『内側から見た富士通「成果主義」の崩壊』(光文社)で、日本企業の成果主義の問題点を指摘した著者による新著。
黒犬は、とても好感を持ってこの本を読み終えました。
1 年功序列制度は、バブル経済の崩壊によって意義が大きく変ってしまい、一般的には、それを維持しようとすることからくる弊害のほうが大きくなっている。経済成長にかげりがでてから、矛盾が一気に噴出してきている。
2 企業内だけでなく、日本社会全体の仕組みにおいて、年功序列を維持していくための世代間不平等が発生している。高齢者が多大なメリットを享受するのに対して、若者は高齢者の負担を大きく背負わされている。(企業内において、また社会制度、たとえば、年金問題において)
3 これまでの教育制度は、正解のある与えられた問題を、ひたすら受身的に答えていく人間を作ってきている。若者は、年功序列システムの中で、「誰かが必ず正しい答えを与えてくれる」という固定観念から自分を解放しないといけない。
4 若者は、自分がなぜ働くのか、その答えを自分で見つけ出していかないといけない。
作者は、年功序列を代表とする、これまでの日本社会の価値観や仕組みを、「昭和的価値観」と呼んで、この価値観から自分を解き放つことを、企業にも、個人にも求めています。まったく、同感です。
なぜ若者たちが、今なお、ホリエモンに憧れを持つのか。いくら、「大人」(既得権を持つ人たち)がホリエモンの罪の部分を強調したとしても、若者をこれまで同様、「昭和的価値観」で縛り、自分たちの老後を守ろうとする意図が見える限り、決して、若者たちの心を引き付けることはできないと思います。