「ピアニストは語る」(ヴァレリー・アファナシエフ著)

現代ピアニストの一人。ロシア出身で亡命したベルギー在住。ぼくはこの人の音楽を聴いたことはなかったけど、書評を読んでおもしろそうだったので買ってみた。一気に読んだけどもとてもいい本だった。
この本を読んで、彼の演奏も聴いてみることにしたし、彼の先生でもあったエミール・ギレリスの演奏も。
リヒテル、グールド、ミケランジェリ、ラフマニノフ、マルゲリッチなどに関する彼の意見はとてもおもしろかった。特にぼくが好きなリヒテルについて。

アファナシエフは文筆業も行っているそうで、彼の言葉や人生哲学もおもしろかった。例えば、以下のような話。

「プラトンの『メノン』などの対話編によれば、知識とは想起、すなわち自分がすでに自らの裡に持っているものを想い起こすことだということです。あなたの心は、すでにすべてを持っている。(中略)ほんとうの知識は、外から来るのではないのです。これがとても重要です。なぜならそれは、すべてはすでに自分の裡にあるということなのですから。あなたが外に出て行くのは、ふたたび自分に帰るため、自分自身からスタートし、正反対のものまで行き、しかる後に再び自分自身へと還ってくる。それが創造という行為なのです。正反対に行くことによっていったん自分を否定して、しかる後にその、自分とは正反対のものまでをも自らの一部となした上で、再び自分へと還っていく。この往還の行為こそが、ヘーゲルが口を酸っぱくして言っていた弁証法なのです。」

服がくれる自信。

「コンサートに行っても、黒い服を来ている人が多くって、でも実は黒い服って着こなすのが難しいのに」。
いまは自信をモテない人が多い時代なのかも。みんなと同じ服を着ていることの安心感。みんなと同じ服を着て会社の面接に行き、みんなと同じ服を着てコンサートに!
そんなことを今日会社にお越しいただいたスタイリストの方のお話をお聞きしながら、思った。

ぼくも含めて、うちの会社も、自分のファッションに納得している人ばかりではないので、存じ上げているスタイリストの方に、ファッションに関する講義と社員個別のアドバイスをいただくことにした。
映画やテレビドラマに出てくる俳優たちと仕事をしているスタイリストの方に、直接アドバイスいただける機会はそうそうあるものではないので、社員の人たちにも喜んでもらえたのではないかと思う。

自分を活かしてくれる服を着ることで、人は自信を持つことができる。そのためにも、自分のことを知る努力、自分に合った服を探求していく努力を惜しまないこと。

自信と言えば、うちの会社で運営している各種資格に挑戦することで得られる大きなメリットの一つも、実はこの「自信」ではないか?

ホンモノの自信がある人は、泰然とした落ち着きが身に備わっているけど、なんとなくオドオド、他人の目を気にする人が多いように思う。