年末、年始に帰国した大学のゼミの友人と食事をした時の会話です。彼は財閥系の商社に卒業以来ずっと勤めていて、ヨーロッパやアフリカでの勤務が長く、現在は資源豊富な旧ソ連邦の某国に単身赴任しています。ゼミの同窓のなかで、卒業以来付き合いがずっと続いている数名の一人です。
お互い近況報告をしたあと、「ゆでガエルになってしまっている日本を変える方法があるだろうか」という話になり、サラリーマンの源泉徴収を止めることだということで一致。
この源泉徴収という制度ほど、日本人の意識を麻痺させている制度はないのではないかと思います。(パチンコなどの麻薬的ギャンブル同様に!)。僕自身も含め、経営者であろうと、サラリーマンであろうと、会社からもらっている給与所得は、われわれの手元に届く(つまり銀行口座に振り込まれる)時には、すでに所得税、地方税、年金などがさっ引かれています。
10万円から3万円の税金を自分が払い込む場合と、10万円から3万円を差し引いた7万円を受け取る場合と、残念ながら税金に対する意識はまったく異なってきます。多くの人は、自分が3万円の税金を払っているということを、ほとんど意識していないのではないか?
源泉徴収は会社にとっても、負担が大きい作業です。これは本来税務署がやるべき仕事なのではないかと思いますが、専業主婦の家事作業同様、たいして評価されておらず、「やるのが当然でしょう」と思われているような気がします。うちの会社のような中小企業にとって、決して楽な作業ではありません。
いま、政府は一生懸命増税路線をまっしぐらに走っていこうとしています。僕も決して増税の必要性を認めないわけではないのですが、これまでのやり方を変えないまま、増税というのには納得しません。僕は、「個人、企業の自助自立。小さい政府。」を基本方針としています。そんな僕からすると、いまの政府の動きにはまったく賛成できません。
1過去の政策の失敗の検証、反省はないのか?誰も責任をとらないのか?
2マニフェストの実行はどうなったのか?
3増税の前に選挙で民意をつかめ。選挙で選ばれたわけでもない内閣には勝手に増税する権利はない。
4底に穴があいているバケツをそのままにしたままでは、水(カネ)はいくらあっても足りない。まずバケツの底(制度)を直してくれ。
こう見えても、結構愛国心が強い方だと思っています。日本が好きなので、一部に見られるような海外(たとえばシンガポール)に移住しようなんて気はいまのところありません(シンガポールの政府はすごいと思うけど、シンガポールみたいな気候の国には長くは住みたくない)。でももっといい政治を求めています。
まず税金をどのくらい払っているのか、理解すること。源泉徴収の目くらましに簡単にひっかからないこと。源泉徴収の制度がなくなることは革命的なことなので、百年単位で考えないと起こりえないと思っていますが、自分がどれだけ税金を払っているのか常に意識することだけは忘れたくないです。