「幸せを奪われた『働き蟻国家』日本」を読む

外人ジャーナリストが日本について書いた本は、反応が大きく分かれるように思います。ありがたがって読む人もいれば、頭から否定してかかる人もいます。
僕はどちらかというと、前者のほうかもしれません。ただし、日本に来ても、日本語を勉強しようとせず、日本の不満ばかり言っている連中は、問題外です。

タイトルの本は、カレル・ヴァン・ウォルフレン(オランダ出身)と、ベンジャミン・フルフォード(カナダ出身)の対話をまとめたもので、内容は少々大雑把な議論の展開なのですが、多くの指摘には僕も同意します。敗戦後、日本は国家戦略やビジョンを持つことなく、アメリカのポチとなってしまっていること、絶大な権力を持つ官僚たちは、国民に本当のことを言わないことなどなど、書き上げていけば、腹が立ってくるのでやめておきます。

ところで、都内にある公務員宿舎を、払い下げるという記事を読みました。賢い中央官庁のお役人たちが、本当に同意するのかどうか?実は、役所に入った大学の同級生や知り合いのお役人たちのことを考えながら、ちょっとかわいそうだなとも思っていました。国会で政治家の先生たちの質問への答弁は、役人たちが深夜までかかって準備しています。都心に近いところに宿舎くらい用意してあげないと、彼らの給料では、近いところに住むことはできないのではないかと。

でも、そういう考えはやめました。役人になることは、あまり得にならない状況を、どんどん作ったほうがいいかと思うようになりました。

日本は、東大やそのほかの有名大学を出た、学校のお勉強はできる(でもあまり創造的ではない)人たちが、役所に入っていきます。そういう、学校秀才の連中が役所に入っていくから、いつまでたっても、役所に人材が集中していきます。でも、都心の宿舎がなくなり、天下り先が少なくなり、役人になることが、経済的に得にならないことがわかってくると、役人希望者は少なくなっていくかもしれない。だって、彼らは、天下国家のことだけでなく、結構、ご自分たちの利害にも敏感ですから。

現実に、東大から中央官庁を希望する人間は、だんだん、減少していて、起業希望者が増えているようなことを聞いています。有名人になった村上ファンドの村上さんのように、役人を辞めて、自分で起業したり、民間企業に転職する人も増えています。

役人が日本を支えているなんて、冗談でしょう?日本を支えているのは、リスクをとりながら、こつこつ働き、きちんと税金を払っている人たちですよ。それは、僕自身が、就職活動も行わず、偶然見つけた小さな会社でキャリアを始め、リスクをとりながらこれまで仕事をしてきたビジネスマンだから、そう思うのかもしれませんが。