著『なぜ、改革は必ず失敗するのか』

 今日は、この本をずっと読んでいました。
 著者の木下さんとは、数年前からお付き合いさせていただいていますが、この本を読んで、あらためて立派な方だなと感心しました。また、おつきあいいただき、たいへん光栄だなとも思います。
 39歳の若さで佐賀市の市長になられ、6年半の市長時代、さまざまの改革に挑戦され、成功と失敗を経験されたそうですが、そのときの経験がこの本の中に、率直に書かれています。政治、特に地方政治は理屈ではなかなか行かないものだとあらためて認識します。
 この本の副題には、「自治体の『経営』を診断する」とあるのですが、木下さんは、これからの政治家、特に自治体の政治家には、経営センス、富を創造していく力が必須だとされています。残念ながら、役人にはその経験も、力もないと。ちなみに、ご自身も、農水省の中央官僚だった方です。(「ビジネスの経験も、儲けなければ潰れるというプレッシャーも経験したことがなく、地域振興に失敗しても自分の給料は下がらない。そんな役所や政府が地域振興を考えても、いまの時代に合う策は出てこないのではないでしょうか」)
 また、地方都市が経済的に自立し構造にならなかった理由に関する木下さんの指摘は、鋭いと思います(「私は、小泉純一郎元首相の構造改革路線により格差が拡大したというよりも、地方側が長期間にわたり公共事業中心の地域振興策に依存してきたことに原因があると考えています。地方側から出てくる提案は、残念ながら税収を都市部から地方に移転させよ、という提案ばかりです。」)
 木下さんは、われわれ市民、国民の側にも、現実を直視し、「不都合な真実」から目をそらしてはいけないとはっきり書かれています。そこがまた木下さんのいいところだなと思います。
 現在は、講演活動、コンサルティングなどをなさっていらっしゃいますが、いつか国政レベルで活躍になられることを心から期待しています。木下さんのような方を生かせないとしたら、日本もダメだなとも思います。
 われわれ選挙民こそ、この本を読んだ方がいいというのが、ボクの意見です。
木下さんには、昨年、ボクのポッドキャスティングにもご出演いただきました。お聞きいただければ、うれしいです。
(→
アイデアエクスチェンジ

福岡訪問

 お取引先訪問のため金曜日は午後から福岡訪問。福岡で感心したことがあります。写真のような地下駐輪場を見つけました。博多駅と祇園駅の間の地下道にあります。これから都市内の移動のためには、自転車の時代が来ることを期待しているボクとしては、感心しました。
 最後の写真はおみやげの和菓子。泊まったホテルのそばにあった和菓子屋さんで、牛の絵に惹かれて買ってしまいました。  

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就活、がんばれ!

 オデッセイコミュニケーションズでも会社説明会を行っています。今日は、福岡出張から帰えり、羽田からすぐに会社にでて、大学3年生の皆さんにお話をさせていただきました。ボク自身は、20数年前、大学4年生の時、まったくと言っていいほど就職活動をやらなかった人間です。そのころの学生としては、それだけでもユニークだったかもしれないです。

 不況のせいで、きっと多くの大学生が大きな不安を持っているのだろうと想像しています。でも、こんな厳しい時期だからこそ、頑張ってほしいです。実は「会社なんかに入らないで、自分で起業しろ!」っというのがボクの理想なのですが、大学から起業することはそう簡単なことではありません。そんな威勢のいいことばかり言ってはいられないでしょう。

 すでに会社説明会に15も20も参加している学生もいるようですが、いろいろな会社を訪問して、社会や企業のこと、大人たちの「ホンネ」をつかむ訓練をしてほしいです。

 ボクはうちの会社の説明会に来てくれる皆さんには、「ホンネ」でお話をするようにしています。(それが学生のみなさんたちに対する僕なりの敬意の表し方です。)たとえば、公務員志望の学生はうちの会社には合っていないと思っていますから、はっきりとそう申し上げています。

 どちらにしろ、学生の皆さん、Good luck!

