内からの「グローバル化」を怖れる必要はない。

うちの会社も時々新聞広告を出すので、新聞社の広告局のひとたちと、すこしばかりはおつきあいがあります。今日も、某全国紙の方がお見えになりましたが、「グローバル化の必要性を言っているうちの会社も、経営陣はまったく国際化する気なんて、ないんです」という話を聞かされました。

「どうしてないんですか?」というボクの質問に、「外の人に内情をみられると、恥ずかしいので、できないのです」というお答え。

それに対して、「大丈夫、絶対にお宅の新聞社にも、自分たちが気づいていない、素晴らしいところがあるはずだ。ひとつだけでなく、きっといくつもいいところがあるはずだ。それを自分たちがわかっていないのではないか?怖れることはない、優秀な外部の人間にも、すこしずつ見せていけばいい」と、ボクの意見を言わせてもらいました。

江戸時代の終わり、欧米諸国の力を見せられたとき、われわれの先輩たちは、必死に追いつく努力をしました。

でも、彼らは大きな間違いも犯しました。それは自分たちのいいところ、素晴らしいところを、捨てようとしたり、過小評価したこと。素晴らしい芸術作品が、二束三文の値段で海外に売られていったことは、その一例です。自分たちの歴史や文化作品の、「普遍的価値」をよくわかっていなかった。それら作品の価値を認め、評価したのは、欧米の審美家たちだった。

また、太平洋戦争では、正反対に、自分たちの立場を、相対的に観ようとせず、独りよがりになってしまったのではないか?欧米の植民地主義にたいする大義名分がなかったわけではないけども、普遍的な魅力を持つ議論に発展させ、さらにそれを自らが実践しようとしなかったことに、大きな失敗の原因があるのではないか?

うちの会社のレベルでも、海外のお取り引き先から、非常に高く評価されていることが、いくつもあります。彼らに、まねることの出来ないことが、いくつもあります。

独りよがりの自信やうぬぼれではなく、まず自分自身を知ること、自分自身を大切にすること(甘やかすことではありません)。誰にも、どの企業にも、必ずいいところはある。ましてや何十年も存在してきた企業には、絶対に素晴らしいところがあるはず。

もっと自信をもって、内側に、自分たちとは異なる人材も入れてみること。きっとそこから、本当の意味でのグローバル化が始まると思う。