「海岸線の歴史」(松本健一著)、「日本社会と天皇制」(網野善彦著)

日本はずっと単一民族で百姓の国だったと信じ切っている人たちもいるのかもしれませんが、ぼくはあまりそれを信じていません。
確かにアメリカやヨーロッパの一部の国のように多数の移民が国民の何割かを占めたり、さまざまな肌の色の人が歩き回っているようなところではありませんが、2000年、あるいは3000年の日本の歴史は決して日本列島の中だけで完結してきたのではなく、朝鮮半島や大陸との東アジアの国際関係は時代による程度の差はあれ、つねにダイナミックな動きをしてきたと思っています。百姓は100の姓を持つ人たちで、いろいろな手仕事や家仕事をやってきたし、日本人=農耕民族というイメージはぼくのなかでは決してすべてではない。

最近読んだ本で面白かったのがこの2冊。網野先生の本はこれまでも何冊か読んでいますが、この本は岩波ブックレットのシリーズの一冊で、講演を本にしたものでもあって、ちょっと物足りないのですが、面白い内容です。

松本先生の本は、海岸線から日本の歴史をとらえた本。ユニークな視点。「日本の海岸線をぜんぶ合わせると、アメリカの海岸線よりも長く、1.5倍、中国の海岸線よりもはるかに長く、2倍に達するのである」ところが、「現在では、日本ぜんたいの8割くらいの海岸線には防波堤が造られている印象である。(中略)コンクリートの防波堤は、津波や高波などから船や陸上の家や田畑を守るために必要なものとして造られたのではあるが、これによって海辺に住み、労働し、遊び、祈る、ということが、日本人の暮らしから遠くなって久しい」

松本先生のこの本が出たのは、2009年。3.11の2年前です。

久しぶりのシアトル、マイクロソフト訪問

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今月10日のことですが、久しぶりにシアトル、そしてマイクロソフトの「キャンパス」(彼らが本社を呼ぶ名称)を訪問してきました。ここを初めて訪問してから20年になろうとしています。この20年で目立って増えたのは、マイクロソフトのキャンパス内のビルの数とボクの白髪かな?!

いまごろAdele?!

この前ひさひしぶりにシアトルに行きました。機内の番組で初めてイギリス人歌手Adeleの歌を聴き、とても気に入りました。BBCのテレビ番組を録画したもので、歌だけでなく、「ひょうきん」で、あまり気取ったところのない彼女のパーソナリティもいいなと思いました。
帰国後、彼女がこれまで出しているアルバム3枚とロイヤル・アルバートホールでのコンサートを収録したblue-rayを購入。この一週間ほど毎日聴いています。アマゾンから届けれたCDを会社の机の上に置いていたら、それを見た社員には、「いまごろアデルですか?!」と言われちゃったけど。

特に気に入っているのは彼女のファーストアルバム。二十歳の時に出した「19」というタイトルのアルバム。その中でも、彼女にとって最初のシングルカットになったChasing Pavementsがいい。50代後半になっても、10代の恋愛感情を歌った歌にはちょっと感動してしまう。歌のタイトルにもなっているPavementsって、どんなイメージから出てきた言葉なんだろうか?公式のプロモ動画を見ると、文字通り「舗装された道」なんだけど。いつまでも冷たい反応しか返してくれない相手?!

どんな和訳があるかなと思ってネットで調べてみると、何人かの人がそれぞれのイメージで和訳に挑戦しているんだけど、このPavementsという言葉をうまく訳せている人はあまりいないような印象。

Adeleはこの前のグラミー賞でメジャーなタイトルを総なめした感がありますが、デビューしてからの10年間での成長ぶりは表情や体つきの変化にも明らかに見て取る事ができます。
デビュー当時のビデオを見ると、決して男の子にはモテなかったであろう、自分に自信が持てない少女時代のままなのに、今となっては女王の貫禄さえも感じさせるような雰囲気になっています。10年間でこんなにも変化、成長するものかと感心します。