長野訪問

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 昨日は、今年初めての「新日本紀行」。訪問先は、長野市。地元メディアと、お付き合いいただいている高校の情報教育の先生方と面談。とても熱心な先生方に感心。もうひとつ感心したのは、面談会場の学校の中に、「改革推進室」というコーナーがあったこと。少子化の結果、学校経営もすこしずつ変わってきていることを感じました。
 写真は、長野駅構内にある待合室。お年寄りが多い地方都市の風景のひとこま。もの静かにじっと座っているおじいちゃんを見ていると、なんとなく、気持ちがおだやかになってきました。おじいちゃんやおばあちゃんって、その存在の中に、何十年と過ぎ去っていった時間と、蓄積されてきた経験があって、ちょっとすごいんじゃないかな、って思っています。

オバマに期待する前に、まず自らの行動!

 今日は久しぶりにすごい方にお会いしました。西浦周一郎さん。「大正14年生まれ、慶大入学、陸軍予備士官学校、慶大卒後 昭和24年日本オーチス入社、昭和28年スタンフォード大留学、その後、ソニー入社、英国ソニー社長」などをお勤めになられ、主にアメリカを中心として40年間海外で活躍された方。
 この7、8年、お付き合いさせていただいている新将命さんの出版記念パーティでお会いしました。皆さんの前で簡単にご挨拶されたあと、数分だけ個別にお話させていただきましたが、80歳を越える年齢とは信じられない身の軽さ、しっかりしたお話。ビジネスの世界の侍に出会ったと思いました。
 で、昨日、今日と、会う人たちの多くは、オバマの話です。NHKラジオでもオバマ。でも、オバマもいいけど、われわれの身の回り、われわれの会社、そしてわれわれの国の話をしようよ!オバマから、アメリカから、確かにインスピレーションは与えてもらったとしても、ボクらのことを考えなくちゃ。アメリカの変化でなくって、日本の変化、ボクら自身の変化こそが、大切だもの。
 オバマ政権が日本にどのような姿勢で向かってくるのかなんてことばかり気にしていても、意味ないよ。オバマは自国民に対してさえ、「犠牲」だ、「奉仕」だ、と求めているのに、どうして日本のことを考えてくれるなんて、あまい期待をするのかな。日米関係は世界でもっとも大切な二国関係だなんて、日本側の幻想。
 西浦さんが強く言われていたのは、自分の国を自分たちで守る気力を持て、ってこと。そのあたりは、さすが陸軍予備士官学校ですが、でもその気概がなくって、どうしてこの不況だって乗り越えられるというのか。

奉仕を呼びかけることができる政治家

 オバマが日本時間の明日早朝、大統領に就任します。多くのアメリカ国民が彼に過大なほどの期待をしていることを知っています。また、世界各国でも、オバマに対する期待はものすごく高いと思います。
ラジオでニュースを聞いていると、オバマは彼のHPで、アメリカ国民に、それぞれのコミュニティに奉仕を行うことを求めているとありました。(→
この動画だと思います

 日本の総理がこんなことを言ったとしても、きっと、ほとんどの国民はしらけてしまうか、反発をするか、あるいはまったく理解できないふりをするか。アメリカは、「理念の共和国」(本間長世)で、常に自分たちの建国の理念を反芻している国だなと思います。例えて言えば、まだまだ創業時の記憶が新しく、創業者が健在な企業(アメリカ)と、創業からかなりの時間がたって、安定しているから入社したという社員ばかりの企業(日本)との違いかもしれません。もしかしたら、安定したから入社したというよりも、その会社にしか入れなかったという社員ばかりの会社かも。

