名ばかりのMBO

すかいらーくの創業家が、議決権の9割を握るファンド株主に解任されたという記事が出ています。これは当然のことではないかと思います。まず、MBOといいながら、2割近く持っていた持ち株を、MBOの過程で3%まで売却し、多額の売却益を得ていたという話には、呆れてしまいました。このことからして、「ルール違反」だと思います。本来、MBOとは、経営陣がリスクを取ってエクイティ投資し、ちょっと大げさに言うと、経営陣の根性に火をつけて、経営にあたるというのが前提。なのに、2割から3%に持ち株比率を減らしていたなんて、MBO本来のありかたの正反対です。

マスコミには、MBOとか、LBOなどのアメリカで過去30年ほどの間にすすんだ金融手法に批判的なトーンで記事を書く方が多いように思います。でも、MBOやLBOを通して、短期間で金儲けできるほど、アメリカも甘くはないです。すかいらーくのようなケースをしっかり勉強していただき、どのようなMBOが「善」なのか、MBOがなぜ「善」なのか、きっちりとしたリサーチや研究に基づいた話を、もっと広めていただきたいです。

以前、日本電産の永守社長が、自社株の値段が安いという経営者は多いが、有価証券報告書を見ると、たいした自社株を持っていない。本当に安いとは思っていない証拠だ。本当に思っているのであれば、経営者は自社株を(借金してでも)もっと買うべきだと、日経金融新聞に書かれていたことが記憶にあります。すかいらーくの創業者たちがやったことは、(いろいろとご事情はあったのかもしれませんが)、これとはまったく反対のことで、まさに名ばかりのMBOだと思います。