「公共事業は必要ですね」
posted at 2009.09.06
小社を担当してくれている都会出身の某証券会社若手営業マン君が、遅い夏休みを取って、秋田、青森を訪問した、とか。その感想を聞いた時に出てきた言葉のひとつが、「仕事がなさそう。あれでは、公共事業は必要でしょうね」。そして、「すっごく、きれいでビックリしました」。この営業マン君も、日本の大都市圏とヨーロッパしか知らないから、数年前のクロイヌ同様、日本の地方はあまり訪問したことがなかったようです。
昨日はお取引先の方々との会合のために仙台訪問。新幹線「こまち」だと、上野、大宮、そして仙台。速い、速い!(昨年行った秋田の田沢湖まで乗っていこうかなという危険な誘惑を抑え、仙台で下車)ところが昨晩の帰りは、はやてに乗ることができず、各駅停車の「やまびこ」で、東京に帰ってきたのは10時過ぎ。でも、仙台で取引先の方とした夕食には大満足。
仙台での懇親会には、秋田や青森でパソコンスクールを行っている方々も参加してくれました。青森の話を聞いていると、子供側は決して農業の跡継ぎをしたくないわけではないけども、経済的に苦労が多いと言って、親御さんたちが引き継ごうとしない農家が多いとか。リンゴを作ってもなかなか食ってはいけない。JAを始めとする今の仕組みは、生産者に生かさず殺さずのレベルの生活しかあたえず、生産者よりも流通や小売り段階が比較的儲かるようになっている、という話を聞きました。(勉強不足のクロイヌは、実態を正確に理解していませんので、ここで確定的なことを書くことはできませんが)
一度、吹雪きの青森を訪問してみたいです。ボクら東京で生活している人間は、夏の青森や秋田を訪問して、「いいところですね」なんて言っていても、冬の厳しさを知らないのでは、無責任だもん。
「政治は利益誘導だ」なんて言うと、昨今、不評を買うだけですが、利益誘導も実は大切な役割の一つだと思います。会社を起こすこと、ましてや一つの産業を興すなんてことは、本当にたいへんなこと。日本の地方で働く場所を作っていくことはやさしくはありません。(この100年、東京を始めとする大都市圏に、人、モノ、カネを集中させてきたわけで)ある程度の「利益誘導」なくして、どうして地方はやっていけるのか?(それは青森や秋田だけでなく、高知だって、北海道だってそうかもしれません)
問題は、政治が「利益誘導」だけに終わること。もっとも大切なのは、「利益創造」。日本の利益創造は、あまりにも東京が中心になっていて、地域的にバランスがとれていない。インターネット通販なんて、その最たるもの。確かに、これまで知られていなかった地方の企業や農業生産者たちが、インターネット通販のおかげで、全国に販売する可能性をえたわけですが、誰が一番儲かっているのか?東京にオフィスを置くネット企業が最大の受益者です。直接顧客に販売するのでない限り、出店費用や販売手数料を支払うと、出店企業は、どれだけ儲かっているのか?(地方でも、長崎県佐世保に本社をおいているジャパネット高田なんてユニークな会社があります。知り合いに、東京の会社を辞めて、佐世保に転勤した方がいます)
これまで100年かかって作ってしまった仕組みなので、そう簡単には変えられるはずもありません。クロイヌが思うのは、明治維新が行った反対のことを100年かけて行い、人、モノ、カネを東京から解放すること。それができるまでは地方の生活を支えるには、「利益誘導」だって、必要なのではないか?ただし利益創造の努力を怠ることなく。