Too big to fail

アメリカ国債の格付けがAAAから下げられることなど、ほんの数年前には想像もできませんでしたが、今、「ありうる」という人たちが出てきています。シティにしろ、AIGにしろ、大手金融機関に関しては、Too big to fail (潰すには大きすぎる)として、アメリカ政府はこれらの金融機関を支えてきました。(バブル崩壊後の日本政府も同じようなことをしましたが)

で、実はそのアメリカ政府自体が、Too big to fail なのではないかと思います。これまで日本政府は相も変わらずドル国債を買い支えてきました。円建ての債券であれば、為替リスクもないのに、常にドル建ての債券を。ある意味、日本国政府は、アメリカ政府を買い支えてきたとも言えます。もちろん、アメリカが倒産するなんてことを言っているわけではありませんが、まったくあり得ないというように思い込んでいることが健全なのかどうか。一昔前、ブラジルやアルゼンチンなどの中南米国は、対外債務の支払いに困り、事実上の倒産のような状況に陥りました。

アメリカの場合、ドルを印刷すれば、支払いには問題ないわけで、かつて1970年代、ニクソン政権のある高官は、The dollar is our currency, but the problem is yours. 「ドルはわれわれのものだけど、通貨問題はお前たちのものだ」と、海外に向かってのたまわったという逸話が残っています。その前提は、海外の投資家たちが、ドルを信頼して投資続けてくれるということですが。

この頃、「ドルはあなたの通貨、そしてそれはあなたの問題でもある。」と言いだしているのは、中国です。アメリカはもう際限なく、おカネを印刷しつづけています。これからドルへの信頼がどうなるのか、ある意味、楽しみにしながら、その展開を見ていきたいです。 さっき、ロイターを見ていると、ムーディーズがアメリカの格付けAAAを確認したという記事がでていました。アメリカの会社であるムーディーズやS&Pが格付けをやっている限り、よっぽどのことがない限り、自国政府の格付けを下げるようなことはないのでは?彼らが自国政府の格付けを下げるような事態になるということは、よっぽどのことでしょう。