中・長期的な為替展望

50歳が近づいてきて、これまでの経験とこれから起こるかもしれないことなどを、いろいろと考えるのですが、その中の一つが、日本の経済はこれからどうなるのかなということです。僕みたいな凡人は、「恒産なくして恒心なし」、経済がしっかりしていることが国の基本かなと思っています。日本経済の指標になるのが、為替相場。これからの20年、30年間という中・長期の展望はどうなるのか?

1985年、この年の夏にビジネススクールに行くために渡米し、その際に、それまでためていた円の貯金をすべてドルに換えたのですが、渡米直後の9月、ニューヨーク・プラザホテルで開かれた主要国蔵相会議での合意に基づいて、急激なドル安が始まりました。1985年以降、戦後期の相対的な円高が続いているわけですが、いまのレンジ(100円から140円のレンジ)の円高が一体いつまで続くものだろうかと、最近よく考えます。戦後しばらくの間は、1ドル=360円なんて時代だったことを体感しているひとは、少なくなっています。僕が初めてアメリカに行った1976年には、1ドルは、300円くらいでした。

BRICKsを始めとする新興工業国の追い上げ、国際政治における日本の弱い立場、国内の少子化問題が起こすさまざまな問題(経済の縮小、「ゆとり教育」のような甘やかし、年金問題)、財政赤字などなど、楽観主義の僕でさえも、日本の将来を不安に思うことがあります。

自分が生きている間、すくなくとも20、30年の間は、円が1ドル=200円以下の円安になることはないと思っていたのですが、日本経済がしっかりしないと、200円を越えるような水準の円安の時代がまた来るかもしれません。

卒業旅行なんていって、親にねだったカネで海外旅行に行く大学生も、「新しい人生を見つけたい」なんていって簡単に仕事を辞め、海外の語学学校にいったりしている社会人たちも、1ドル=240円なんてことになったら、そう簡単には海外旅行にも行くことはできなくなります。彼らが海外に遊びに行けるのも、経済がしっかりしていることが前提ですが・・・