「縮小均衡が間違いのもと」

2025年もまだ半分が終わったところだけど、CEO Of The Year という賞が贈られるとしたら、きっと日本製鉄の橋本英二会長だろう。US Steelの買収にかけた執念には感動した。もちろん、この「世紀の買収」が成功するかどうかは、10年後を見てみないとわからない。日本製鉄の株主として損した得したは二の次として、経営者の信念がどのように結実するのかをぜひ見てみたい。

今日の朝日新聞朝刊に橋本さんのインタビュー記事が出ていた。以下、印象に残った彼の発言。

*政府が鉄鋼業に関与するのは、1破綻した時の影響が大きいこと、2生産が余剰になりやすい構造であること(生産過剰をコントルールする必要があっても政府は税収や雇用への影響を考える。いまの中国)

*ビジネスは、国際的なルール、貿易のルールを見極め、その作り手に寄り添わないと負けてしまう。米国シフトはその結果である。

*新日本製鉄は、かつて日本一の製造企業だったが、トヨタ自動車に売上高で逆転された。トヨタへの営業を担当していた自分は、逆転されたのは自動車メーカーが海外事業にどんどん挑戦したきたからだ、と思い至った。

*「縮小均衡」が間違いのもと。縮小すると人材力は落ち、活力が下がり、さらなる縮小を生む。会社は、リスクを取って成長にチャレンジしないといけない。

*(日本製鉄にとって)海外事業の拡大と国内事業の維持は、車の両輪である。