 ボクの知人でも、伝統的な会社(と言えばよく聞こえますが、端的に言って、「古い会社」)の社内を活性化させることを仕事としている人がいます。日本は、そんなコンサルタントが必要な企業(国)なのかなと思ってしまいます。
 日本の歴史上、トップリーダーが国民に奉仕を呼びかけたケースとしては、敗戦につながった戦争の記憶があまりにも強すぎて、どうしても反発の方が強くなってしまうのかもしれません。
 村上龍でしたでしょうか、「日本にはすべてのモノがある。でも、希望だけがない。」と言ったとか。希望がない国だから、奉仕がないと言えるのかもしれないです。
オバマがこれから直面する4年間を考えると、アメリカの大統領とはなんとつらい仕事かと思います。きっと4年の間に、彼はボロボロになるのではないかと、ちょっと心配です。でも、日本と違って、彼には希望はあるような気がします。

日経新聞の書評で『 Small Giants』が取り上げられました。

まったく予想していなかったのですが、昨日の日経新聞の書評欄(18ページの中ほど右)で、アメリカン・ブック&シネマの書籍『Small Giants』が紹介されました。たいへん光栄です!ありがとうございます。

道徳と経済

 「日経ビジネス」新年特大号で二宮尊徳が取り上げられています。その特集の中で、二宮尊徳が、「道徳なき経済は犯罪であり、経済なき道徳は寝言である」という言葉を残していたと紹介されています。

 非営利法人、NPOやNGOと言われている組織には、「経済なき道徳は寝言である」という言葉を、目先のカネ儲けに走りがちな株式会社には、「道徳なき経済は犯罪である」という言葉を!

「不況期に強い資格」(雑誌「プレジデント」2009・1・12号より)

雑誌「プレジデント」で、不況期に強い資格の記事がありました。その中で、「役立つうえに手ごろな穴場資格5」の中に、MOS(マイクロソフトオフィススペシャリスト)が含まれています。そのほか、リストに含まれていた資格は、初級シスアド、フォークリフト運転者、eco検定、天気検定。(経済ジャーナリスト、永井隆さん作成)

記事ページには、 「MOSは本命、穴場はフォークリスト運転者」という縦の見出しがついていました。本命なんて言っていただいて、光栄です!

「百年に一度の世界同時好況」

 「百年に一度の不況」という言葉がはやっていますが、マスコミ関係者や政治家の先生方が使われるときには、不況のシリアスさを本当に信じていらっしゃるのか、よくわかりません。心から、百年に一度の規模の不況であると考えていらっしゃるのであれば、いまのような行動(無策というのは、言い過ぎでしょうか?)でいいのか。
 先日、新年会で知人たちと話をしていて、実は2000年のITバブル崩壊から回復し、20007年末まで続いた世界同時の好況こそが「百年に一度の好況」であって、そのことの方が、実は世界史上でもまれな出来事だったのではないかという話になりました。日本に暮らすわれわれ庶民レベルには、決して、好況であったという感じはしないのですが、この時期、確かに東京の不動産は値上がりし、「シロガネーゼ」なんて言葉が雑誌を飾りました。(「シロガネーゼ」はどこに行ったのか?!)この期間、BRICsを始めとする途上国においても、景気のいい話が多かったように思います。もちろん、EU、アメリカにおいても、不動産は大幅に値上がりし、世界的なバブル景気でした。
 ポイントは、あの時期が当然だと考えているとまったく間違ってしまうのではないかということです。高い生活水準になれてしまい、単純に言うと、身の丈に合っていない贅沢が当然みたいに思い始めると、危ないな、って。
 トヨタは、1000万台の生産レベルから一気に700万台を基準にすえて、そのレベルでもきちんと黒字になる体制を整えようとしていると聞きました。さすがトヨタだなと思います。トヨタ銀行と言われるほど現預金を持っているトヨタですが、貯金を使い果たしてしまう前に、新しい体制の確立と、マクロ経済の回復があることを期待されていることでしょう。
 1930年代の不況の克服には、第2次世界大戦が必要だったというような、悪魔的な考え方があります。局地的には戦争が続いていますが、世界的な戦争を絶対に引き起こすことなく、国際政治のリーダーたちには、この不況を解決していって欲しいです。

