株主総会の季節

定期株主総会の季節がもうすぐ来る。長年株式投資を行っているので、毎年数十社分の株主総会招集書なるものが送られてくる。
昨今各社とも社外取締役を入れないといけないということで必死になっている。さらに取締役には女性を入れないといけないという機関投資家、特に海外の機関投資家がいるため、各社女性の取締役を誕生させている。社内には候補になる女性幹部社員がいないのか、女性の取締役として社外から急いで集めてきましたという様子が見受けられる企業が多い。

送られてきている株主総会招集書を見ていたら、同じ人物が総合商社、エレクトロニクス、リース会社など4社の社外取締役を務めていた。その4社すべての株式を持っていた(株数は大したことはない)。いくら優秀であったとしても、同じ人物がこれだけの会社の取締役をきちんと務められるとは到底思えない。この女性取締役はほかの会社の取締役をするだけでなく、自分が創業した会社の社長も続けている。
これまで日本社会が女性たちを育ててこなかったことのしっぺ返しが来ている。一部の優秀な女性たちは、複数の会社からお声がかかり、数年たったらまた別の会社の役員になり、常に複数の会社の社外取締役を務めている。「おいしくて、やめられない!」だろうなと思う。

しかし、頼む方も、頼まれる方も、誠実さがない話だ。
本音でいうと、無理に女性社外取をつけたくないと思っている会社は多いはずだ。(本当に優秀な人であれば、男女問わずなってもらいたいと思う会社もあるだろう)受ける方だって、本当にちゃんとした仕事をやれると思っているのだろうか?「この程度でいい」という線を自分の中に引いていないだろうか。
女性の取締役を入れない会社には投資しないという海外の機関投資家に対して、「うちの会社の業績、株価、株主への利益還元にご不満なら投資なさらなければいい」というようの「暴論」を返すくらいの経営者はいないものだろうか。
本音の議論をもっと聞きたい。もっと強い会社を作っていくために。
女性だけでなく、男性であっても、社外取締役を務める会社の数を制限するようなルールは作れないものだろうか。お飾りであるにしては彼ら、彼女たちに支払われている報酬は高すぎるのではないか。

もちろん、優秀な女性が適正な評価を受け、適正な待遇を与えられるようになればいい。できるだけ早く。でも形式ばかり整えるのは情けない。いつもそうやって日本社会は見てくれだけを整えてきたから、内実が伴っていないことが多い。時間はかかっても着実に進めていくしかない。