「日本人よ!」(オシム著)

以前にも書いたことがありますが、オシムのファンです。彼のサッカーのファンだと言えるほどサッカーに詳しいわけではなく、彼の言葉のファンです。新潮社から出ている日本人よ!は、素晴らしいメッセージの本だと思います。プロローグは、こんな文章から始まります。

  • サッカーとは、人生である。なぜなら、人生で起こることは、すべてサッカーでも起こるからだ。しかも、サッカーではもっと早く、もっと凝縮して起こる。つまり、人間が一生涯で経験できるものすべてが、非常に短い時間の中で起こりうるのだ。一度の人生で起こりうる美しいこと、醜いこと、すべて詰め込まれたのがサッカーなのである。

こんな書き出しの本ですから、この後も、ゾクゾクするようなアフォリズムが続きます。たとえば、

  • 日本では誰も求められた以上のことを試そうとしない。これが私のノルマだと考え、そのノルマを満たしてしまったら、他のことは他人が引き受ければいいと考えている。サッカーでそれでは駄目なのだ。

サッカーだけでなく、ビジネスでも同じことが言えます。お恥ずかしいことですが、僕の会社も、決してこの言葉と無縁ではないと思います。

そして、もうひとつ、ハングリーさ、クリエイティビティーを失い、受身の飼犬のようになってしまった日本人のことを、このようにも言っています。

  • 日本では既に全てが解決されている。だから、人々は全てが解決されることに慣れてしまった。

オシムは、まさに「言葉のファンタジスタ」だ。僕はこの本を社内ですべての社員の人たちに配ろうかと思っているくらい、気に入っています。