元・政府税調の会長で、千葉商科大学学長の加藤寛先生に、作家・中村うさぎが聞く、税金の物語。政治に関心がない人も、絶対に読むことをおススメします。僕は、加藤先生と何度かお食事させていただいたこともあり、個人的に大好きな先生のお一人ですが、この本を読んで、あらためて、加藤先生が好きになりました。
税金を払っているのに、まったく投票しない人、税金がどのように使われているか、関心を持っていない人。そんな人たちにこそ、騙されたと思って読んでいただきたい本です。
以下のような言葉が出てきて、面白くないはずがないんです。
「お上の決定に文句をいうのは、美徳ではないとこの国ではずっと思われてきたんですね。仮に国の決定に不満があったとしても、黙って耐える。それが日本男児、大和撫子なんだって。冗談じゃないと思います。」
「自動的に税金をとられてゲームオーバーの日本と、年に一回、税金についてとことん考える習慣の付いているアメリカと、そのへんが、税金にたいする、ひいては政治というものに対する意識の違いになっているんじゃないかと思うんですよ。」
そして、ちょうど今月、日経新聞に「私の履歴書」を連載している、宮沢元総理に関しては、
「なにをやっても優柔不断。決断するということができないんです。」
そして、宮沢さんが、政治家・金丸信について以下のような皮肉を言ったことを紹介されながら、宮沢さんの不遜な性格を指摘されています。
「金丸さん?勉強家ですよ。あのひとは、大学出たんですよ。知ってましたか?」
中村うさぎに講義をしていく形式での、加藤先生の歯に衣着せぬお話、本当に面白い本です。消費税アップを財界も、政治家も口にし始め、どれだけ国民からの反発があるのかを探り始めた今こそ、できるだけ多くの人がこの本を読んで、税金に関心を持たれることを、心から望んでいます。