80年代だったから

 昨晩は、ビジネススクールの知人たちと新年会。86年、87年の卒業生たちが集まりました。90年代半ば頃から、アメリカのビジネススクールにおける日本人の存在が薄くなっているという話になりました。留学生の中では、インド、中国の学生が、そして教師側でも、インド人教師の存在が大きくなっているとか。
 思うに、ボクみたいに凡庸な学生が、ハーバードビジネススクールに入れてもらえたのは、80年代、Japan As Number One なんて本が真剣に読まれ、日本企業のケースが授業の中でもいくつも取り上げられるという、日本にとって、もっともハッピーな戦後の一時代だという背景があったからこそ。
 なんだかんだと言って、1980年代というのは、おもしろい時期だったです。

日経パソコン特集「勝ち残るためのIT資格」

1月12日号の日経パソコンですが、特集記事の一つとして、資格特集を行っています。弊社で運営しているMOSやMCAS、IC3、VBAエキスパートなども紹介されています。

Portuguese Water Dog (ポルトガルウォータードッグ)

2泊4日のアメリカ出張から帰ってきました。むこうで読んだUSA Today で、来週、大統領に正式に就任するオバマが、子供たちに与えるペットの犬として、ふたつの犬種にしぼっているという記事を読みました。ひとつの候補は、プードルとラブラドールを交配した犬種ですが、ボクが気に入ったのは、ポルトガルウォータードッグという犬種。黒犬の仲間という感じです。
犬種紹介

長部日出雄さんの『「定額給付金」辞退の弁』

 去年、日経新聞夕刊「あすへの話題」のコーナーに連載されていた、長部日出雄さんの文章をとても楽しみに読みました。11月12日(水曜日)の紙面に、『「定額給付金」辞退の弁』という文章を発表されていて、とてもいい文章だったので、大切に保存しています。
 長部さんは、マックスウェーバーに関して、何冊か本を出されていて、ウェーバーが資本主義発展の最終段階に登場する人物を「精神のない専門人、心情のない享楽人」であろうと予言したこと、経済の核心には「倫理的気風」がないといけないと考えていたことを、この連載で何度か強調されています。
 ご自身の2007年度の年収も発表された上で、「定額給付金」は固くご辞退すると書かれています。ご自分の価値観を大切にしたい、「精神のない専門人、心情のない享楽人」の仲間入りはしたくない、ということでした。
 なんでこのことを書いているかというと、今日の朝、オデッセイコミュニケーションズでもスポンサーになっているフジテレビの「新報道2001」を見ていたら、政治家の皆さんが、定額給付金を巡る議論をされているのですが、その議論は、結局「精神のない専門人、心情のない享楽人」たちの議論にすぎないなと思ったからです。
 バブルの時、全国の市町村に一億円を配って、好きに使ってくれという、あれは竹下登さんが総理だった時のように記憶しているのですが、日本にお金があまっていた20年ほど前、そんな「享楽人」的な政治が行われました。今からは、まったく信じられない話ですが。
 定額給付金について、ボク個人の態度ですが、まだ決めていないのですが、くれるというのなら、一旦いただこうかと思っています。でも、個人的には使わないつもりです。寄付しようと考えている先も、ひとつ、ふたつあります。ひとりあたり一万円前後と薄く広くばらまくよりも、失業者救済のために、重点的な使い方をしてもらいたいです。

百年に一度の不況?

