映画『ある男』

平野啓一郎原作の小説の映画化。いまちょうどオーディオブックでこの小説を聴いていてちょうど半分くらいのところ。日本アカデミー賞の主要部門を総なめしたことで「凱旋上映」の最中ということだったので(いつまで上映が続くのかわからないということもあり)この時点で映画を観ることにした。

安藤サクラの演技が良かった。力が入ってなくて、リアル感があった。主演の妻夫木聡の弁護士役はどうかな?(あんな美男子の弁護士は珍しいだろうな!)真木よう子、清野菜名がきれい!

平野作品を読むのは初めて。ミステリーあるストーリー展開でエンターテインメント性も高い。Twitterで政治的な発言が多い平野さん。死刑制度や在日へのヘイトスピーチなどにもしばしば言及されているように思うが、この小説の中でも現代日本社会の課題を取り上げている。
人は過去の桎梏から解放されて新しい人生を生きられるのか?家族とは?親子や夫婦のつながりは?
文庫本とオーディオブックの両方をそろえてこの小説にとりかかっている。原作の最後まで行くのも楽しみ。

映画『Winny』を見る

金曜日から始まった映画を観に行きました。かなりの客の入り。始まって3日目ということもあるのかもしれませんが、関心の高さを感じました。来週以降どうなるのか?
愛媛県の松山警察署であった裏金作りのための領収書偽造とWinnyの訴訟が結び付けられていたのですが、実際はどうだったのでしょうか。
KDDIがこの映画の製作に関係しているようですが、KDDIとして金子勇さんに深い思いがあるのか?
ひとりの天才プログラマーだけでは大きなビジネスや産業を興すことは不可能なので、しばしばこの映画の主人公に関して言われること(たとえば金子さんの逮捕が日本のソフトウェア産業を取り返しがつかないほどのダメージを与えた)はすこし誇張されているのではないかと思うのですが、どのように考えるべきなのか?

『林住期』(五木寛之著)

ある読書家のためのSNSで、「時々、誰かに知恵を授かりたないと思った時に思い出すのは五木寛之さんと美輪明宏さん」だと、書かれている人がいた。ぼくも美輪さんのお話が好きだ。NHKのEテレで、愛の相談室という名前の番組を持っていらっしゃる。番組一覧を見ていて気がつくと録画しておくことがある。
五木さんは高校生から大学生にかけてエッセイや『青春の門』を読んだ。あの頃が一番五木さんの本に関心を持っていた頃かと思う。
先日、NHK出版から出ている『健やかな体の作り方』という本を読んで、90歳になろうとする五木さんのセンスの良さにあらためて感心した。半世紀をこえる時間と時代の流れの中で、いまなお活躍される力(まさにresilience=レジリエンス)と時代を読むセンスの良さはすごい。
『林住期』は50から75歳までの人生の第三ステージを指すという。ぼくは20年ごとで自分の人生を考えていたから、60前後から最終ステージに入ったのかなと漠然と考えているけど、林住期ととらえる方がいいかな。
あと何年生きることができるのかわからないけど、この本の中にあるように、自分の人生で一番いいステージにできればいいなと思う。おカネのために働くことや人との比較のなかで一喜一憂したりすることなく、心の欲するところに自分のペースで歩いていきたい。日本や世界の行く末をぜひ見てみたいから100歳まででも生きられるとうれしい。でもそれは神のみぞしるだろうな。

一日一冊

知り合いの方がFacebookに「本が好きで、一日一冊以上読んでいます」と書かれていた。すごい!いったい、どんな本をお読みなんだろう。一冊当たり何時間かけているのか?速読をマスターされているのか?
本を読むのが遅くて困っている僕からすると、うらやましい。もう一生かかっても読めないくらい本を買ってしまっていてどうしようと思っている。個人の作家の全集や作品集、大学の先生の全集を始めとして、まったく整理もできていない。
「一日一冊」はまねできないけど、ちょっとペースを上げていかないと、たいへんなことになりそう。

今日の日経新聞がおもしろかった。

今日から3月。2023年も六分の一を消化してしまいました。

今日の日経新聞はおもしろかった。
その1。先月は作曲家の村井邦彦さんが「私の履歴書」をお書きになっていた。30数年前になると思いますが、外資系金融で働いていた頃一度お昼をご一緒したことがあり、たいへん懐かしく「私の履歴書」を拝読。今日から始まったJR九州の唐池恒二さんの「私の履歴書」もおもしろくなりそう。
その2。経済ページの「大機小機」は黒田日銀総裁の「罪」を上げていた。市場や国民を見ないで安倍元総理を見て政策を決めていたことが失敗の原因だというご指摘。「失敗」とあるけけど、ぼくは「罪」と言った方が正しいのではないかと思う。
その3。FTからの翻訳記事が良かった。先日治療をもう行わないと発表したカーター元アメリカ大統領に関して、これまで正当な歴史的評価がなされていないという記事。執筆者は、FTの記者Edward Luce。2月23日のFTにでていた記事ということで、そちらの記事も読んでみた。このような記事の日本語訳を掲載できるだけでも日経新聞はFTを買収して良かったのではないかと思う。
その4。今日から始まった連載小説は陸奥宗光の青春を描いたものになるという。いま日本外交に陸奥宗光のような人物がいないことが残念だ。どのような展開になるのかとても楽しみ。新聞の連載小説などこの10数年読んだ記憶がないけど、久しぶりに読んでみようと思う。