ベティナ・ランス展@東京都写真美術館

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ベティナ・ランス写真展「女神たちの楽園」を楽しみにいきましたが、「芸術写真の精華_日本のピクトリアリズム・珠玉の名品展」が面白かったです。もうひとつの展示は「夜明けまえ_知られざる日本写真開拓史」。ベティナ・ランス展のみ5月18日まで、残りの二つは5月8日まで。

写真展を見る前に散歩した、白金のお寺で見た言葉:「子供は親の言うようにはならぬ。親のしているようになる」

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『平成幸福論ノート』(田中理恵子著)

 著者には、小社から出していた『オデッセイマガジン』の取材の際、昨年、お会いさせていただきました。1970年神奈川生まれの詩人・社会学者。以前、このグログでもご紹介した『黒山もこもこ、抜けたら荒野』(光文社新書)では、水無田気流という筆名で出版されていましたが、今回同じく光文社新書で出されたこの本では、田中理恵子という筆名(ご本名?)を使われています。どのような理由があるのか、お聞きしてみたいです。

 著者によると、『黒山もこもと、抜けたら荒野』と本書は、「昭和の鎮魂」を裏テーマとするということです。なぜ「昭和の鎮魂」が必要なのか?それは、現在の「内向き」「懐古趣味」「過度の安定志向」「保守化」という現象は、昭和が怨念化し、人々や組織にとりついているからで、その結果、幸福は遠ざけられているから。(第5章「昭和の鎮魂」から「つながりの再編」へ)

 昭和の時代、それは日本にとって歴史的にあまりにも幸運な時代環境を提供してくれた時代で、その時代環境は一変してしまった(日本をリードしてきたアメリカの凋落、右あがりの経済とピラミッド型の人口構成を前提とした年金や健康保険制度の崩壊、グローバル化の変化に取り残された日本の雇用制度などなど)にも関わらず、あるいはそうだからこそ、ますます、日本人は昭和の時代の夢から覚めようとしない。

 「昭和の鎮魂」という言葉が適当なのかどうか?1959年、昭和34年生まれの僕は、まさに昭和の時代の人間だなと、この本であらためて認識した次第ですが、僕たちから上の世代は、まだまだ昭和の時代を生きているのかもしれません。昭和の時代に区切りを付け、新しい現実の中で、新しい目標を見つけ、平成の時代にあった幸福論を作っていくことを、「昭和の鎮魂」というのであれば、まさに「昭和の鎮魂」は必要とされている作業でしょう。

 このような大きなテーマを新書で論ずるということで、浅くなりがちというところはありますが、著者のセンスやスピード感ある言葉の使い方、断定の仕方が好きです。もし機会があれば、僕のやっているポッドキャスティング「アイデアエクスチェンジ」に出ていただきたいくらいです。

3.11以来の「新日本紀行」

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3.11には群馬県のお取引先を訪問していましたが、あの日以来の「新日本紀行」。今日は日帰りですが、郡山、仙台のお取引先を訪問。
あらためて、今回の東日本大震災で亡くなられた方々のご冥福をお祈りします。

国立訪問。

 昨年から、母校・一橋大学の学生向けに、「オデッセイコミュニケーションズ奨学金」を始めています。5名の学生に、月額5万円の奨学金を支給しています。大学側で一次選考した10名の候補者から5名の学生を選びました。副学長の落合先生の横で、すべての候補者の学生たちとお話する機会をいただきました。関係各位、および学生の皆さん、ありがとうございました。

 今日はとてもいい天気で、国立駅から大学までの通りを気持ちよく歩くことができました。
国立市民の公園のような雰囲気もある大学のキャンパスです。写真の通りのどかな春の日でした。大学入試の発表のとき、初めてこの国立キャンパスを訪れたのが、1979年春ですから、それから32年も経ってしまっています。

 最初の2枚は学内の風景。3枚目の写真は、大学通りでみたイチョウの木。4枚目の写真は、国立駅前の喫茶店。国立は「中央線の原宿」みたいなところで、素敵な喫茶店が多くあります。


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自粛ムードなんて吹っ飛ばせ

ということで、昨晩は幕張であったカイリー・ミノーグの「アフロディテ・ツアー2011」に行ってきました。HPでチェックしなかったので、前座のDJセッションから見てしまい、カイリー登場までに2時間待ち。でもカイリー登場シーンはすごい演出でした。ボッティチェリの「ビーナスの誕生」みたいに、ホタテ貝の中に立つカイリーがステージ下から登場してくるわ、バックの映像はすごいわ。このツアーの最終日は、5月のラスベガス公演みたいだけど、ラスベガスのショーみたいでした。衣装などは、下のリハーサルシーンを集めた動画並みに、なんども「お色直し」があって、着せ替え人形のカイリー。身長153センチとう、超小柄のオーストラリア女性ですが、ステージでは歌と踊りで、大活躍でした。




