『考えよ!_なぜ日本人はリスクを冒さないのか?』(イビチャ・オシム著)

 ワールドカップ開催中の今こそ、読んで損はない本。日本の試合を楽しむためにも。それに各紙が競ってオシムのコメントを掲載していることもあるので、オシムが日本代表に関してどのように考えて来たのかを背景として知っておくこともプラス。
 副題にもなっている「なぜ日本人はリスクを冒さないのか?」という問いに対して、オシムはこのような答えを自答しています。
「かつて東洋の小国だった日本は、太平洋戦争においてハワイを先制攻撃するというリスクを負った。そして何者でもなかった者が、何かになりたいことを望む経験をした。だが、その太平洋戦争において日本は敗戦を味わう。おそらく想像するに、そこが歴史的に日本人のメンタリティの転換期になっているのだろう。リスクを負うということが、日本人にとっては深層的なトラウマになっているのではないか。」これはボクが日本の歴史に関して、特に太平洋戦争に負けたことに関心を持っているからもあってここに引用します。
 他にも、この本の中で、赤線を引いた文章や言葉はたくさん。オシムがなぜ日本人(ボクも含めた)に人気があるかというと、彼の言葉選び、表現方法が僕らが求めているもの、受け入れやすいものだからか。それとボクは、オシムがカネの魔力を自覚している、大金が人間(もちろん、サッカー選手を含む)を簡単にダメにしてしまいがちだということをわかっていることも、オシムのファンである理由のひとつかな。
 「おわりに」にオシムがこんなことを言っています。
「人生で起こりうることすべてがサッカーに集約されていて、サッカーで起こりうるすべてのことが私の人生にも起こってきた。」僕ら日本人の人生においては、まだサッカーはそれだけの位置を占めていないかな