『日本を二流IT国家にしないための十四ヵ条』

元・佐賀市長であった木下敏之さんが書いた本(日経BP企画発行)。佐賀市「電子自治体」改革一年の取り組みから、というのが副題。視察でみた電子政府化の進む韓国に衝撃を受け、サムソンのグループ会社を使って実現した佐賀市のコンピュータシステムのダウンサイジングの話。

佐賀市長選挙に出る前は、農水省の役人だったそうですが、役人国家の問題点を十分に理解した方が挑んだ役人の壁と、地方自治体におけるIT化の課題を書かれています。とてもいい本だと思いました。

本当に必要なITとはなにか、IT化を実現するために必要な要件は?これらを考えるヒントがたくさん書かれています。根底に流れる大きなテーマは、リーダーシップです。

日本の政治においても、経済においても、日本はリーダーシップを必要としているし、もっとリーダーシップ論が出てくるべきだと思います。ハーバード・ビジネス・スクールは、リーダーシップ論で始まり、リーダーシップ論で終わる、というくらい、リーダーとは、ということを考えさせます。20年前は、残念ながらよく理解できなかったことではあるのですが、リーダーシップ論の重要性がすこしわかるようになりました。日本にはマネージャーは多いと思います。でも、さまざまな分野でリーダーは少ない。

お会いしてみないとわかりませんが、木下さんはリーダーのひとりではないかと、この本を読んでいて思った次第です。