リーマンブラザーズの破産法申請に思う

 リーマンブラザーズ証券が破産法申請をしました。海外の銀行からうまく金を引き出すのかと思いましたが、結局、アメリカ政府が公的資金を出さないということで、誰も「ババを引こう」とはしませんでした。(日本政府は、かつて、日本長期信用銀行の買い手探しの際、公的資金を差し出すことで、ようやくアメリカのプライベートエクイティの金を引き出しました。そのとき、金を出した連中は、大もうけをし、アメリカからのファンド進出の先駆けとなりました。)
 もう過去のことなので、記憶している人はすくないかもしれませんが、ライブドアがフジテレビを買収しようとしたときに、資金調達を手伝ったのが、リーマンブラザーズの東京オフィスでした。バンカーズ・トラストで働いていた頃の同僚が、あの案件を進めていましたが、一段落した頃、別のグループにいる元同僚の話では、ライブドア案件のせいで、一部大手日本企業からひんしゅくをかったというようなことを聞きました。
 リーマンブラザーズという会社は、日本とは、過去においても関わりがあります。現在在籍している社員には、まったく興味がないことでしょうが、日露戦争の時、日本政府の資金調達を助け、日本がロシアとの戦争に勝つことを、金融面からサポートしました。リーマンはもともとユダヤ資本で、ロシア国内でユダヤ人が迫害されていることから、日本を支援しようとしたと言われています。でも、現在のリーマンブラザーズと、この頃のリーマンブラザーズに、会社として、あるいは経営として、どれだけの継続性があるのか。単なる歴史的な出来事の一つということでしょうか。

 リーマンブラザーズだけではありませんが、アメリカの証券会社はあまりにもやり過ぎですよね。住宅バブルで儲け、僕らの感覚からすると、メチャクチャの金をとっています。日本の証券界社のトップの人たちがどれだけの年収があるのか知りませんが、2年前、ゴールドマンのトップは、ボーナスだけで60億円を越える金をとっていました。一般社員も含めた平均年収が、数千万円なんていう、信じられないような話です。(→黒犬通信バックナンバー
 僕自身、金融の世界で働いていましたが、残念ながら、こんなおいしい話はまったくありませんでした。率直に言うと、日本法人の人たちも含めて、リーマンや今年前半に倒産したベアスターンズなどで働いていた人たちには、「みんな、いい給料もらっていたんだから、それなりのリスクは覚悟しているよね。」という風に思っています。が、金融は虚業だからどうでもいい、というほどには世の中、割り切れず、日々、こつこつと働いている製造業、サービス業にも、これから急激に影響がでてくるのではないか、それを心配しています。