YouTube: KYLIE MINOGUE APHRODITE LES FOLIES 2011 TOUR, DENMARK DRESS REHEARSAL

もしドラッカーが日本赤十字の社長だったら。

 ドラッカーはマネジメント(経営)は、企業だけでなく、非営利事業団においても重要だと言っていた。いや、非営利団体においてこそ、マネジメントは大切だとまで言っていたような記憶がある。

 今回の東日本大震災にあたって、多額の義援金が国内、国外から集まっていると聞いている。うちの会社も、社員の提案で、「あなたのがんばり、被災地へ届け」というキャンペーンを行っている。(→キャンペーンHP)

 でも「いいこと」を実行することは、実はものすごく難しい。英語でもこんな言葉がある。Good will does not always lead to good results. (善意は必ずしも、いい結果につながっているわけではない。)善意を、いい結果につなげるには、マネジメント力が必要だ。この部分を僕らは忘れがちだし、見落としがちだ。気持ちだけでは、いい結果にはつながらない。知恵、そして人間の本性というか、人間の性(さが)を見通す力が必要になってくる。いつまでも援助モードでいるのではなく、適当なところで『自立支援モード」に移っていかないと、人はいつの間にか「依存モード」から抜け出せなくなってしまう。気仙沼の魚市場の再開を漁業組合の人たちが話し合っている風景をテレビで見たけど、海の男たちの心意気を感じて、僕は「勇気をもらった」。

 うちの会社でも、ふたつの奨学金制度をやっている。ひとつは「オデッセイIT奨学金」、もうひとつは「オデッセイコミュニケーションズ奨学金」。前者は、AFS高校留学の支援、後者は一橋大学の学生への奨学金。当然、善意でスタートしているのだけど、こちらが意図するような人に、有効にお金を使ってもらうような結果につなげていくのは、簡単なことではない。チャリティやボランティアというのは、「マネジメント力」が必要なのだ。(でも、それをしっかりと認識している人は、本当に少ない)

 僕のビジネススクールのクラスメイトで、アメリカの赤十字に勤務している人がいた。2007年にボストンであった卒業20周年パーティで会ったとき、「民間セクターで働いた後、公的な事業に貢献したくて、いまは赤十字にいる」と言っていた。彼はまだアメリカの赤十字にいるのだろうか。

 いま、日本赤十字をはじめとする各種団体には、多額の義援金が集まっていると聞く。彼らにマネジメント力があることを心から願っている。

Cloud

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Last month while driving on a highway to Nagano, I saw this cloud. I stopped at the nearest service station and took this photo at the parking. I don't remember if it was before or after 3.11.

団結する時。

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 政治家のみなさんって、3万人近い人たちが亡くなってもまだお互いの足の引っ張り合いにお忙しいのでしょうか。被災地や福島原発がどれだけたいへんであっても、東京にどしんと腰を据えていらっしゃって、お互いの悪口ばかり。いったい何人の方が亡くならないと、この人たちは日本の将来のことを最優先に考えようとしないのか。

 写真は、3頭の紀州犬です。日本橋三越でおこなっている写真家・岩合光昭さんの「いぬ 岩合光昭写真展」(4月18日まで)で入手したはがき。かれらの方がずっと純粋で政治家の皆さんよりも高等な動物のように思えてきます。すくなくても、自分のエゴを抑えることができるという意味で。いまこそ、自分のエゴを抑えて、団結する時なのに。

 It is a great pity that Japanese politicians seem to be more concerned about their own interests even when 30,000 people were killed from the 3.11 disaster and even when we continue to have a great threat from the Fukushima Daiichi nuclear power plant. These 3 Japanese Kishu dogs are wiser than our politicians, at least they know it is time to be united and control the own egos.

especially for you




YouTube: Kylie Minogue & Jason Donovan - Especially for You

This week Kylie Minogue is coming to Japan for concerts. She has not done any concerts here for 20 years. "Especially for you" is one of my all-time favorites.


Maybe this version is better than the one above?!
(Kylie Minogue with Kermit the frog)




YouTube: Kylie Minogue and Kermit the Frog - Especially for You

『若き芸術家たちへ』(佐藤忠良、安野光雅著)

 3月30日、98歳でなくなった彫刻家・佐藤忠良と、画家・安野光雅の対談集。今月初め、中公文庫の一冊として出版された。もともと、『ねがいは「普通」」というタイトルで2002年に出版されたものを、文庫化するにあたって改題したもの。
奇をてらわず、ゆっくりと時間をかけながら、本質を極める仕事を求めつづけた「職人」の言葉。ストイックさに敬服する。

 ちなみにシベリアに3年間抑留された佐藤忠良は、その経験のことを、「彫刻家になる苦労を思えば、あんなことはなんでもないですよ」と言ったそうだ。

佐藤忠良館(佐川美術館)
佐藤忠良記念こどもアトリエ@札幌芸術の森

One month after the 3.11 disaster.

Yesterday marked one month after the 3.11 disaster. One thing for sure is that we cannot go back to "before 3.11". The power of natural forces are way beyond our imagination. It killed almost 30,000 people, most of who were living in the northern Japan. I wrote to my friend in the US to imagine 9.11 and the Three Miles Island disaster taking place simultaneously, but I have to admit there is a big difference between 3.11 and 9.11. In 3.11, there is no human enemy. We had only the earthquake and the tsunami. No humans to blame or flight back. In our history, we had many natural disasters and we learned to be worried about the nature and learned to be humble in front of its power.

