高度化する必要があるのは

経産省が、「高度IT人材」の育成の必要性を訴えているのですが、この「高度」という言葉、わかったようでわかりません。そして「高度化」する必要があるのは、人材よりも、市場のありかた、ビジネスのあり方自体ではないかと思います。

IT産業だけでなく、国内市場だけで競争している企業や産業が、非常に特異な発展の仕方をするのが、日本市場の特徴かと思います。ケータイはその一例です。その特異さが無理や無駄をしばしば生んでいます。これは、海外市場との比較をしてみないとなかなか分からないのですが、自分で自分の首をしめているとしか思えないようなことが起こっています。結果、日本でだけ通用することが多くなります。

これは僕の持論なのですが、もう政府には、できることはあまりないのではないかと思うのです。「高度化」しようとして、政府がいくら笛を吹いてみても、一体、人材の高度化なんてできるのか?それよりも、政府自体が、まずITサービスの調達を「高度化」していって、大手IT企業との付き合い方そのものを根本的に変えていくことで、市場や業界の仕組み自体を高度化していくことこそ、政府にやってもらいたいことです。ゼネコン業界同様、2次請けどころか、3次請け、4次請け、最悪7次請けなんてことがあるようですが、こんなことをやっている業界がサバイブすることそのものが、おかしなことだと思います。「あらためて衝撃――日本のソフト産業を統計分析するあらためて衝撃――日本のソフト産業を統計分析する」という記事を読みながら、憂鬱な気分になりました。