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『いにしえの恋歌』(著者:彭丹=ほうたん)

中国生まれ、日本在住の比較文学研究者による漢詩と和歌を題材にしたちょっとした比較文化論。
和歌は漢詩を土台にして生まれたもので、相通ずるものだ。だが、和歌と漢詩は異なる個性を持つ。恋歌が良い例だ。和歌はもっぱら恋を詠じ、視点は閨中の刹那にあり、優美なるもののあはれを志向するのに対して、漢詩は恋を詠うことにははばかりがあり、詩人の視点は広大な宇宙にあった。なぜ和歌と漢詩は異なる恋歌の世界を持つのか。
ひとつは詩歌の担い手の違い、詩人の視野の違い、国がおかれた状況の違い。
漢にあこがれながらも、漢を排除しようとする和。漢に対応しながらも、漢をどんどん取り入れる。和漢の峡間でもがいた日本人が見つけ出した方法は、和漢の境を紛らわせること。

10月に久しぶりに中国に行く機会があったが、あらためて中国の大きさ、人の多さを実感。「大陸的」という言葉を思い出す機会になった。それに対して、日本は繊細、優美、だけども箱庭的。

漢詩と和歌の違いは日中の違いに通じる。