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『ビジネスに「戦略」なんていらない」(平川克美著、洋泉社刊)

 実際に会社を経営されてきた「実務家」の書かれた本。論を深めるという点では、不満に思う読者も多いかもしれませんが、机上の空論とは違い、実体験から生まれた考えが書かれています。僕も共感する点が多い本です。

 友人に内田樹(神戸女学院大学教授、「私家版・ユダヤ文化論」で小林秀雄賞受賞)がいて、彼との対談もこの本には含まれています。内容は、大きな視点からビジネスをとらえ、人間の営みとしてのビジネスのおもしろさを説いています。ビジネスの始まりには、「交換」=コミュニケーションがあること、モノであれ言葉であれ、交換過程のはじめにあるのが「与える」ということ、それに対する返礼、反対給付が続いていくことがコミュニケーションの基本であること。さらに、ビジネスにおいて交換されるものはモノやサービスとお金であり、さらに、技術や誠意といったものが満足や信用といったものと交換されていること。その二重の交換が、ビジネスであることを熱心に説いています。
 大学生の頃読んだ文化人類学、経済人類学の本を思い出させてくれました。会社の経営者は、顧客や社員などの「ステークホールダー」と、商品やメッセージ(言葉)を通して対話を進めていかないといけないこと、対話そのものが実はビジネスの大きな目的であり、その中にいきがいや、やりがい、あるいは自己実現といったものが見つけられるのではないかと思いながら、本を閉じました。

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