優秀な学生は起業か、ベンチャーに行って欲しい

 時々拝見する池田信夫さんのブログで、「10年は泥のように働け」という年配の経営者の発言に、学生が反発という話を読みました。(→「泥」の話) IT企業の60歳をこえた経営者層の方々と学生たちの議論を読んでいると、経営者層が、年功序列、終身雇用的な価値観から脱皮しない限り、お互いに受け入れることはできないだろうと思います。

 世の中が安定していて、ずっと右上がりであった高度成長期にはよかったわけですが、現在、そして将来も、「会社のためにまず10年間は泥のように働け」という議論は学生、特に優秀な学生には受けないでしょう。

 ITの仕事は、よく建築にたとえられることがあります。着想から、仕事の進め方、「構築」といった言葉の共通性など、ITと建築は比ゆ的にも、近いものを共有しているようです。でも、根本的に大きな違いがあります。それは、少なくとも、僕が知っている建築家たちは、ものすごく大きな夢を建築に持っています。建築家の人間たちが、建築を通しての自己表現にかける意思は強烈だなと思います。そしてそれはカネ儲けができるからではないのです。逆に、ほんの一部の建築家を除いて、多くの建築家は、自分の家を建てることにさえ、困っている人が多いように思います。一方、ITを勉強している学生たちが、建築を勉強している学生たちのような夢を持っているようには、まったく見えません。3K仕事であるのは、双方に共通するのに。

 学生、特に優秀な学生には、大手のSIerなんかに就職しないで、ぜひ、起業するか、ベンチャーに入って、自分の力で、ビジネスを建築してもらいたいです。こう言っては先輩方に失礼ですが、勉強不足の大手組織を半分だますような手口で高い値段の仕事をぶっかけ、仕事は2次請け、3次請けに投げるようなことばかりやっていては、そこに夢も誇りも持てないのは当然かと思います。(有名な話ですが、外務省のパスポート申請のシステムは、21億円使って、結局、133人しか使わず、一人あたりの処理費用に1600万円かけたまま、結局、システム廃棄になりました。→参考ブログ

 優秀な学生には応援団が社会的にも用意され、とったリスク以上のリターンもある。そんな国に、日本がなってほしいです。格差の問題はもちろん理解していますが、みんなが平等に貧乏で、夢も枯れている、そんな社会にはなってほしくないな。