『地震の日本史』(寒川旭著)

縄文時代から現代まで、地震で綴る日本の歴史。この本を読んでいると、よくもこれだけ地震がおこることよと思う。地震を中心に日本史を見ていくと、教科書でとりあげられるような出来事は、頻繁に日本列島を襲う地震の間、間に行われる日本人の政治的、経済的、文化的活動ということになる。

2007年に初版が出て、東日本大震災後の4月、増補して新たに出版された本。

著者が言う通り、「地震がなければ、日本という島々が存在しないこともまた事実」であり、「活断層が起伏に富んだ美しい地形を造り、地盤運動で沈降し続ける広い空間に砂や粘土が堆積して東京、大阪、名古屋などの大都会が発達した」のであれば、日本という国そのものが地震の産物であるとも言える。地震とは日本の誕生の秘密そのものであり、これからも頻繁に起こりうるものだということだとすれば、国の政治でも、個人の生き方でも、地震を大前提として考えていかざるを得ない。すくなくとも今回の東日本大震災で、10年以上住んでいる町が被災地となった僕には、切実なテーマになっている。

首都圏機能の分散化や原発の議論において、これまで反対運動側の意見はずっと軽視され続けてきたけども、今後起こるであろうあらゆる地震被害を想定しないことは無責任だ。日本の歴史は地震の歴史だし、揺れない場所(これまで揺れていない場所)は、ないのだから。