We are having aftershocks every day. In Japanese, aftershocks and foreshocks happen to have the identical pronunciation, though we use different characters to mean "after" and "fore". I sincerely hope that what we are experiencing are the aftershocks of 3.11 earthquake, and not the foreshocks to something unknown to us.

『グローバルキャリア_ユニークな自分の見つけ方』(石倉洋子著)

 一橋大学の大学院(国際企業戦略研究科)でずっと教えていらっしゃった石倉先生からお贈りいただいたご本。今年の4月から一橋を退職され、慶応の大学院(メディアデザイン研究科)に移られたということがお手紙に書かれてありました。

 「グローバルなキャリア」も、「ユニークな自分」も、言葉ではなんとなくわかったような感じがするけど、多くの人にとっては実感が持てないことなのかもしれない。でも、この二つとも、今に始まったことではなく、何十年も前から、日本国内にとどまらず世界に飛び出した人たちは大勢いたし、ユニークな自分を作っていくという強い意欲を持っていた人たちもいた。今だって、きっとたくさんいる(そんな若い人たちが何人かこの本の中に紹介されている)。僕だってその一人だとちょっとは自負している。だからあまり難しく考える必要なんてない。

 この本の中で石倉先生が書かれているように、最初から完璧を求めすぎないことだと思う。この本で良かったのは、石倉先生ご自身の経歴を振り返っていらっしゃる箇所。1985年、先生はハーバードビジネススクールのDBA(博士課程)を卒業し、マッキンゼーに入社されたはずだけど、その時、写真週刊誌(今はなきフォーカス?)に出ていた記事を思い出します。女性で初めてハーバードビジネススクールのドクターコースを卒業した才媛がマッキンゼーに入社、なんて記事だったような記憶。同じ年、ハーバードビジネススクールに入学する前拝見したはずです。

 この本の前には、石倉先生と黒川清さんとの共著で『世界級キャリアのつくり方』という本もあります。新著ともども、大学生、20代前半で、まだ会社人間になりきっていない若い人、海外志向の方がたに、おススメ。

お見舞い、ありがとうございます。

 お取引先の方がたからお見舞いのお電話等をいただいています。ありがとうございます。首都圏では数少ない被災地に、僕が住んでいる町も入っています。昨日、ようやく市から下水道の使用許可がでましたので、コワゴワですが、トイレを使ってみました。3.11以来、ほぼ一ヶ月ぶりにトイレが使えるありがたさ!やっぱり近くの公園におかれた簡易トイレでは、落ち着かなかったからね。男はまだいいけど、女性には耐えられなかったのではないかと思います。うわさ話で聞いたところでは、拒食症みたいになって体重が減ったという女の子がいるとか。

 被害レベルでは東北エリアの方たちとはまったく較べものにはなりませんが、僕の方は一歩前進です。この次は「ピサの斜塔」をどうするかですが。様子を見ながらですが、東北エリアのお取引先の皆さんのお見舞いにあがりたいです。

萎縮する必要はないよ。

 東北3県でパソコンスクールを展開されているお取引先の方と電話で会話。まだまだ復旧作業が終わらない模様。皆さんを元気づけるためにも、一席設けたいと思っていますが、数ヶ月先になりそうです。
 
 今日午後、ちょっと用事があって銀座に行きましたが、震災前にはあふれ返っていた海外(特に中国)からの観光客の姿がまったく見られず!銀座の大通りがなんとも寂しい風景でした。丸の内界隈のレストランでもお客さんの入りが3、4割減ってしまっているようだし、タクシーの運転手の話では売り上げが2割以上落ちたとか。

 これまでのライフスタイルを見直す、いいチャンスだと思っているけど、世の中の雰囲気に呑まれて自粛というか、「萎縮」してしまうのは、反対!

 社会の雰囲気や空気にいつの間にか、自らの「気」を抜かれていくのは気をつけようよ。

被災地のジャズ喫茶

 普段はあまりテレビを見ないのに、震災が起こって以来、しばしばテレビを見るようになっています。大きな被害を受けた気仙沼で、長年ジャズ喫茶を開いてきた人が、テントの中に臨時のジャズ喫茶を開いたニュースを見ました。すごくいいニュースだなと思いました。先日、「気仙沼沖漂う屋根に犬 | 国内 | 特集 東日本大震災 | 」という話同様、いい話。

 この前、日経新聞の文化欄で、早稲田で建築を教えている石山修武先生が気仙沼のことを書かれていたけど、気仙沼への思いがいっぱい詰まったエッセイでした。いつになるのかわからないけども、すべてのことが一段落つき、気仙沼にも日常生活が帰ってきたときには、石山先生が作った気仙沼の美術館をみに、そしてテレビでみたジャズ喫茶店で音楽を聴きに、ぜひ気仙沼に行ってみたいです。
石山修武研究室HP