リーダーシップ不在の国の悲劇
posted at 2007.06.09
コムスンが組織ぐるみの不正を行ったということで、同社に対する厚生労働省の指定打ち切り処置を逃れるため、親会社(グッドウィルグループ)が、グループ内の別会社に事業譲渡をすると発表したところ、それにたいして大きな反響が出ています。会社側は、グループ内での事業譲渡計画を見直すことを発表したようですが、今回の話は、今の日本のずさんさが典型的に表れていると思わざるを得ないです。ノン・ポリで、マクロのことは勉強不足の僕でさえも、以下のようなことを思いました。
- 年金記録の問題(5000万人分のデータ紛失)で、われわれ国民から事実を隠しているように見える厚生労働省に、コムスンを「指導」する「資格」があるのか?(グッドウィルグループのやっていることが、弁解の余地のないことは言わずもがなです)
- 1兆円を超えるグリーンピア事業(厚生省の役人たちが建てていった保養所)の損失の責任は、誰が取ったのか?彼らは、誰からも「指導」を受けないのか?
- (コムスンを例にとりながら)「だから民間企業は信用できない」といって、規制緩和に対して、役人たちは、これまで以上に強く反対するのでは?
- コムスンの事業譲渡に関して、違法ではないと言っておきながら、一方で、「行政指導」という法律に基づかない権力をまた振るおうとするのか?
これから、多くの地方自治体は、財政破綻をもう隠すことができないようになっていくでしょう。国家レベルにおいても、借金を重ねていくことでしか国がまわらない状況が、より一層明確になり、円安、ハイパーインフレというような最悪のシナリオが待っているのかもしれません。負ける戦争に、戦略もなく突入していき、状況に任せるまま、明確な意思と責任の所在なくして、多くの犠牲を重ねていった60数年前と、どこが違っているのだろうかと思います。
1990年から10数年間続いたバブル崩壊が、経済における敗戦と思ってきましたが、このままリーダーシップなき、政府の無責任体制が続く限りは、実は本当の経済的敗戦はこれから来るのではないかと危惧します。
僕は「国に頼らず」という考えで、「小さな政府」こそが自由で活気ある社会を実現すると信じています。われわれ庶民には、最悪のシナリオから自分たちを守るため、どのような手段があるのでしょうか?
時同じくして、平成19年版高齢社会白書が発表されています。2055年には、65歳以上の人口の比率が4割を超えるという予想です。破綻している年金制度に、お金を払い続けるむなしさを感じます。
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