金融業界の「不思議な」人材交流

今日(2025年7月16日)の朝日新聞朝刊一面に、「日生社員、出向先情報持ち出し_三菱UFJ銀の社外秘資料営業利用」という記事があった。まったく理解できない習慣が続いていると思う。

この数年の間、保険業界で出向社員が出向先の企業の社外秘資料を持ち出して所属企業(出向元)に還流させていたという話がなんども出ている。
受け入れた人間に社外秘の情報を扱わせる、それも所属企業が欲しがる情報を取り扱う部門に受け入れたならば、どのような行動をとるのか、だれにだった想像できること。

どうしてこんな「人材交流」がずっと続いてきたのだろうか。これからも続くのだろうか。

銀行側に保険に詳しい人材がいないから受け入れてきたのか?それならどうして保険に詳しい人材を中途採用しないのだろうか。過去においては、三菱銀行が日本生命の社員を中途採用することはかなった(できなかった)だろうけども、いまはそういう転職もありえる時代になっている。

社外秘には個人情報や顧客企業情報もはいっているだろうか?個人情報保護はどうなっているのだろうか。これらの会社は、個人情報の保護はまったく無視なのか。(口先だけの話?)

詳しい方にこういう人材交流や出向が始まった背景をお聞きしたい。

もうそろそろしたら梅雨があけるという。日本の夏、特にコンクリートジャングルの東京の夏は耐えがたい。夏はきらいだ、いやな季節だと思う。でも、一方では夏が終わると一抹の寂しさを感じるのも確かななのだ。7月なかば、いまは夏真盛りと言ってもいいのだけど、秋風を感じ始めるころには夏を恋しい気持ちで振り返るだろうなと、いまから考えたりする。
これまで夏にはいろいろなことがあった。秋にもいろいろなことがあったし、冬にもいろいろなことはあったのだけど、夏の記憶が強く残る。夏は若さ、激しさ、明るさ、情熱、光、瑞々しさ。季節を問わず、旅行には出かけてきたけれど、夏の旅の記憶が強く残っている。バックパッキング、出会い、気づき、価値観の変化、勇気。
今年の夏も暑くて、湿度は高くて、耐えがたい天気が続くだろうけど、愛しい気持ちも忘れないようにしたい。

「縮小均衡が間違いのもと」

2025年もまだ半分が終わったところだけど、CEO Of The Year という賞が贈られるとしたら、きっと日本製鉄の橋本英二会長だろう。US Steelの買収にかけた執念には感動した。もちろん、この「世紀の買収」が成功するかどうかは、10年後を見てみないとわからない。日本製鉄の株主として損した得したは二の次として、経営者の信念がどのように結実するのかをぜひ見てみたい。

今日の朝日新聞朝刊に橋本さんのインタビュー記事が出ていた。以下、印象に残った彼の発言。

*政府が鉄鋼業に関与するのは、1破綻した時の影響が大きいこと、2生産が余剰になりやすい構造であること(生産過剰をコントルールする必要があっても政府は税収や雇用への影響を考える。いまの中国)

*ビジネスは、国際的なルール、貿易のルールを見極め、その作り手に寄り添わないと負けてしまう。米国シフトはその結果である。

*新日本製鉄は、かつて日本一の製造企業だったが、トヨタ自動車に売上高で逆転された。トヨタへの営業を担当していた自分は、逆転されたのは自動車メーカーが海外事業にどんどん挑戦したきたからだ、と思い至った。

*「縮小均衡」が間違いのもと。縮小すると人材力は落ち、活力が下がり、さらなる縮小を生む。会社は、リスクを取って成長にチャレンジしないといけない。

*(日本製鉄にとって)海外事業の拡大と国内事業の維持は、車の両輪である。

時代の転換の過程

140円台の前半になると「円高」だという表現を聴くようになった。ほんの数年前には、120円台だったことをみんな忘れたのだろうか?!輸出企業、とくに自動車産業が大きな存在であることはわかっているけど、円安がいいという人たちは、自動車産業をはじめとする輸出企業の目先の売り上げのことばかりを口にする。

この為替水準でも海外旅行に出かける人たちは多い。みんなどのくらいの予算で旅行にでかけているのかな?

これほど時代が転換過程にあることを実感することはめずらしいと思う。1945年の無条件降伏を受け入れて以来、日本はずっとアメリカの庇護下、いや管理下にあった。いまもそうだろう。1980年代、Japan As Number One なんて日本人が口にしたわけではないけども、そういうタイトルの本をアメリカ人が出してくれて日本人が悦に入っていたのは確か。でもそれはある意味身の程知らずの話だった。防衛も、経済も、ずっと日本はアメリカの庇護下あるいは管理下にあって、「楽園」の中にあったことを忘れるべきではなかったのに。

いま、トランプになって楽園から追放されそうになって大慌て!

日本は、あるいはわれわれ日本人は、Grand Strategyを作り出す。考え出すのが不得意だ。そういう訓練を受けていないし、鍛えられていない。それは霞が関や永田町の住人達も同様のように見える。(いまのアメリカにもGrand Strategyを持っている人はいるのだろうか?!)

アメリカの指示に従いながら、これからも日本国の経営戦略は作られていくのだろうか。大転換点にあって、自分たちの意思と決意で、どれだけやっていけるのだろうか。

PS
この前、兵庫県養父市の市役所に電話をして、「やぶ医者大賞」について市役所のご担当者からお話をお聞きした。今年はお休みにして来年以降のことを考えるようにと、市長から指示されているとか。