夏の朝に想う。

若い頃は夏が一番好きな季節だったのに、年をとるに連れて東京の夏の暑さに耐えられなくなって、冬が一番好きな季節になった。とは言っても、夏の朝は気持ちがいい。犬たちにせかされるように5時前には起きて外に出てみると、とても爽やかな朝だった。ただ6時を過ぎるとだんだん暑くなってくる。暑苦しいというほど気温はまだ高くないけど、6時半から始まるラジオ体操をやっていると、第一だけでも汗がじわっと出て来る。

新聞を読むと、東芝の歴代3社長が辞任することになったという記事が一面に出ている。利益至上主義が今回の会計操作につながっているという記事が目立つ。
ルール違反というか、反則はよくないのは当然なんだけど、利益への強い志向は企業であるかぎり当然だとも思うし、より高いレベルへの「チャレンジ」も必要だ。
東芝ほどの規模と歴史の会社の経営者は大変だろうなと想像する。バブル崩壊後、経営環境はまったく変わってしまったのに、「人を大切にする」ことを求められることで事業のドラスティックな変化はそう簡単ではない。製造業のイノベーションは、金融やサービス業の「イノベーション」と比べると、地道なR&Dが必要だろうし、長い時間もかかることだろう。社員の人たちは年功序列と終身雇用を前提として考える人たちが多いだろうから、社内から変えていくことはものすごい時間がかかるような気がする。
結果、大きな事業変革にはM&Aということになるんだけど、ほかの会社、特に欧米の会社を買ってうまく経営していくことは決して簡単じゃない。

利益を至上とすることは別にしても、利益を強く求めていくこと(もちろん反則なしでなんだけど)は、決して間違っていない。アメリカはもちろん、ヨーロッパの会社と比べても、日本企業の利益率はまだまだ低いんだから。問題は、利益率の高い事業をどうやって作っていき、使命が終わった(と思われる)事業をどうやって終了していくのか。どちらも根本には人の問題(課題)があって、新しい考えの人たちが登場し、変化していくことができない人たちは舞台から退場し、同じ社名、ブランドであったとしても、中身はすごく変わったよね、という会社であることは、とても難しい。

ニュースを聞いていると、東芝は社外取締役の数を増やすみたいだけど、事業内容をよく理解していない社外取締役をいくら増やしたって中身は変わっていかない。会社が根っこから変わっていくことは本当に難しいし、それをやり遂げることができる経営者は大したものだと思う。ぼくも会社をやっていてその難しさをとても感じている。

夏の朝、日の出前後はとてもすごしやすいけど、すぐに厳しい暑さがやってくる。ほんのひと時の心地よさを楽しんだら、忍耐の一日が始まるね。