かつて、オデッセイコミュニケーションズで出していた「オデッセイマガジン」にご登場いただいた、花園大学の佐々木閑先生からご本が送られてきました。最新のご著書である『ネットカルマ』(角川新書)。先生とお会いしたのは一回だけですが、その後も何度かメールのやり取りをさせていただき、新しい本を出されるたびに、ご案内いただいています。
今回の本は表面的に言うと、インターネットを利用するにあたってのモラルということになるのでしょうが、実はネット上であろうと、リアルの世界においてであろうと、ブッダが説いたことはぼくらが間違った方向に進んでいくことを防いでくれるし、心の平和につながっていくのだということを教えてくれる内容になっています。
ネット上で匿名であるからなにをやってもいいと思っていても、いつかきっとばれますよ、という話には反論もあるかもしれませんが、そう思っておいたほうが身のためだろうし、ましてや、リアルの世界においては、各所に監視カメラが設置されていて、自分の行動は誰かに見られていると思っておいたほうがいい。
ブッダが言ったことはある意味でシンプルなことなんだけど、それを自覚し、自分をコントロールしていくことは、とても難しい。(だって、われわれみんな、良くも悪くも、物欲、性欲、食欲、名誉欲、権力欲、その他さまざまな欲を持った存在だから)たとえば、ご本の中で紹介されているこんな言葉。
自分を救えるのは自分自身である。
他の誰が救ってくれようか。
自分を正しく制御して初めて、
人は得難い救済者を
手に入れるのだ。
あるいはこんな言葉。
他者から言葉で非難されたなら、
十分に気をつけて、そのことを喜べ。
同じ修行をしている仲間たちに対する
鈍感さをなくせ、
しゃべるときは、立派で場にかなった言葉を語れ。
世間話に関わるようなことに
心を向けてはならない。
小中学生のスマホ依存症も顕著になってきている今、スマホを通じたネットとの付き合い方、距離の取り方は、とても大事なテーマになっています。でも、スマホ依存やネット依存(ポルノ、人の悪口、買い物依存などなど)に溺れないようにしないといけないのは、子供だけじゃないからね。われわれ大人も、まったく同じ危険にさらされているわけで。