 昨日、今日と、新年会に出席しましたが、いろいろな方から、「百年に一度の不況」という言葉をお聞きしました。そう言うことが、なんとなく、この頃の挨拶代わりになっているみたいに。不況だ、不況だと言って、最初から今年もダメだというような「空気」を受け入れるのは反対。メチャクチャな借金を抱え、さらに追加の借金を背負おうとしているアメリカの方が、ずっと楽観的で、きっと不況からの回復は早いのではないかと予想しています。
 1月から、白旗をあげるなんて、最悪。

『奇跡のリンゴ』のDVD

 先日ご紹介した書籍『奇跡のリンゴ』のDVDを見ました。NHK番組『プロフェッショナル』からです。
絶対に無理だと言われてきたリンゴの無農薬に成功したお話ですが、主人公の木村さんの話でヒントになったこと、感心したことが何点か。
1 他の果物で無農薬に成功していた例を見ていたので、リンゴでもできるのではないかと思ったこと。
2 自分がやめてしまったら、無農薬でリンゴを育てることは不可能と決めつけられてしまうという危惧。
3 途中、あきらめようと思ったとき、「いったい、これまで我慢してきた貧乏はなんのためだったの」という子供の声。
4 土壌にカギがあるのではないかという、目のつけどころの変化。
5 心がこもっていないと、どうしても手抜きをしてしまう。だから一見、非効率と見えることも、コツコツとやっていくこと。

 DVDはテレビ番組で放送されなかった部分もでています。(放送は見ていませんが、ボクは)
木村さんご自身は言わずもがなですが、ご家族も立派だなと思いました。お嬢ちゃんの言葉(「ここでやめたら、これまでの貧乏はなんのためだったの」)には、特に心を動かされました。
 奥様とご自身でチャレンジしてきた無農薬リンゴですが、もし、人を雇っていたとしたらどうなっていたのか?社員に給料も払えないというような状況の会社が、今のような時期は、たくさん出てきていると思うのですが、家族だけでやっていたから、苦節10年の我慢もできたのでしょうか。
 ちなみに、DVDの値段は、アマゾンで2912円で販売されていますが、定価は3675円です。NHKも、視聴料で番組を作り、さらにDVDが売れると、いい商売だなと、これにも感心しました。

ESTA

ESTA=Electronic System for Travel Authorization
今月12日から、アメリカに入国するために、事前の渡航認証が必要になります。今日、その手続きをしました。
もう数年前から、アメリカに入国することは、楽しい体験ではなくなっています。指紋チェック、瞳孔チェック、そしてなんのためにアメリカに来るのだと、あたかも犯罪者を扱うかのような質問姿勢。フレンドリーな態度は、すっかり失われています。ボクのようなアメリカのファンに対しても。
 アメリカの、楽観的な世界平和意識が崩れ去った9.11。世界が主権国家の集まりである限り、すべての国家が自分を守るために、ESTAのような手続きは当然のことなのでしょうか?
ESTAの手続きは、簡単でした。
https://esta.cbp.dhs.gov/

年に一度のワクチン

 今日が仕事始めの会社が多いと思います。年末年始は、実は結構会社にでて、たまっていた雑務を片付けていたので、あまりゆっくり休んだ感じもありません。が、長期に(といっても一週間程度ですが)休んだりすると、仕事に復帰するのがつらくなります。長距離走同様、休むことなく、同じペースを維持しながら、毎日コツコツと仕事をしていくことが、結局は一番、楽です。若い頃は、休みは長ければ長いほどいいと思っていましたが、会社を始めると、いろいろと変わってきます。こういう感覚を持っているのは、たぶん、自営業者の人たちでしょう。そういう意味でも、自営業者は、価値があると思います。そんな自営業者的感覚を持った人たちが、もっと社会に増えることを希望しています。

 (別の機会にご紹介したいと思いますが、30年ほど公務員をなさっていた方が、健康の理由で退職され、弊社で実施している資格を取得されたあと、パソコンスクールを始められたというお話を、今日お聞きしました。公務員から自営業者へ。ボクが一番応援しているパターンです。)

 昨日は、我が家の黒犬たちが「大好きな」注射をうってもらうために、動物病院に。日頃は、ノウテンキに遊び回っていますが、動物病院になると、がたがた震えたり、逃げ回るので笑ってしまいます。
 かくいう飼い主のボクは、明日は健康診断です。メタボ宣言をされるのではないかと、黒犬たち同様、病院に行くことは楽しみにしていません。写真は診察台の上の、クウ太郎君。

