『パトリックと本を読む:絶望から立ち上がるための読書会』(ミッシェル・クオ著)

kuroinu.meをほったらかしにしたまま何か月か経ってしまいました。今年も続けていきます。
昨年11月にはクウ太郎が17歳の誕生日を迎え、この1年の間ですっかり彼の老化が進みました。犬も人間も同じ。足腰が弱り、認知症が進む。
まだガンの症状がみられないことは良しとしています。
家の中はいわゆるフローリングの床になっているため、後ろ足がすべりしっかりと立つことも難しくなりました。すこし歩かせることさえも難儀になることが愛犬介護の現実。
愛犬の介護はlabor of love。
そういえば、labor of loveという言葉そのものだなと思ったのが、『パトリックと本を読む』の著者、ミッシェル・クオがパトリックと過ごした時間。
学部、ロースクール、ともにハーバードに行った台湾系アメリカ人女性が、Teach for Americaの教師として赴任したアメリカ南部(Deep South!)で知り合った黒人少年のために続けた「読書会」。
人を間違って殺めたパトリックが刑務所に入っている間、半年ほどにわたって訪問、読書会を継続していく著者がおこなったことはまさにlabor of love だと思いました。
この本を読んで、あらためてアメリカ社会の中での人種差別の課題を実感しました。黒人として生きることもそうですが、アジア系であることも決して楽ではないのだな、と。
著者のTEDでのスピーチほか、この本のプロモーション動画などがいくつかYouTubeに出ています。
ハーバードロースクールをでても、カネのために大手弁護士事務所に働くキャリアを選択しない人がいることにちょっと「救われる」気がしました。
著者はとても美しい心を持った人。一茶や芭蕉など、俳句が引用されていることも、この本を魅力的にしています。