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『アメリカの黒人演説集』(岩波文庫)

 アメリカは演説集をたくさん出版する国だなと思います。記念講演の類も多いように思います。ボクが、2年前出版した『グラデュエーション・デイ』も、アメリカの大学の卒業式で行われる記念講演を集めたものです。

 岩波文庫から最近でたこの本には、アメリカの黒人リーダーたちが行った21の演説が含まれています。マーチン・ルーサー・キングの有名な演説、「私には夢がある」("I have a dream")も含まれています。そして21番目には、今月大統領に就任するオバマが、2005年6月4日、イリノイ州にあるノックス大学(Knox College) の卒業式で行ったスピーチも含まれています。Change という言葉は出てきませんが、Challengeはたくさん出てきます。人生の焦点をカネ儲けだけに合わせるのでなく、「国家が直面している挑戦を、あなたがたの挑戦と捉える」こと、「あなたがた自身への義務があるから、挑戦を引き受けねばならない」、「あなたがた自身の可能性を認識するのは、自分より大きなものに関与したときです」と訴えています。

 このときは、前年に連邦上院議員になったばかりですが、現在につながるビジョンを繰り返し提示しています。

 講演の録音は、英語のテキストとともに、以下のサイトで聞くことができます。

American Rhetoric: Barack Obama

書籍『奇跡のリンゴ』(石川拓治著)

 あけましておめでとうございます。2009年もよろしくお願いします。
『奇跡のリンゴ』は、2009年最初に読み終えた本。昨晩からずっとこの本を読みながら、新年を迎えました。
 無農薬農法によるリンゴ作りに成功した木村秋則(あきのり)さんの物語です。一人の人が、生きている間に取り組むべき仕事とは、どういうことなのか、考えてしまいます。この方のように、金も、名誉にもまったく興味を持たず、ひたすら自分が使命と信じることをやり通していく方を尊敬します。
 2008年中訪問した場所の中で、ひときわ記憶に残っているのが青森の弘前です。この木村さんがリンゴ作りに励んできたのが、この弘前の岩木山ふもと。弘前には、ほんの4時間ほどしかいませんでしたが、もう一度、きっと訪問するだろうなと思っています。青森空港からバスに乗って弘前市内に向かう途中目にした岩木山とリンゴ農園が忘れられません。
 この本を読むと、現在の農業が農薬漬けになっていて、安全なリンゴを作ることと、安全にリンゴを作ることのどちらもできていないこと、いまのようなリンゴ作りに疑問を持っている方も多いこと(自分にはできなくても、10年以上も苦節を重ねた木村さんを陰ながら応援している人たちがいた)、木村さんが自分のりんご園から学んだことが非常に普遍的な価値を持つこと、木村さんがリンゴ作りから「システム発想」をどんなシステム発想の研究者よりも体現していることを知りました。
 「人が生きていくために、経験や知識は欠かせない。(中略)けど人が真に新しい何かに挑むとき、最大の壁になるのはしばしばその経験や知識なのだ。」「パイオニアは孤独だ。何か新しいこと、人類にとって本当の意味で革新的なことを成し遂げた人は、昔からみんな孤独だった。それは既成概念を打ち壊すということだから。過去から積み上げてきた世界観や価値観を愛する人々からすれば、パイオニアとは秩序の破壊者の別名でしかない。」「岩木山で学んだのは、自然というものの驚くべき複雑さだった。その複雑な相手と、簡単に折り合いをつけようとするのがそもそもの間違いなのだ。」
 われわれ人間も、その複雑な自然の一つでしかないのだから、自分を、そして他人を理解することも、簡単なことではないということも、この本を読んで感じることの一つです。
 この本の表紙にある木村さんの顔写真から、パイオニアとしてのご苦労を想いました。たいへん立派な方だと思います。